研究支援の仕事をホームページで紹介しようとして、営業資料や納品書類を前に手が止まることはないでしょうか。専門性は伝えたいものの、お客様の研究内容を含む資料を、そのまま制作会社へ渡せるとは限りません。
依頼前に揃えたいのは、引き受ける作業、納品するもの、公開できる見本、個別相談で確かめることです。特に資料の見本は、仕上がりを説明するものなのか、実際の研究結果を示すものなのかを先に決めると、必要な原稿と画像が見えてきます。
茨木市で研究支援サービスの発信を担当されている方へ、測定データの整理を例に、制作相談に使える企画票と資料の準備方法をご紹介します。
研究分野の紹介から、相談できる仕事へつなぐ
茨木市の第4期産業振興アクションプランは、2025〜2029年度を計画期間としています。冊子7ページでは、彩都西部地区のライフサイエンス分野の研究・技術開発施設や、関連する企業の集積が紹介されています。
こうした分野の仕事を説明する際、「ライフサイエンスを支援」と大きく掲げるだけでは、自社へ何を依頼できるかが伝わりにくいことがあります。試料を受け取る仕事、測定を行う仕事、受け取ったデータを整理する仕事では、必要な資料も納品物も違います。
彩都との関わりを載せる場合も、所在地、利用する施設、連携先との関係を自社の事実で確認します。地域の紹介から、施設を自由に利用できることや、特定の機関との共同研究実績まで読み取れる文章へ広げないことが大切です。
制作打ち合わせには「どの研究分野か」に加え、「どの状態の資料を受け取り、何をして、何を返すか」を持ち込みます。その説明があれば、研究設備の写真を大きく使うべきか、データ整理の前後を見せるべきかも判断できます。
一件の作業を、受け取る資料と納品物で説明する
ここからは、茨木市の研究支援会社R01という架空例で考えます。R01は、お客様が測定した温度記録のCSVファイルを受け取り、日付・時刻の表記を揃え、時系列の図を作成するサービスを提供しています。測定そのものや、研究の結論を決める業務はこのサービスに含めません。
担当者が知りたいのは「データ処理に対応」という言葉の先です。手元の記録を渡したら、どんな状態で返ってくるのでしょうか。この例では、整形したCSV、推移を示す図のPDF、変更した項目を記した処理記録の三つを納めます。
処理記録には、時刻表記を揃えたこと、元の測定値は書き換えていないこと、値が入っていない箇所は空欄として残したことを記します。見やすいグラフ一枚だけを載せるより、表と記録も一緒に返ると説明したほうが、ご担当者が社内で内容を確かめる場面を想像できます。

作業の説明は、「数値から研究の答えを導きます」ではなく、「日付・時刻の表記を揃え、元の測定値を確認できる表と推移図にまとめます」とします。研究上どの意味があるかを判断することと、判断に使う資料を整えることを、読み手が分けて理解できる文章です。
納品形式や処理方法は、実際に提供している条件で確かめます。CSVを渡せることと、専用ソフト上で再編集できるファイルまで納めることは同じではありません。この例で編集用ソフトのファイルをご希望の場合は、三つの納品物に加えて対応できるかを確認します。
公開見本には、説明用のデータを別に用意する
R01では、過去のお客様の温度記録D01を公開見本に使わず、社内で説明用に作ったデータから見本S01を用意します。D01の社名だけを消したものではありません。研究内容の公開確認と切り離して、表の読み方と納品する資料の関係を説明するためです。
S01では三つの時刻を載せ、9時00分は20.1℃、9時10分は値が入っておらず、9時20分は20.3℃とします。空欄のある例にするのは、見やすく整える際にも測定値を補っていないと示すためです。推移図でも値のない時刻をゼロ度の点として描かず、空欄に対応する箇所が分かる表現にします。
