複数の制作会社へ見積書の不明点を質問しても、回答の書き方が違うと、かえって比べにくくなることがあります。一社は「対応できます」、もう一社は「データをご用意いただければ対応します」。両方を「対応あり」と記録すると、会社側に残る準備の違いを見落としてしまいます。
回答を比較できるようにするには、聞きたいことに自社の前提を添え、返ってきた答えを「含む仕事」「自社が行うこと」「別途になる条件」に読み分けます。分からない部分は推測で埋めず、次に確認する質問として残しましょう。
同じ作業について、同じ前提を伝えて聞く
ここでは、会社サイトをリニューアルし、現在のお知らせ記事も新しいサイトへ移したい会社の架空例を考えます。まだ完成した移行用データはなく、現在の管理画面にはログインできる状況です。
二社へ「記事の移行は含まれますか」とだけ聞くと、それぞれ違う準備を想定して答える可能性があります。記事本文だけなのか画像も含むのか、データを誰が取り出すのかが分かれているためです。
質問では、対象のお知らせ、本文と画像を残したいこと、移行用データがまだないことを共通の前提として伝えます。記事数が確認できていればその数も添え、未確認なら、どの範囲を見れば見積りを確定できるかを尋ねます。説明に都合のよい数量を仮に置いて、確定条件のように扱わないようにします。
現在のお知らせ記事を、本文と画像を含めて新サイトへ移したいと考えています。移行用データは未作成で、現在の管理画面にはログインできます。今回の見積りに含まれる作業、当社で準備するもの、別途確認や費用が必要になる条件を教えてください。対象記事の確認が必要な場合は、確認方法もご案内ください。
回答の条件を外さずに、横に並べる
架空の回答として、A社から「データの取り出しから記事と画像の移行まで含みます。添付PDFは別途確認します」、B社から「指定形式のデータをご支給いただければ記事を取り込みます。画像はデータを確認後に判断します」と返ってきたとします。
この時点で、A社は全部込み、B社は安い、といった結論には進めません。回答から確認できるのは、A社ではデータの取り出しが含まれ、PDFの扱いが残っていること。B社ではデータ準備が自社側にあり、画像の対応がまだ決まっていないことです。
比較用のメモには、元の回答を残したうえで、その意味を短く整理します。例えば「A社:取り出しと本文・画像の移行を含む。PDFは確認中」「B社:指定形式での支給が前提。画像は確認中」と書きます。条件付きの回答から条件だけを落として、丸印を付けないことが大切です。

次の質問は、答えの足りない部分へ絞る
最初は同じ質問でも、追加で聞くことまで二社で同じにする必要はありません。A社には、添付PDFをどう扱い、追加費用の判断に何が必要かを確認します。B社には、指定形式へのデータ準備を自社で行えない場合の対応と、画像を確認するための資料を尋ねます。
ここで自社の希望が「PDFも残したい」と明確になったなら、その新しい条件は両社に伝えます。一方だけに追加の希望を伝えたまま、以前の見積りと比較しないためです。共通の希望と、各社の回答に対する個別の質問を分けておくと、やり取りを整理できます。
「内容によります」「確認してから回答します」という返答も、直ちに悪い回答とは限りません。何を確認すると判断できるか、資料を渡した後にいつ回答を受けられるかが分かれば、次へ進めます。未回答の欄を無料や対応不可と決め付けず、確認待ちとして残します。
依頼先を選ぶ前に、自社へ残る仕事を確かめる
追加回答がそろったら、必要な記事と画像、添付資料を残すために、各案で誰が何を行うかを見ます。データ準備を自社で行う案なら、担当者がその形式を用意できるか、制作の予定に間に合うかを確認します。
自社で準備できることが分かっていれば、その案を選ぶ理由になります。反対に、準備する方法も担当者も決まっていなければ、見積書の金額だけでは実際の負担を比べられません。制作会社へ依頼する場合の費用と日程を確認し、同じ完成状態に届く案として見直します。
すべての会社に同じ作業方法を求める必要はありません。移行方法や確認の進め方が違っても、必要な内容が残り、自社が担う仕事を理解できれば比較できます。提案の違いを消すためではなく、その違いを判断できるように質問します。
回答と見積書が食い違ったら、最新版をそろえる
質問への回答で追加作業が決まったのに、見積書が最初のままということがあります。口頭やメールの回答と見積書のどちらを見ているかで、社内の理解が分かれないようにします。
変更があった場合は、更新した見積書や補足資料で、対象範囲と金額を確認します。比較メモには回答日と見積りの版を残し、古い金額に新しい条件を組み合わせないようにします。電話で説明を受けた内容は、理解した条件を文章で送り、相手にも確認してもらう方法があります。

必要な判断に関わる質問から進める
見積書のすべての項目を、一度に細かく質問する必要はありません。今回の例なら、残したい記事が移せるか、自社でデータを用意する必要があるかが先の判断です。その答えがそろえば、費用と役割の違いを具体的に話せます。
Bämの相見積りで決められないときのご相談では、制作範囲、自社で準備する仕事、継続費用や変更条件を整理します。他社の未記載条件を推測するのではなく、その会社へ確かめたい点として残し、Bämが行う仕事と見積りの範囲をご案内します。