自社の加工技術を生かして、新しい製品や仕組みを一緒に考えてくれる企業を探したい。町工場を営んでいる方がホームページで呼びかけるときは、「共同開発パートナー募集」の一文に、どんな仕事を相談したいかを添えることが大切です。
読む方が知りたいのは、解決したい課題、自社で用意できるもの、協力をお願いしたい役割、最初の連絡で伝える内容です。この四つをそろえると、自分たちの技術で参加できそうかを判断しやすくなります。一つの募集テーマを例に、掲載するページと制作に必要な素材、受付や更新の仕組みを整理します。
地域の技術との出会いを、自社の募集内容へつなぐ
門真市の「ものづくりタウンかどま」の紹介では、市内企業の事業や技術の情報を掲載し、市内外の企業との連携を目指すことが案内されています。技術ニーズを持つ方が企業を探す入口として位置づけられています。門真市の製造業ポータルサイトの案内
こうした情報やお取引先からの紹介で会社を知った方に、自社サイトでは具体的な開発テーマを伝えます。設備一覧だけでは、加工を発注したいのか、新たな方法を一緒に考えたいのかが分からない場合があります。自社の得意な仕事と、今回探している協力内容を別々に説明すると、連絡のきっかけを作れます。
ページ名も、「パートナー募集」だけでなく、テーマや役割が分かる言葉にします。共同経営者や従業員を探す募集、販売店を募る案内、仕様の決まった部品の発注では、検討に必要な条件が異なります。何を一緒に進めたいかを冒頭で伝え、該当する方が内容を読めるようにしましょう。
開発課題と、いま用意できる技術を分けて書く
以下は、門真市の町工場K07による架空の募集例です。テーマP07は、手で部品を置く治具で、部品が置かれているかを確認する方法の検討。治具は部品の位置をそろえるための道具です。K07は治具の設計と試作ができ、説明用の見本を用意しています。一方、部品の有無を確認する検出方式と、試験の条件はまだ決まっていません。
この段階で「部品の置き忘れを防ぐ装置を開発しました」と書くと、完成した仕組みや販売できる製品があるように伝わります。P07の募集では、次のように現在地と協力内容を示します。
部品を置く治具と組み合わせて、部品の有無を確認する方法を共同で検討したいと考えています。当社は治具の設計・試作と試験用の部品見本を準備します。検出方式の候補や確認方法をご相談できる企業の方から、ご連絡をお待ちしています。
初めから方式を一つに決めて募集するか、複数の候補を相談するかも明示します。この例は後者です。「指定した機器を取り付けてほしい」という依頼文にすると、新たな案を持つ企業が参加しにくくなるかもしれません。決まっている条件と、一緒に考えたい部分を分けて伝えます。
また、自社で提供できる技術は、設備名より仕事の形で書きます。「加工設備を保有」だけでなく、「部品の位置をそろえる治具を設計し、試験に使う形へ試作する」と示せば、検出方式を検討する方も、どの素材や作業を持ち寄れるかを想像できます。

募集要件票を、四つの項目で用意する
ホームページの原稿を作る前に、募集要件票を一枚用意します。技術担当だけでなく、最初の連絡を受ける方も内容を読める言葉にすると、その後の案内がそろいます。P07なら、次のように記入できます。
| 確認項目 | P07の記入例 |
|---|---|
| 開発課題 | 手で部品を置く治具で、部品の有無を確認する方法を検討したい。検出方式と試験条件は未確定 |
| 自社担当 | 治具の設計・試作、試験用部品見本の準備。公開用には自社の説明用見本を用意 |
| 協力をお願いしたい役割 | 検出方式の候補と確認方法の相談。試験条件は両社で検討する |
| 初期相談 | テーマ名P07、提案できる役割、類似分野の経験の概要、打ち合わせ可能な時期を連絡 |
「幅広い技術をお持ちの企業」とするより、お願いしたい役割を具体的にすると、検討する方が自社との接点を見つけやすくなります。方式の選定だけを相談できる企業も、試験まで協力できる企業も、担当できる範囲を伝えられる書き方にします。
試験条件には、対象となる部品、置き方、何を確認できれば次へ進めるかが含まれます。この例では共同で決める内容として残し、K07だけで結果や検出率を約束しません。現在分かっていることを公開し、細かな条件は次の話し合いで確認できる順番を作ります。
P07でまず確かめたいのは、部品を置いた状態と置いていない状態を区別する方法です。部品の品番違い、向きの違い、良品かどうかの判定まで含むとはしません。「検査の自動化」と広く書くより、最初に検討する問いをこのように限定すると、必要な知見と試験の話を始めやすくなります。
費用、役割の分担、作業期間、資料の扱いも、具体的な検討へ進む際に確認する項目です。募集ページには「初回に技術の概要を伺い、検討する範囲や進め方を個別に相談します」と案内できます。詳細な設計や試作品を、参加の連絡時点で当然に用意してもらう募集にはしないよう、社内の案内もそろえます。
公開する情報と、個別に確認する資料を分ける
課題がぼんやりしすぎると、協力できるか判断しにくくなります。一方、詳しく伝えようとしてお取引先の図面や未公表の試験情報まで載せる必要はありません。中小機構のジェグテックのFAQでも、ニーズを具体的に書く際は開示できる範囲を検討し、機密情報を含めない考え方が示されています。ジェグテックのニーズ情報に関するFAQ
P07の公開素材は、自社で用意した説明用治具見本の写真と、担当する役割の図にします。写真では部品を置く位置を示し、完成した検出装置の実績写真として見せないようにします。まだ決まっていない検出機器を写真に付け加えるより、検討したい部分を短い説明で示す方が、現在の段階を伝えられます。
初回の連絡でも、社外へ出せない資料の添付を必須にしません。提案できる技術の概要や公開済みの紹介ページがあれば、まずそこから話を始める形にできます。そのあと、双方が共有する資料と方法を確認し、必要な打ち合わせへ進みます。