公開ページには「納品形式の見本」と題し、近くに「説明用データで、表・図・処理記録の構成を紹介しています」と添えます。資料を確認する方が、数値の位置付けを理解できる説明にします。実績一覧の「研究結果」へ登録せず、サービス詳細の見本として置きます。

お客様の実資料を紹介したい場合は、見本とは別に、その資料がどの案件の何を示すかと掲載できる範囲を確認します。図の見た目だけを借りるのか、実際の作業例として説明するのかで、本文の書き方も変わります。許可が確認できない段階では、S01の説明でサービスを伝える準備を進められます。
見本のラベルは、画像を拡大したときやPDFだけを開いたときにも残します。ページ本文に一度書いてあっても、資料だけを社内へ転送した方には届かないためです。図中の数値から効果や性能を読み取る資料ではないと、見本単体で分かる名前と説明に整えます。
研究支援サイトの企画票を、一枚にまとめる
次の企画票は、R01がホームページ制作を依頼するときの記入例です。公開用の内容と、自社で確認する事項を分けています。実際にはサービスごとに一枚作り、現在の営業資料や納品形式と照合して使います。
| 企画票の項目 | R01の記入例 |
|---|---|
| 受託範囲 | お客様が測定した温度記録CSVの日付・時刻表記の統一と推移図の作成。測定の実施や研究上の結論の判断は含めない。 |
| 成果物 | 整形CSV、推移図PDF、処理記録。元の測定値を変更せず、空欄の扱いを記録。追加形式は希望を聞いて確認する。 |
| 公開資料 | 説明用データから作る見本S01。三時刻のうち一か所は空欄。資料内にも「納品形式の見本」と表示。顧客データD01は公開素材に含めない。 |
| 相談条件 | 最初はファイル形式、おおよその列数・行数、整えたい内容、希望時期を伺う。実データは最初のフォームで求めず、必要箇所と共有方法を確認してから受け取る。 |
| ページの構成 | サービス詳細に作業と三つの納品物、見本に仕上がりと空欄の扱い、相談案内に最初に伝える情報を配置する。 |
| 確認する方 | 技術担当が処理範囲と見本、サービス責任者が公開内容、受付担当が相談項目を確認。制作担当が確認済みの文章・画像・リンクを反映する。 |
この票を制作会社へ渡す際は、S01を添え、D01は自社の管理場所に残します。「公開しない資料もある」と伝えるために、非公開資料の中身まで共有する必要はありません。資料名、確認中の理由、回答する担当者を別の社内メモに残しておけば、準備の進み具合を追えます。
費用と納期が個別見積りなら、決定前の金額を埋めるより、何を見て算定するかを確認します。R01ではファイル数、列構成の違い、希望する図の種類などを技術担当が確認する流れです。大まかな行数だけで金額を自動確定する仕様は、この企画票からは求めません。
資料の見せ方を、ページの原稿と揃える
サービス詳細の最初には、研究分野の紹介に続けて、引き受ける作業と納品物を短く置きます。「温度記録を、社内で確認しやすい表と図へ」という見出しの下に、CSV・図PDF・処理記録を並べれば、設備名に詳しくないご担当者も依頼内容を説明しやすくなります。
見本は、表を画面いっぱいに拡大して載せる必要はありません。本文には三つの納品物の関係図を置き、詳しく見る方が見本の該当箇所を開ける構成にします。細かい列名や条件を長い画像へ詰め込まず、検索や読み直しができる文章でも説明します。
S01をダウンロード資料にするなら、リンクを「資料はこちら」だけにせず、「納品形式の見本:表・推移図・処理記録」のようにします。資料を受け取るための申込みを設けるかは別の判断です。仕上がりの確認を目的に公開する見本なら、会社情報の入力なしで読める形も検討できます。
実績ページ、検索結果用の説明、資料一覧の短い紹介も同時に確認します。詳細には「説明用データ」とあっても、一覧が「研究成果のご紹介」になっていると受け取り方が変わります。見本は納品の形式を示し、実績は確認できた案件を示すという区別を、入口から保ちます。
初回相談では、実データを渡す前の情報を聞く
