
社内の赤字修正をすべて反映したら、一文が長くなり、何を伝えたいのか分かりにくくなった。そんなときは、追加された言葉を順番に削る前に、訂正された事実と、伝え方についての希望を分けて整理し直します。
正しい情報を残しながら、読者の疑問に答える順序へ文章を組み直すことが必要です。赤字の内容を尊重することと、赤字を入れた位置や言い回しをそのまま残すことは、分けて考えられます。
読みにくくなった一文が、何に答える文章かを確かめる
例えば、設備点検会社のサービス紹介で「どこまで点検を頼めるか」を説明していた文章に、対応地域、設備の条件、会社の理念、担当者の経験が順に追加されたとします。それぞれに掲載する意味があっても、一文へ集めると主な答えが見つけにくくなります。
まず、その段落を読んだ方に分かってほしいことを短く置きます。「点検の対象と、依頼前に確認する条件が分かる」と決めれば、会社の歩みや詳しい点検手順は、別の段落へ分ける判断ができます。
米国政府のDigital.govによる文章構成のガイドでも、読者が何を知る必要があるかを考え、重要な情報を先に置くことが示されています。これは赤字修正の採否を決める規則ではありませんが、追記が増えた原稿を読者の疑問から並べ直す際の参考になります。
正した事実と、言葉の希望を区別して残す
赤字の中には、「全国対応を近畿一円へ直す」のような事実の訂正と、「もっと頼みやすい印象にしたい」のような表現の希望が混ざります。前者を、読みやすさのために元へ戻すことはできません。後者は、希望する印象を保ちながら別の書き方を提案できます。
一つの赤字に両方が含まれることもあります。「どんな設備でも対応、を消して、相談に応じて柔軟に対応としたい」という修正なら、まず対象外の設備があるという事実を確かめます。そのうえで、相談を受けたいという意図を、実際に案内できる行動へ置き換えます。
反対に、二人の確認者が異なる対応地域を記入している場合は、編集だけでは決着しません。制作側が中間の言葉を作って曖昧にまとめず、現在の対応範囲を確認します。事実が未確定の部分は、確定した訂正と混ぜずに残します。
追記の多い原稿を、事実を落とさず書き直す例
ここからは、説明用の架空の設備点検会社を例にします。実在する会社の対応条件や実績ではありません。赤字反映後の原稿が、次のようになっていたとします。
地域に根差してお客様に寄り添う当社では、工場設備の点検を、設備によって対応できないものや図面確認が必要な場合もありますが、近畿一円で長年の経験を生かして柔軟に承っておりますので、まずはご相談ください。
確認済みの事実が「近畿一円で工場設備の点検を行う」「設備によって対応可否の確認が必要」「確認には設備の種類と図面を使う」だとします。地域との関わりを伝えたいという希望もありますが、この段落で先に必要なのは、頼める仕事と相談前の条件です。
例えば、次のように組み直せます。
近畿一円の工場設備の点検を承ります。対応できるかどうかは、設備の種類と図面を確認してお伝えします。ご相談の際は、点検したい設備の種類と、お手元の図面をお知らせください。
この例では、対象と地域を最初に置き、設備によって対応可否が変わる条件を次の文へ残しました。「柔軟に」という言葉を、実際の確認方法へ置き換えています。ただし、図面がない相談も受けるのか、図面の提出が必須なのかは別に確かめる必要があります。原稿にその事実がなければ、「図面がなくても相談できます」とは足しません。
地域との関わりや経験年数は、不要と決めたわけではありません。会社紹介の段落で、確認できる取り組みや沿革と合わせて説明する方が伝わる場合があります。「長年」を具体的な年数に変えるときも、根拠を確認してから記載します。
言葉を移すときは、注意条件が離れすぎないようにする
追記を別の場所へ移すと読みやすくなる一方で、条件が見つからなくなることがあります。例えば、「近畿一円の工場設備の点検を承ります」だけを大きく見せ、対応できない設備があるという条件をページの最後へ移すと、途中まで読んだ方が対象を広く受け取るかもしれません。
サービスを頼めるかどうかに関わる条件は、主な説明の近くに残します。設備ごとの詳しい確認事項が長い場合は、概要を本文に置き、詳細の見出しや案内先へつなぎます。短くするために条件そのものを省くのではなく、概要と詳細へ分けます。
同じ条件があちこちへ追記されている場合は、どの場所で必要かも見直します。最初の説明と申込み前の案内では繰り返す意味があっても、隣り合う段落で同じ断りを重ねる必要はないことがあります。読者がその場所で判断することに合わせて残します。
再確認では、文章の変更と意味の変更を分けて示す
再編集した原稿を社内へ戻すときは、完成文と合わせて、何を残し、何を移したかを短く伝えます。先ほどの例なら、「対応地域と設備条件は維持。地域との関わりは会社紹介へ移動。相談時に使う資料は確認済みの内容で具体化」と説明できます。
確認者には、赤字の言葉が同じ位置に残っているかよりも、訂正の意図が最終文に保たれているかを見てもらいます。特に、対応範囲、料金に含む内容、必要資料、時期などは、文章を分けたことで条件が変わっていないか確かめます。
その後、赤字やコメントの表示を外した状態でも、一度通して読みます。読者には修正理由が見えないため、前後のつながりが自然か、同じ説明が重なっていないかを完成文だけで確認することが大切です。元の指摘は履歴として保存し、判断に迷ったときに戻れるようにします。
まだ意見の集約自体ができていない場合は、制作中の修正依頼を確認メモへまとめる方法が先の整理に役立ちます。Bämの原稿・写真の準備に関する制作相談では、資料やお話から構成と下書きを作り、会社に事実や公開可否を確認していただきます。赤字を反映した後に文章がつながらなくなった場合も、確定した内容と残る疑問を伺い、読み手へ伝わる文章に整えます。
