客室や食事のページを英語にすると、海外からの質問にも英語で答えられる窓口が必要になります。ただ、英語のメールを読める人がいても、電話で話せるとは限りません。日中に返信できても、夜の到着時に同じ担当者がいるとは限らないでしょう。
宿泊サイトの多言語対応では、翻訳するページを選ぶ前に、どの言語で、どの連絡方法なら、いつ対応できるかを決めます。その範囲に合わせて問い合わせ先と案内文を作ると、旅行者に約束することと、現地で実際にできることをそろえられます。
「英語対応」を、文章・電話・現地の接客に分ける
まず、現在の担当者ができることを連絡方法ごとに確認します。文章なら内容を調べて返信できる、電話では聞き取りが難しい、館内案内は用意した訳文で説明できる、といった違いを書き出します。「英語が得意なスタッフがいる」という情報だけでは、サイトへ載せる対応範囲は決まりません。
公的な案内の一例として、JNTOの観光案内コールセンターの開設案内では、対応言語、受付時間、主な相談内容を別々に示しています。宿の案内でも、この三つを分けると利用できる窓口が分かりやすくなります。ここで参考にするのは情報の示し方であり、宿固有の予約や接客をJNTOへ任せるという意味ではありません。
以下は、小規模な宿の架空例です。日本語では電話とメールに対応し、英語は日中の担当者がメールで返信します。フロントでは翻訳済みの館内案内を使えますが、英語を話せるスタッフが常にいるわけではないものとします。この場合、英語ページへ電話番号だけを大きく載せるより、英語で質問できるメール窓口を主に示す方が実情に合います。
予約前・予約変更・当日の連絡で、案内先を変える
宿へ届く質問をすべて一つの窓口へ集めると、返信を待てる相談と、すぐ確認が必要な連絡が混ざります。翻訳前に、最近の問い合わせを見ながら、次のように分けてみます。
- 予約前の質問:客室の使い方や食事の条件など、施設側の説明が必要な内容。対応できる言語のメール窓口へ案内する。
- 予約済みの内容変更:予約経路と、その予約で使える変更方法を確かめる。予約サイトから申し込んだ場合は、その予約の確認画面や案内に沿って手続きできるようにする。
- 到着当日の連絡:到着が遅れる、入口が分からないなど、通常のメール返信を待てない内容。当日確認できる連絡先と、その窓口の対応言語を示す。
予約サイトの画面が多言語でも、施設へ送るメッセージまで希望の言語で処理されるとは限りません。実際のサービスで利用できる機能、施設へ届く内容、誰が返答するかを確認します。予約変更の扱いもサービスや予約条件によって異なるため、「変更はすべて宿へメール」と一律に案内しない方がよいでしょう。
当日の連絡については、翻訳担当者の勤務時間だけでなく、フロントが何を受け取れれば対応できるかを考えます。予約名、予約番号、到着予定時刻などを文章で送る方法が実際に使えるなら、その方法を案内できます。ただし、通知を見る人がいない窓口を「お急ぎの方はこちら」として掲載してはいけません。
担当者が休みの日にも守れる案内文にする
架空の宿で英語メールを担当する人が一人なら、その人の休日も含めて返信の目安を決めます。毎日受信できることと、毎日返信できることは同じではありません。過去の対応状況と勤務体制を見て、無理なく守れる日数や時間帯を案内します。海外から読む方には、日本時間であることも添えます。
翻訳に渡す日本語の原文は、例えば次のように整理できます。実際に載せる際は、この宿で運用できる窓口名・受付時間・返信目安を具体的に入れます。
ご予約前の施設に関するご質問は、英語でメールをお送りいただけます。担当者が確認して返信します。電話の応対は日本語です。英語を話すスタッフは常駐していませんが、館内では英語の案内をご用意しています。到着当日のご連絡は、予約確認時にお知らせする当日連絡先をご利用ください。
この原文だけで公開を終えず、英語で当日連絡を受ける方法があるのかも確定させます。用意できない場合は、電話が日本語対応であることを予約前から伝え、到着方法や予定変更の連絡を事前に確認できる案内を整えます。使えない窓口を翻訳で補ったことにせず、受け入れ体制として解決が必要な点を残しておきます。
担当者不在時には、別のスタッフが予約との照合や緊急性の確認だけを行い、回答は担当者へ引き継ぐ方法もあります。その場合も、代わりの人がどこまで判断できるかを決めます。未確認の食事対応や特別な手配まで、その場で了承したように返信しないためです。
受け方が決まると、先に翻訳する情報が見えてくる
問い合わせへの対応を整理すると、翻訳が必要な情報にも優先順位が付きます。この宿なら、予約前に判断したい客室・食事の条件、予約先、到着方法、連絡方法の案内が先になります。宿の歴史や周辺の読み物を増やす前に、泊まれるか、予約できるか、当日たどり着けるかが分かる状態を目指します。
また、よくある質問を先に説明すると、担当者しか答えられない相談へ時間を使いやすくなります。ただし、まだ施設内で決まっていない条件は、訳文を作る人に判断させません。チェックイン時間外の到着や食事の変更などは、まず施設側で受けられる範囲を確かめ、その内容を原文へ反映します。
館内の掲示とサイトの説明も見比べます。サイトでは英語で相談できるように読めるのに、到着後は連絡方法が分からない状態なら、予約前の案内と現地で渡す情報をつなぎ直す必要があります。
制作会社には、希望の言語と実際の対応範囲を一緒に渡す
多言語サイトを相談するときは、「英語版を作りたい」に加えて、文章で返信できる人、電話で対応できる人、現地で使える案内、既存の予約先を共有します。対応できる時間帯や、不在時の引き継ぎも分かると、問い合わせボタンの行き先と説明を具体的に検討できます。
翻訳そのもの、訳文の確認、更新時の修正を誰が担うかは、制作範囲として別途確認します。最初に完成した訳文があっても、食事や受付方法が変われば見直しが必要です。宿の運用を変えたときに、対応する案内も更新できる形にしておきます。
Bämの宿泊・観光のホームページ制作では、施設の魅力や利用条件、よくある質問を整理し、現在の予約先へ進める案内を作ります。多言語対応を考える場合も、まず宿で実際に受けられる問い合わせと、予約前に伝える情報からご相談いただけます。