福祉施設のホームページに日々の様子を載せたいけれど、利用者の写真は使いにくい。その場合も、建物の外観だけで紹介を終える必要はありません。普段使う場所、活動の道具、掲載を了承した職員の仕事を組み合わせると、どこでどのような支援を行うかを伝えられます。

先に考えたいのは、「人が写っているか」よりも、その写真で何を知ってもらいたいかです。落ち着いて過ごせる場所なのか、活動はどのように用意するのか、相談には誰が対応するのか。伝えたい内容から、撮れる場面を選びます。

利用者が写る写真を集める前に、使える素材を考える

個人情報保護委員会の医療・介護分野のQ&Aでは、個人を識別できる写真は個人情報に当たり、ホームページなどへの掲載に際して本人の同意が必要と説明されています。日々の記録用に撮った写真を、そのまま広報へ使えるとは考えず、掲載する範囲を事業所で確認します。

一方で、ホームページを作るために、利用者の出演を必須にする必要もありません。これから撮影するなら、利用者がいない時間帯の空間や、活動を始める前の準備を候補にできます。写真を使わない部分は、職員から聞いた具体的な説明で補えます。

顔をぼかしたり、後ろ姿にしたりすれば確認が不要になると決めつけることも避けます。服装や掲示物、説明文などから誰かが分かる場合があるため、写真全体と掲載文を一緒に見ます。

部屋全体と、過ごし方が分かる部分を組み合わせる

室内の写真は、広さを見せるだけでなく、そこで何をするかが分かるように選びます。活動を行うテーブル、静かに過ごす場所、相談室などを、用途ごとに紹介する方法があります。

例えば、日中の活動を支援する事業所の架空例を考えます。活動室の全景には「ここで工作や軽作業を行います」と添え、別の写真では、少し離れた席や休憩できる場所を紹介します。実際にその使い方をしている場合に、活動への参加と休憩をどう相談できるかを文章で伝えます。

広角の写真で実際以上に広く見せたり、撮影のために普段使う物をすべて撤去したりすると、見学したときの印象が変わります。片付けは必要ですが、普段の配置や使い方が分かる状態を基本にします。

手すりや出入口などを見せる場合も、設備の写真だけで誰にでも利用できると説明しません。寸法や利用条件など、写真から分からない点は事業所で確かめ、必要な方が相談できる案内を添えます。

活動の道具は、支援の工夫と一緒に撮る

色紙、筆記具、園芸の道具、作業用の材料など、日常の活動で使う物も素材になります。ただ道具を並べるだけでなく、何をするために、どのように準備しているかを聞いてから撮影します。

先ほどの事業所なら、工作の材料を選びやすく分けたトレーを撮り、「活動に使う材料を種類ごとに用意します」と説明できます。複数の道具から選べる運用であれば、その選び方を添えると、準備の写真が支援の説明につながります。

作品を紹介する場合は、作品そのものの掲載可否も確認します。作者名、名札、日付などが写ることもあるため、利用者の顔がない写真でも、公開してよい情報だけになっているかを見ます。必要なら職員が撮影用に用意した見本で活動内容を示します。

過ごす場所には室内の配置、活動内容には道具と準備、支える人には職員の仕事を対応させる写真選定図
利用者の姿を載せなくても、場所・活動・職員の仕事から説明を組み立てられます。

職員の写真は、担当する仕事が分かる場面を選ぶ

掲載を了承した職員の写真を使える場合は、集合写真に加えて、活動の準備や相談対応の場面を考えます。氏名や顔を載せる範囲、使用するページを確認したうえで、実際の担当業務が伝わる写真を選びます。

利用者を写さずに職員同士で場面を再現するなら、「相談の流れを説明する場面」など、写真の役割が分かる説明にします。職員を実際の利用者として紹介したり、撮影のために集まった人数を日常の配置人数のように見せたりしません。

顔を掲載しない職員についても、道具を用意する手元や、部屋を整える場面で仕事を伝えられる場合があります。写真だけで人柄を表そうとするより、「どんなことを確認して準備するか」「相談で大切にしていること」を本人の言葉から文章にすると、役割が具体的になります。

写真に写らない支援は、短い説明で補う

きれいな部屋の写真から、活動を選べるか、体調に合わせて休憩できるか、相談をどのように受けるかまでは分かりません。写真の下には、見えている物の名前だけでなく、その場所や道具をどう使うかを書きます。

ただし、一枚の写真から支援の効果や、すべての利用者への対応を言い切らないようにします。「安心して過ごせます」とまとめるより、静かな場所で休憩したい場合にどう相談できるかなど、実際の運営に即した説明を添えます。

施設種別や拠点によって使える場所や活動が違う場合は、どの事業所の写真かも示します。系列施設の設備を借りて紹介し、掲載先でも同じ設備があるように見せないことが大切です。

活動用トレーの写真に、何を用意し、どう選べるかの実際の説明を添える例
見えている場面と、現場で確かめた説明を一組にします。

制作会社へ渡す前に、背景まで確認する

候補写真を選んだら、名札、予定表、支援の記録、掲示された写真、鏡や窓への映り込みを確認します。人物が写っていないつもりでも、背景に情報が残ることがあります。撮り直せるなら、公開してよい状態を整えてから撮る方法を優先できます。

写真には、撮った場所、時期、使ってよい範囲、説明を確認する担当者を添えて渡します。公開前にはページに入った状態で見て、切り抜きによって必要な物が消えていないか、文章が写真以上のことを約束していないかを確かめます。

Bämの介護・福祉のホームページ制作では、職員のお話から支援の内容を整理し、掲載できる写真と文章を組み合わせます。利用者の写真がない段階でも、今ある素材と撮影できる場所から、日々の支援を伝える方法を考えられます。

参考資料