公開する説明と個別資料は、保存場所も分けて管理すると、更新担当が取り違えにくくなります。ホームページへ掲載するファイルには用途を分かるように付記し、図面や試験データの置き場所を、そのまま公開ページの素材置き場にしない運用を決めておきます。
募集ページを、技術紹介と問い合わせへつなぐ
K07のサイトでは、事業紹介から「治具の技術を生かした共同開発のご相談」としてP07へ進めるようにします。募集ページには、開発課題、自社の担当、協力をお願いしたい役割、現在の段階、初期相談の順で情報を置きます。設備や会社の基本情報は既存の紹介へつなぎ、募集内容の中へ長く繰り返しません。
通常の加工見積もりと同じフォームを使う場合も、どのテーマの相談か分かる案内が必要です。最初は自由記入欄に「共同開発P07について」と書いていただく形で始められます。募集のためだけに、完成図面、確定数量、希望納期を必須にする既存の条件が残っていないかを確認します。
初期相談の記入例は、「P07について、部品の有無を確認する方式の検討に協力できます。類似の確認用途に携わった経験があり、候補となる方法と試験条件から相談したいです。来月前半に打ち合わせ可能です」といった内容です。実現を保証する提案書ではなく、次の会話ができる接点を伝えていただきます。
経験の説明は、お客様の社名や非公開案件の数値がなくても構いません。「どのような確認用途で、どの部分を担当したか」を公開できる範囲で伺います。実績写真を出せることだけを連絡の条件にせず、提案できる役割から技術担当が話を聞ける入口にします。
窓口を担当する方がテーマ名と内容を確認し、技術担当へ渡してから、追加で伺うことや打ち合わせの進め方を返答します。受付の連絡と、共同開発を始める合意は分けて案内します。問い合わせを送っただけで参加が決まったように見える完了画面も、募集の段階に合う文章へ整えましょう。
原稿と素材の制作、追加する機能を整理する
四項目の募集要件票から、原稿を直す部分と新しく用意する素材を決めます。一つのテーマなら既存の技術紹介の中へ募集の節を設ける方法もあります。募集を単独で共有したい場合や、段階・役割・相談手順にまとまった説明が必要な場合は、専用ページとして整理できます。
| 依頼する項目 | K07で整理する内容 |
|---|---|
| 原稿・素材 | 課題と役割の聞き取り、募集要件票の原稿化、説明用治具見本の写真、担当範囲の図 |
| ページ・受付 | 事業紹介からP07へ案内。募集の段階と初期相談を掲載し、既存フォームの案内を見直す |
| 更新・確認 | 技術担当が課題と役割、窓口担当が連絡手順、掲載担当が募集状態と関連リンクを確認 |
複数のテーマを募集する場合は、管理画面でテーマ名、担当する役割、募集中かどうかを更新する欄が役立つこともあります。フォームでテーマを選択して引き継ぐ機能を付けるなら、確認画面、送信控え、窓口への通知に同じテーマ名が残ることまで依頼に含めます。
個別の資料共有、提案の審査、契約の管理までサイト上で行う仕組みは、募集原稿や問い合わせの追加とは別に検討します。現在使っている連絡や資料共有の方法で進められるかを確認し、必要な機能と運用できる範囲を制作会社へ伝えます。
募集が終わっても、通常の仕事の相談先を残す
P07の募集受付を終了することになったら、詳細ページだけでなく、テーマ一覧や事業紹介の誘導文、フォームの選択肢を同じ状態に更新します。以前に案内を受けた方が直接ページを開くこともあるため、「P07の募集受付は終了しました」とそのページで分かるようにします。
終了前からフォームを開いていた方が送信する場合も想定します。P07を選んだ内容が別の用件へ勝手に置き換わらないようにし、終了した募集への連絡には現在の受付状況をご案内します。通常の加工相談へ進みたい場合は、その方に用件を選び直していただく流れを確認します。
募集終了を、共同開発の成立や開発成功と同じ意味で表示する必要はありません。紹介できる事実が確定したら、必要な範囲で別に案内します。また、K07が通常の治具設計や加工の相談を続けているなら、その入口は維持します。共同開発の募集窓口を閉じたことで、会社全体が相談を受けないように見えない構成にします。

公開前には、募集を考えた方以外にページを読んでもらい、自社が準備するもの、お願いしたい役割、最初に伝える内容を説明してもらいます。公開後は、届いた連絡から役割の解釈が合っているかを確認します。テーマ名の引き継ぎや募集終了の変更を行った場合は、古い入口から進んでも現在の状態が読めるかまで試します。
Bämでは、会社の事業や技術を伝える構成、原稿、相談への入口、更新方法を含めたホームページ制作をご案内しています。募集要件票と現在のページ、公開できる写真、確認を担当する方を整理して、門真市のホームページ制作・改善のご案内をご覧ください。どの役割を募集するかが伝わり、初期相談へ進めるページを具体化できます。
参考資料
- 門真市「ものづくりタウンかどま」紹介(2024年12月17日更新)
- 中小機構 ジェグテック「よくあるご質問」
- Bäm「コーポレートサイト制作」
資料確認日:2026年9月8日