中小企業のホームページを多言語化するときは、全ページを一度に翻訳する必要はありません。まず、誰に読んでほしいか、読んだ後に何をしてほしいかを一つ決め、会社・サービス・問い合わせなど判断に必要なページから始めます。言語を増やすことより、原文が変わったときに翻訳版も直せる仕組みを作ることが大切です。

海外の取引先へ会社情報を渡したい、展示会後の相談を受けたい、外国語を使う人の採用につなげたいなど、目的によって必要な言語もページも違います。この記事では、必要性の判断、翻訳する範囲、検索の技術設定、公開後の更新までを、中小企業が無理なく進める順序で整理します。

多言語化するかを最初の3問で判断する

確認すること具体的な問い判断の例
相手誰が、どの言語で読むのか既存取引先、展示会の来場者、採用候補者
目的読後に何をしてほしいか会社を理解する、仕様を確かめる、問い合わせる
運用原文変更を誰が翻訳版へ反映するか担当者、確認者、期限、公開手順を決められる

この三つを具体的に答えられない場合は、翻訳費や仕組みを先に決めない方が安全です。実際に届いた外国語の問い合わせ、海外営業が繰り返し説明している内容、採用現場で不足している案内を集めると、必要性を判断しやすくなります。

目的と言語を一対一で決める

「英語なら世界中へ伝わる」と決めつけず、実際の相手が使う言語と商談条件を確かめます。海外販売では、言葉だけでなく通貨、税、配送、返品、対応時間も判断材料です。採用なら仕事内容、勤務地、応募条件、在留資格に関する社内対応など、担当部門が正確に説明できる範囲を確認します。

  • 既存の取引先や見込み客が使う言語
  • 問い合わせや商談で現在使っている言語
  • 社内または外部で内容を確認できる言語
  • 契約、価格、安全、採用条件を誤解なく説明できる範囲
  • 公開後の質問へ返答できる担当と時間帯

海外向けの新しいサービス自体を整理する段階なら、先に新規サービスのホームページ設計で最初に決めることを確認してください。事業情報がまだ動いている場合は、未確定な情報と公開できる情報の分け方から始めます。

最初に翻訳するページを絞る

ページ優先する理由公開前に確認すること
会社・事業紹介何をする会社かを理解してもらう会社名、所在地、対応地域、事業内容
主なサービス・製品相談や比較の判断材料になる対象、仕様、提供範囲、価格条件、納期
事例・設備・品質言葉だけでなく根拠を示せる掲載許可、担当範囲、撮影日、説明の正確さ
問い合わせ・採用次の行動へ進める入力項目、同意、返答方法、担当部署
お知らせ・コラム更新量が多いため後回しも選べる継続翻訳する記事の基準と担当
日本の中小企業で多言語ホームページの対象者と優先ページを整理する様子
翻訳するページを数える前に、誰のどの判断を助けるかを決めます。更新できる範囲へ絞ることも大切です。

閲覧数だけでなく、相手が判断する順序で選びます。たとえば展示会後の法人相談なら、会社紹介だけでは足りません。主な製品、対応できる範囲、問い合わせ方法、返答言語までつながって初めて役に立ちます。法人の検討担当と決裁者へ何を示すかは、BtoBホームページの情報設計も参考になります。

翻訳方法は重要度と更新頻度で選ぶ

方法向く内容必要な確認
人による翻訳・校正会社紹介、主力サービス、契約・安全・採用条件原文確定、用語共有、対象読者による確認
機械翻訳を下訳にする更新量があり、確認者がいるページ誤訳、抜け、固有名詞、数字、画面表示
社内で翻訳・確認する業務を理解し、対象言語で確認できる人がいる一人へ集中させず、交代できる記録を残す
ブラウザー翻訳へ任せる正式な多言語版を持たない暫定対応会社が品質を保証する翻訳版とは分けて案内する

機械翻訳を使うかどうかより、誰が意味を確かめるかが重要です。固有名詞、型番、単位、否定文、条件、期限は誤解が起きやすいため、原文と照らして確認します。画像内の日本語、PDF、フォームのエラー文、送信後メールも翻訳対象から漏れやすい項目です。

原文と用語集を正本にする

翻訳前に日本語原文を確定し、どの文章が正本かを決めます。会社名、サービス名、専門用語、単位、禁止表現、問い合わせ先を用語集へまとめると、担当者や翻訳者が変わっても表現がぶれにくくなります。

  • 原文ページのURLと責任者
  • 翻訳版の言語、URL、公開日、確認者
  • 会社名、製品名、技術用語の承認表記
  • 価格、仕様、納期、法令など期限付き情報の確認日
  • 原文を変更した日と、翻訳版へ反映する期限
  • 翻訳しないページと、その理由

資料、写真、翻訳版を複数人で管理する場合は、社内資料の正本と更新履歴をそろえる方法も役立ちます。多言語版だけ古い価格や旧製品名が残らない仕組みにします。

言語ごとに別URLを用意し、自分で切り替えられるようにする

Googleは、言語版ごとに別のURLを使い、利用者がリンクで言語を選べる形を案内しています。ブラウザーの言語やアクセス元を見て自動転送するだけの方式は、利用者が必要な版へ戻れず、検索エンジンがすべての版を見つけられない場合があります。

