中小企業のCMS選びでは、機能の多さよりも、担当者が迷わず安全に更新を続けられる仕組みを選ぶことが重要です。導入時の見た目や初期費用だけで決めず、公開後の更新、確認、保守までを一つの運用として考えましょう。

CMSは、ページやお知らせを管理するための仕組みです。導入すると、更新作業を社内で進めやすくなる一方、権限の設定、公開前の確認、更新への対応が曖昧なままでは、かえって情報が古くなったり担当者に負担が集中したりします。選ぶ前に「何ができるか」ではなく、「自社ではどう使い続けるか」を言葉にすることから始めます。

まずは「誰が、どの情報を、月に何回ほど更新するか」を書き出してください。更新箇所がほとんどない場合は、CMSを増やさず制作会社へ変更を依頼する方法も比較できます。制作の準備全体は初めての会社ホームページ制作、必要なページはコーポレートサイトの基本構成で整理できます。

CMSは更新画面だけでなく、公開後の管理も含めて考える

CMSの役割は、記事を書くだけではありません。会社情報やサービス内容の更新、下書きと公開の管理、担当者ごとの権限設定、バックアップや保守の手順など、サイトを適切に運用するための基盤になります。

たとえば、お知らせを早く出したい会社と、複数部門の確認を経て情報を公開したい会社では、必要な操作や承認の流れが異なります。CMSそのものが正解を決めるのではなく、自社の目的と体制に合う形を選ぶことが必要です。

たとえばWordPressには、下書きや公開、画像の管理などの機能があります。ただし、WordPressの公式機能案内にある標準機能と、追加機能や個別の設定で実現することは分けて確認します。「CMSだから何でも簡単にできる」とは考えないことが大切です。

代表的なCMSの考え方を比較する

次の表は、候補を比べるときの見方です。「誰が管理するか」と「情報をどう配信するか」は別の軸なので、種類が重なる場合があります。表の上から順に優れているという意味でもありません。

種類向いている状況確認したい点
自社で管理するCMSサイトの設計や機能を目的に合わせて育てたい更新・保守・バックアップを誰が担うか
サービス型CMS運用や技術管理の負担を抑え、早く始めたいできることの範囲、移行方法、契約後の費用
コンテンツ配信を分けるCMS複数の媒体へ同じ情報を出す必要がある公開画面の制作・保守を担える体制があるか
個別開発の管理画面業務固有の情報や手順と連携する必要がある改修の窓口、仕様書、引き継ぎ方法が残るか

種類ごとの優劣ではなく、運用責任の置き場所が異なります。自社管理の自由度が高い仕組みでは、更新や保守の責任も自社側に残ります。サービス型では管理負担を減らせることがある一方、利用できる機能やデータの扱いを事前に確認する必要があります。

会社のお知らせや実績更新が中心なら、まず普段の更新と確認ができる構成から考えます。情報の管理と表示画面を分ける方式は、アプリなど複数の場所へ同じ情報を配信する必要がある場合に検討します。その場合は表示画面を別に作り、保守する担当も必要です。

WixやSquarespaceなどのサイト作成サービス、WordPress、通販向けの仕組みを同じ条件で比べたい場合は、ホームページ作成ツールを目的・運用・総費用・引き継ぎで比較する基礎知識をご覧ください。

選定前に、実際の更新の流れを書き出す

比較表を集める前に、実際の運用を一つ書き出してみます。たとえば「担当者がお知らせを下書きし、内容の確認後に公開する。月に一度、古くなった主要ページを見直す」といった流れです。この流れを無理なく実行できるかを、候補ごとに確認します。

  1. サイトの目的を決める。問い合わせ、採用、来店予約、既存顧客への案内など、優先したい行動を整理します。
  2. 更新する情報を分ける。お知らせ、実績、サービス、採用情報などを挙げ、誰がどの頻度で更新するかを考えます。
  3. 公開までの確認手順を決める。下書きを誰が確認し、緊急時には誰が公開するのかを明確にします。
  4. 保守と引き継ぎを確認する。更新・バックアップ・不具合時の連絡先を、担当者だけでなく組織として持ちます。
  5. 候補で操作を試す。実際に記事作成、画像差し替え、下書き、公開の一連を試し、迷う箇所を確認します。

候補の操作画面で、同じ作業を試す

制作会社の実演だけで判断せず、日常の担当者が、公開サイトとは別の確認用画面で試します。次の作業を候補ごとにそろえると、比較しやすくなります。

試す作業確かめること
休業日のお知らせを下書きする日付や見出しを迷わず入れられ、途中保存から再開できるか
写真を1点差し替える写真の説明を付けられ、スマートフォンでの見え方を確認できるか
確認担当へ渡して公開する未確認のまま公開しない手順を取れ、公開後の確認もできるか
間違えた内容を戻す修正履歴から戻せる範囲と、保守担当への連絡が必要な範囲が分かるか
会社のお知らせ画面をノートパソコンで操作し、同僚と確認する事務担当者
説明を聞くだけでなく、実際に更新する人が下書きや画像の差し替えを試すと、迷う操作が分かります。

