工事は終わったものの、施工前の写真が残っていない。完成写真はあるのに、ホームページの施工事例として何を書けばよいか迷うことがあります。前後を並べられなくても、その現場で何を依頼され、どこを施工したかが分かれば、次の発注を考える方の参考になる事例を作れます。

完成写真を中心に、依頼内容、自社の担当箇所、現場で工夫したことを添えます。写真に写らない仕事は、確認できる記録と担当者の説明で補いましょう。ここでは、完成写真だけを使う工事事例の組み立て方を、設備工事の架空例で説明します。

前後の変化を見せる構成から、実施した工事を伝える構成へ

施工前の写真がないとき、空欄の「Before」を残したり、似た別現場の写真を並べたりする必要はありません。見出しを「施工内容」「担当した工事」などにして、実際に掲載できる完成写真から読み始められる構成にします。

工事会社の施工事例にも、前後比較の紹介と完成現場写真の紹介を分けた掲載例があります。例えばトラストテックの施工事例ページでは、この二つが別の見出しで案内されています。前後比較だけが事例の見せ方ではありません。

大切なのは、写真の枚数を埋めることより、その会社に何の工事を頼めるかが伝わることです。仕上がりの全景が一枚だけでも、写っている設備や施工箇所に対応した説明があれば、仕事の紹介に使えます。

完成写真の中で、自社が担当した場所を示す

架空例として、事務所の空調設備を更新した設備会社を考えます。掲載できるのは、工事完了後に撮った室内の写真一枚。壁、照明、机なども写っていますが、自社が担当したのは空調機器の交換と接続に関わる作業だったとします。

写真の下に「事務所改修」とだけ書くと、内装全体を施工したようにも読めます。「事務所の空調更新。写真中央の室内機の交換を担当」のように、写っているものと自社の仕事を結び付けます。写真上の小さな矢印だけに頼らず、本文でも場所と内容を説明します。

機器の全体が小さく写っている場合は、元画像から必要な部分を拡大した画像を添える方法もあります。その際は「完成写真の拡大」と分かる説明を付けます。別の角度から撮った写真や、別の工程を記録した写真として扱わないようにします。

完成した室内の写真に写るものと、自社が担当した空調更新の範囲を分ける架空例
写真全体の印象と、自社の担当工事を分けて説明します。

依頼内容は、写真では分からない出発点を補う

完成写真だけでは、なぜ工事が必要だったかは伝わりません。施主からどのような相談を受けたかを、公開できる範囲で短く添えます。先ほどの例なら「使用中の空調設備を更新したいという相談を受け、現地の設置状況を確認しました」という書き出しが考えられます。

老朽化、故障、使いにくさなどを、写真の見た目から推測して書くのは避けます。依頼時の記録や工事担当者の説明に戻り、確認できる理由を使います。詳しい経緯を公開できなければ、対象の建物と工事の種類が分かる説明にとどめても構いません。

施設名を出せない場合は、掲載について確認したうえで「事務所」「工場」などの用途で紹介する方法があります。詳しい住所や顧客名を増やすことより、その事例を読む方が自分の建物や依頼内容に近いと判断できる情報を選びます。

工夫は、現場の条件と実際に行ったことを一組にする

「丁寧に施工しました」だけでは、どんな対応をしたのかが残りません。工事の担当者へ、通常の説明に加えて伝えたい現場条件があったか、その条件にどう対応したかを聞きます。

架空の空調更新で、事務所の利用時間に合わせて作業日を調整した事実があるなら、その調整を説明できます。機器の搬入経路を事前に確認したなら、どのような点を確認する必要があったかを、公開できる範囲で添えます。担当者が説明できる対応から選び、工夫を必ず複数並べようとしなくてよいでしょう。

完成写真からは、作業日の調整や事前確認は見えません。それでも、写真が示す仕上がりと、文章で伝える段取りを合わせれば、現場を任せる際の判断材料になります。「どの現場でも営業を止めずに工事できる」と一般化せず、この現場で行った対応として書きます。

見えない施工箇所は、工程写真か説明図で補う

完成後に隠れる部分を説明したい場合は、同じ現場の工程写真が残っていないかを確認します。使える写真があれば、「施工中」と示し、どの工程・箇所なのかを添えます。完成写真と並べる際も、見た目の変化を比べる写真とは役割を分けます。

工程写真もなければ、施工記録をもとに、担当箇所の位置や作業の関係を簡単な説明図にすることを考えます。「施工範囲の説明図」と明記し、実際の状態を撮影した画像と区別します。寸法や配管の位置を正確に示す資料がないなら、それらを推測して描き込まず、確認できる関係だけを示します。

図の目的は、読者が工事の説明を理解することです。残っていない施工前の状態を画像生成で作ったり、説明図を施工品質の証拠として扱ったりはしません。確認できない部分を無理に見せず、完成写真と事実に基づく文章だけで構成する選択もできます。

完成写真、依頼と担当範囲、現場条件と対応の順に工事事例を組み立てる構成図
写真を入口に、依頼内容と担当した仕事をつなげます。

写真のそばに説明を置き、一つの事例として読めるようにする

掲載時は、工事の種類が分かる題名、完成写真と担当箇所の説明、依頼内容、実施した作業と工夫の順に並べると、写真一枚からでも内容を追えます。別のページまで探さないと担当範囲が分からない構成は避け、写真と説明を近くに置きます。

公開前には、工事担当者に施工内容を、掲載を確認する方に写真と説明の公開範囲を確かめてもらいます。工事記録として保管している写真が、そのままホームページにも使えるとは限りません。写真内の掲示物や取引先の情報も含めて確認します。

この構成は、ホームページで仕事を紹介するためのものです。工事の検査・引渡しなどで必要な写真や書類の代わりにはなりません。事例では、手元にある資料で説明できる仕事を選び、読む方が「同じような工事を相談できそうか」を判断できる形に整えます。

Bämの建設・設備工事のホームページ制作では、公開できる施工写真と担当工程を確認し、工事内容が伝わる原稿と事例ページを制作します。写真が十分でない場合も、現在ある資料から何を伝えられるかを整理します。

参考資料