  • 日本語と各言語版で固有のURLを持たせる
  • 言語切替は通常のリンクで、現在のページに対応する版へつなぐ
  • 一つのページ内で日本語と翻訳文を交互に並べすぎない
  • 翻訳していないページへ無理に同じ言語メニューを見せない
  • アクセス元だけで強制転送せず、利用者が選び直せるようにする

hreflangは対応するページ同士でそろえる

hreflangは、同じ内容の言語・地域違いをGoogleへ伝える印です。翻訳の品質を上げる機能ではありません。各言語版が自分自身と対応する全言語版を示し、相互に同じ組み合わせになっているかを確かめます。国だけの指定は使わず、言語コードと必要な場合の地域コードを正しく組み合わせます。

GoogleはHTML、HTTPヘッダー、サイトマップの三つを同等の方法として案内しており、すべてを重ねる必要はありません。中小企業では、保守担当が確認しやすい一つの方法を選びます。存在しないURL、片方向だけの設定、別内容のページ同士の対応付けは避けます。

ページの言語と読みやすさも確認する

W3Cは、HTMLページ全体の基本言語をhtml要素のlang属性で示すよう案内しています。ページ内だけ別言語になる箇所にも、その範囲へ言語を示します。これは読み上げや表示処理の助けになりますが、Googleは表示される本文からページの言語を判断するため、ナビゲーションだけを翻訳して本文を日本語のままにしません。

  • 見出し、本文、メニュー、ボタンを一つの言語で理解できる
  • 320pxでも長い単語や表が画面外へはみ出さない
  • 画像内の文字がなくても要点を理解できる
  • キーボードで言語切替とフォームを操作できる
  • 入力誤りや送信結果を色だけで伝えない
  • 日付、住所、電話番号、単位の表記が相手に伝わる

問い合わせ後に対応できる言語だけ案内する

翻訳ページから問い合わせを受けても、返答できなければ信頼を損ないます。受付言語、通常の返答方法、対応時間、必要な資料を明記します。氏名、メールアドレス、所属、相談内容などを入力してもらう場合は、個人情報の利用目的を送信前に確認できる位置へ置きます。

日本の中小企業で翻訳ページの内容と公開後の更新担当を確認する様子
意味が正しいか、画面で読めるか、問い合わせ後に対応できるかを分けて確認し、原文更新時の担当も残します。

送信試験では、通知が届くかだけでなく、誰が内容を読み、誰へ引き継ぎ、どの言語でいつ返答するかまで確認します。多言語版の写真を撮り直す場合は、中小企業の自社撮影で決めることも確認してください。

公開までを6段階で進める

段階決めること完了の証拠
1. 目的相手、言語、読後の行動一文で説明できる
2. 範囲優先ページと翻訳しないページURL一覧がある
3. 原文正本、用語、確認者承認済み原文と用語集
4. 翻訳方法、校正、修正手順意味と条件の確認記録
5. 実装URL、切替、hreflang、フォームPC・スマートフォンの操作記録
6. 運用更新担当、期限、計測原文変更から反映までの台帳

公開後は言語別に利用と更新を確かめる

アクセス数だけで良し悪しを決めません。言語ごとの閲覧ページ、問い合わせ、資料の利用、追加で聞かれた質問を分けて確認します。Search Consoleでは検索語、ページ、国などを組み合わせて検索での見つかり方を確認できますが、商談や受注は社内記録と照合します。

  • 想定した言語とページが検索で表示されているか
  • 日本語版へ戻ってしまうリンクやフォームがないか
  • 対応できない地域や内容の問い合わせが増えていないか
  • 原文を変更したのに未更新の翻訳版がないか
  • 利用者から追加で聞かれた仕様や条件は何か
  • 更新負担に対して残すページと止めるページを判断できるか

担当者変更や制作会社の切替に備える場合は、ホームページの引き継ぎで確認する情報も一緒に残します。翻訳サービスだけでなく、ドメイン、WordPress、解析、更新台帳の管理者を確認します。

公開前チェックリスト

  • 対象者、言語、読後の行動を一つずつ説明できる
  • 優先ページと翻訳しないページを決めた
  • 日本語原文、用語、数字、固有名詞を確認した
  • 言語ごとのURLと手動の切替リンクがある
  • hreflangが自分自身を含め相互に対応している
  • ページ全体と部分的な別言語へ適切なlang属性がある
  • フォーム、同意、エラー、送信後メールを対象言語で確認した
  • PC、タブレット、390px、320px、キーボードで操作した
  • 原文変更を翻訳版へ反映する担当と期限を決めた
  • 検索、問い合わせ、商談を混同せず確認する

まとめ

多言語化は、翻訳ページを増やす作業ではなく、必要な相手へ正確な情報を届け続ける仕事です。相手と目的を定め、優先ページを絞り、原文、翻訳、URL、問い合わせ、更新を一つの流れにしてください。

Bämでは、現在の会社案内や営業資料を拝見し、どの相手へ、どのページを、どの順番で用意するかから整理します。多言語対応を含む会社のホームページを見直したい場合は、Bämのコーポレートサイト制作をご覧いただくか、現在の状況を相談窓口でお聞かせください。

参考資料