速く終わるかだけでなく、途中で手が止まった操作と、説明が必要だった言葉をメモします。担当者が休んだときに別の人が同じ作業をできるかも見てください。毎月の更新テーマを決めるにはブログ編集カレンダーの作り方が役立ちます。

権限と保守の担当を、導入前に分ける

更新担当者全員へ管理者権限を渡す必要はありません。WordPress公式の権限説明では、標準の「寄稿者」は記事を書けても公開できず、「投稿者」は自分の記事を公開でき、「編集者」は他の人の記事も管理できます。実際の権限は設定や追加機能で変わるため、必要な作業と照合します。

「下書きを確認してから公開したい」と「複数部門が順番に承認したい」は別の条件です。細かな承認手順まで標準で使えると決めつけず、画像の追加や予約公開を含め、誰が何をできるかを操作画面で確認してください。

文章の更新担当と、CMS本体・追加機能の更新や復旧をする保守担当も分けて決めます。WordPressの更新に関する公式案内を踏まえ、更新前の復元準備と更新後の表示確認を誰が行うかを契約に含めます。自動更新があっても、困ったときの連絡先まで自動で決まるわけではありません。

日常点検の範囲はホームページ保守・運用の基本、社内で確認しておきたい安全対策は中小企業のホームページのセキュリティ対策で確認できます。

初期費用だけでなく、同じ期間の総額で比べる

ソフトの利用料が無料でも、会社のホームページを作り、維持する費用がすべて無料になるわけではありません。候補ごとに、同じページ数、更新人数、機能、利用期間で見積もりをそろえます。

費用のまとまり見積もりでそろえる条件
制作・移行時デザイン、原稿、既存記事や画像の移行、操作説明がどこまで含まれるか
継続して必要利用料、サーバー、ドメイン、有料機能、保守の範囲と契約期間
変更があったときページ追加、機能変更、緊急対応、他社への移行支援の条件
社内の作業担当者の更新時間、確認する人の時間、引き継ぎに使う時間

未定の費用は0円として扱わず、何が決まれば見積もれるかを聞きます。「保守一式」の中身も候補ごとに違うため、ホームページ制作会社の選び方と合わせて比較してください。

中小企業のCMS選定チェックリスト

  • 更新する目的と、優先するページが決まっている
  • 更新担当者と、公開内容を確認する担当者が決まっている
  • 担当者が不在でも、緊急の情報を更新できる
  • 利用者ごとに必要な権限を分けられる
  • 画像や文章を公開前に確認できる
  • データの保管方法、復旧時の連絡先、保守の範囲を確認した
  • 将来追加したい機能と、現時点では不要な機能を分けた
  • 制作会社に依頼する範囲と、社内で更新する範囲を文書にした

よくある選定ミスと防ぎ方

起こりがちなことなぜ困るか導入前の対策
多機能なものを選んだが、誰も使えない更新が特定の人に集中し、止まりやすい日常の担当者が実機で操作を試す
公開ルールがない誤記や古い情報がそのまま出る下書き・確認・公開の担当を決める
保守を制作時だけの話にする更新や不具合時に判断が止まる保守範囲と連絡経路を契約前に確認する
将来の希望をすべて初期要件に入れる費用と判断が膨らみ、公開が遠のく必須・後で検討・不要に分けて優先順位を付ける

移行と引き継ぎは、契約する前に確かめる

今は使いやすくても、担当者や制作会社が替わることはあります。文章、画像、商品情報など、必要な情報をどの形式で受け取れるか、別の仕組みへ移すときに何を作り直すのかを確認します。

  • 記事や分類を書き出せるか。対象外になる情報はあるか
  • 画像の元データ、独自機能の仕様、操作手順を受け取れるか
  • ドメインやサービスの契約名義、管理画面の窓口が会社で把握できるか
  • 解約前の書き出し期限、移行支援、追加費用が決まっているか

WordPressの標準エクスポートは、投稿や固定ページ、分類などをXML形式で書き出す機能です。これだけでテーマや画像ファイルを含むホームページ全体が元どおりになるわけではありません。WordPressのバックアップ案内では、データベースとファイルの両方を扱います。書き出しと復旧用バックアップは、目的を分けて確認しましょう。

ノートパソコンにつないだ外付け記憶装置と手順書を机に並べて確認する担当者
復旧に必要なデータの範囲と戻し方、困ったときの連絡先まで、担当者が替わっても分かる形に残します。

Bämへの制作相談でも、社内で更新する場所、公開前に確認する人、保守を任せたい範囲を一緒に整理します。Bämのホームページ制作サービスで作りたいホームページの種類を確認し、相談から公開までの制作の流れに沿って必要な機能を決めていきます。

まとめ

中小企業向けCMSの選び方は、「高機能か」「有名か」では決まりません。更新する情報、担当者、公開前の確認、保守の責任を先に整理し、その運用を支えられるものを選ぶことが重要です。導入後に迷わないためにも、候補を比べる前に自社の運用シナリオを一枚にまとめてみましょう。

候補が多くて決められない場合は、比較表を埋める前に「月に何を更新したいか」を一つ教えてください。CMSと更新体制をBämへ相談するから、今の担当人数や困っている作業をお聞かせいただけます。

参考資料