複数の事業を持つ会社のトップページでは、一つの事業を大きく見せると他の仕事が伝わらず、すべてを同じ量で説明すると会社全体が分かりにくくなることがあります。部署ごとの紹介文を順番に置くだけでは、初めて見る方が自分に関係する仕事を選べません。

最初に伝えたいのは、会社として何を支えているのかと、その中でどの仕事を選べるのかです。会社全体を表す短い説明に、事業ごとの違いが分かる入口を続けます。ここでは、複数事業を最初から紹介するトップページの考え方を、三事業の例で説明します。

会社をまとめる一文と、事業を選ぶ説明を分ける

冒頭の言葉で三つの事業の詳細まで説明しようとすると、長い文章になりがちです。一方、「未来をつくる」「暮らしに貢献する」のような言葉だけでは、どんな仕事の会社かを判断できません。会社の考え方を伝える言葉と、現在提供している仕事の説明を組み合わせます。

例えば、オフィス家具の販売・レンタル・修理を行う架空の会社なら、冒頭に「働く場所に合う家具を、導入から使い続ける時まで」と置き、その下に「オフィス家具の販売・レンタル・修理を通じて、職場の家具選びと活用をお手伝いします」と添える方法があります。

一文目が会社として大切にすること、二文目がそれをどんな仕事で支えるかを伝えます。この二つに続けて事業の入口を置けば、家具を買いたい方も、今ある椅子を直したい方も、自分に関係する仕事があると分かります。

事業同士の関係が薄い会社では、無理に一つの用途へまとめなくても構いません。例えば食品販売と建物管理を行うなら、共通する経営姿勢を短く示したうえで、現在の二事業を具体的に紹介できます。実際には連携していない仕事を、一括して頼めるサービスのように見せないことも大切です。

三事業の入口は、依頼する方の言葉でそろえる

先ほどの家具会社で、事業の入口が「第一営業部」「第二営業部」「技術部」になっていたら、初めての方はどこを選べばよいか判断しにくくなります。担当部署を知っている既存のお客様には通じても、会社を知らない方には仕事の説明が必要です。

トップページでは、例えば次のように、何をしたいときの入口かをそろえます。

  • 家具を購入したい:オフィス家具の販売。取扱商品と導入の相談へ進む。
  • 必要な期間だけ使いたい:家具のレンタル。対象商品と利用条件の確認へ進む。
  • 今ある家具を直したい:家具の修理。相談できる修理内容と確認方法へ進む。

「販売」「レンタル」「修理」という事業名に、依頼する場面を添えると違いが分かります。各入口の文章量や説明する項目をそろえることも有効です。一つは理念、一つは商品名だけ、もう一つは長い担当者紹介という並びでは、同じ基準で選びにくくなります。

会社全体の短い説明の下に、購入・レンタル・修理の三つの事業入口を置くトップページ構成例
会社全体の説明に続けて、仕事の違いが分かる入口を置きます。

リンクにも、行き先が分かる言葉を使います。「詳しく見る」が並ぶ場合でも、どの見出しの詳細かが分かる配置にします。さらに「レンタル対象の家具を見る」「修理の相談方法を見る」と書けば、次のページの内容を具体的に示せます。W3Cのリンク目的に関する解説も、リンクの文言や関連する文脈から目的を理解できることを重視しています。

トップでは違いを示し、条件は事業ページで説明する

トップページの三つの入口に、商品一覧、利用期間、修理の可否、料金まで全部詰め込む必要はありません。トップでは何を選べるかを示し、事業ページへ進んだ後で検討に必要な条件を説明します。

家具販売なら、取扱商品と導入の相談の進め方。レンタルなら、利用できる商品、期間や配送の条件。修理なら、対象とする家具や作業、写真や現物をどのように確認するかです。トップの案内を読んで選んだ方が、次のページで期待した答えを見つけられるようにつなげます。

担当部署の名前は、その先の窓口案内などで役立ちます。組織図は会社の体制を説明する情報として残しつつ、最初の事業選びを社内組織の理解に頼らない構成にします。部署の再編があっても、依頼する仕事から探す入口は維持しやすくなります。

二つの事業を比較して決めたい方もいます。家具を購入するか借りるか迷う相談を受けているなら、両方を確認できる案内を加えられます。ただし、三つの入口を作っただけで、すべての条件を一つの窓口で即答できると約束する必要はありません。実際の受付方法に合う説明を添えます。

主力事業を目立たせても、会社全体の範囲は隠さない

販売の相談を増やしたいなど、サイトの優先目的がある場合は、その事業の写真や説明を大きく扱えます。全事業を常に同じ面積で並べることが公平な設計とは限りません。会社として何を伝えたいかと、訪問する方が何を探すかの両方から優先順位を決めます。

その場合も、冒頭の説明でレンタルと修理を行っていることが分かり、近い位置から各事業へ進めるようにします。販売の事例を長く読んだ後で初めて修理の入口が出てくる構成では、修理を頼みたい方が見落とすかもしれません。

写真の選び方にも気を配ります。新品の家具を並べた写真だけでは販売の印象が強くなります。会社全体を表す写真が難しければ、冒頭は一枚の写真と具体的な説明にし、事業の入口でそれぞれの仕事が分かる写真を添える方法があります。三事業の写真を一枚へ無理に合成する必要はありません。

会社案内、実績、採用、お知らせなどは、その後に必要な順で配置します。事業の説明を読む前に長い沿革を通らなければならない構成にせず、まず現在の仕事を選べるようにします。会社の歴史や考え方は、興味を持った方が深く知るための情報として案内できます。

スマートフォンで、三つの違いを順番に読めるか確かめる

パソコンでは横並びの三事業が、スマートフォンでは縦に続くことがあります。先頭の事業だけに大きな写真と長い説明があると、二つ目以降へ進むまでに会社全体の範囲が分からなくなります。各入口の見出しと短い説明を、順番に読んで比べられるか確認します。

最初の一画面へすべてを詰めて文字を小さくするより、冒頭で会社の仕事を伝え、自然に続けて三つの入口を読めるようにします。事業の選択肢が横へ隠れる表示を使う場合は、他の選択肢があることに気づけるかも確かめます。

事業の入口を、依頼する場面、事業名と短い説明、行き先の分かるリンクの順でそろえる図
画面幅が変わっても、各事業を同じ順序で理解できるようにします。

公開前には、会社をよく知らない方にトップページを見てもらい、何の仕事をしている会社だと思ったかを聞きます。続けて「短期間だけ家具を使いたい」「今ある椅子を修理したい」という用件を伝え、どこへ進むと思うかを確認します。事業名を暗記してもらうのではなく、依頼内容から選べることが確認の目的です。

Bämのコーポレートサイト制作では、現在の仕事とこれから力を入れたいことを伺い、ページ構成・原稿・デザインを考えます。三事業を一つの会社として伝えたい場合も、各事業の営業資料や普段の説明から、冒頭の言葉と選べる入口を具体化できます。

参考資料