R01へ初めて相談する方には、「CSV形式、約6列・1万行、時刻の書き方を揃えて推移を見たい、希望は来月」のように伝えていただきます。これは受付に必要な概要の例で、まだ受託や納期を確定した状態ではありません。列数が不明でも、分かる項目から相談できる案内にします。
フォームの近くには「最初はファイルの形式と、整えたい内容をお知らせください。データの受け渡し方法は、担当者からご案内します」と添えます。研究テーマの詳細や値の一覧を自由記入欄へ貼り付けなくても、相談を始められる入口にします。
受付後は技術担当が必要な確認を絞り、お客様と共有できる内容、確認する担当者、受け渡し先を決めます。R01が既に個別共有の仕組みを使っているなら、その案内を活用できるかを確認します。ホームページの公開画像と、お客様の研究データの保管を一つの更新欄へまとめない設計です。
「非公開相談」というボタン名を付けるだけで、個別資料を扱う仕組みが完成するわけではありません。今回の制作に含めるのが概要受付までか、資料共有機能までかを見積りで分けます。共有機能が必要なら、誰がどの案件の資料を開き、いつ利用を終えるかを別に整理します。
制作会社へ頼む範囲を、資料ごとに決める
準備する資料は、企画票、現行サービスの作業一覧、S01の見本案、現在のページURL、受付後の案内文です。自社で用意するのは、実際の作業条件と、公開できる見本の内容です。原稿の言い回し、図の構成、ページ内の順番は、その材料から制作会社と検討できます。
R01なら、サービス詳細の原稿整理、三つの納品物の関係図、見本を置く節、相談前の案内文を制作範囲にします。追加の機能は、見本を自社で差し替える欄と、概要を受け取るフォームの変更が必要かを確認します。研究データの処理システムや、自動見積りまで一括で発注する計画には広げません。
見本をどの順番で見せるか、専門用語をどう補うかは、Bämのコーポレートサイト制作で案内している原稿整理や構成づくりにつながる相談です。更新機能や公開前のフォーム確認も案内されています。特別な機能は別途見積りとなるため、R01の概要受付と、個別資料を受け渡す機能の必要性を分けて伝えます。
企画票を自社のサイトへどう組み込むか検討したい方は、茨木市のホームページ制作・改善のご案内もご覧ください。公開できる資料が少ない段階でも、納品物と見本で示したいことを整理すると、原稿・図・更新機能の作業を具体的に相談できます。
公開前は、見本の中身と説明を一緒に確かめる
最後は、技術担当と、案件を知らない方に分けて確認してもらいます。技術担当には、元の見本データと公開用の表・図・処理記録が合っているかを見てもらいます。案件を知らない方には、「何が納品されるか」「この数値は顧客実績か」「最初の相談で何を送るか」を説明してもらいます。
S01で9時10分の空欄が、図を作る途中で0℃になっていたら、図を修正する必要があります。「元の測定値は変更しない」という本文だけを残して合格にはできません。空欄を保った表、値のない時刻を示す図、空欄の扱いを記した処理記録を揃え直します。

修正後は資料の版をS01第2版として記録し、サービスページの見本画像、ダウンロード先、資料内の説明を確認します。ここでは見本の表示を直したのであり、R01の受託範囲が変わったわけではありません。後から新しい分析業務を追加する場合は、技術担当と責任者が新しい条件を決め、別の変更として原稿へ反映します。
公開後も「グラフができれば研究の結論まで出ると思った」という質問が届くなら、見本の題名や納品物の説明を見直します。研究の専門性を細かく書き足す前に、担当する仕事と、ご相談くださる方の期待が合っているかを確かめることが、次の改善につながります。
参考資料
- 茨木市:第4期茨木市産業振興アクションプラン(2025年3月、計画期間2025〜2029年度。冊子3・7ページ)
- Bäm:コーポレートサイト制作
資料確認日:2026年9月8日。