荷主の社名や商品をホームページに載せられないと、物流会社の仕事は倉庫と車両の写真だけになりがちです。しかし、新しく依頼先を探す方が知りたいのは、どの会社と取引しているかだけではありません。自社の荷物に近いものを扱えるか、どこまでの作業を相談できるかも大切な判断材料です。
実績を公開できない場合は、公開してよい貨物の特徴と、現在担当できる作業から説明を組み立てます。社名を伏せた事例を無理に作る必要はありません。この記事では、荷姿や作業の説明へ置き換えられる内容と、公開する前に確かめたい範囲を整理します。
「荷主名を出せない」と「仕事を説明できない」を分ける
最初に、公開できない対象を確認します。社名、商品名、数量、出荷先、保管場所、作業の内容など、制限の範囲は案件によって違います。社名を外せば残りは自由に載せられる、と決めてしまわないことが大切です。
一方で、個別案件を紹介せず、自社のサービスとして説明できる情報があるかもしれません。例えば、段ボール箱で入庫する荷物を扱うこと、箱単位で出庫すること、出庫時に外装を確認することなどです。現在の受託範囲として案内できるかを、営業と現場の担当者に確かめます。
この場合の見出しは「導入実績」より、「取扱貨物」や「保管・出荷で対応する作業」が内容に合います。特定の荷主の過去案件を紹介するページと、今相談できる仕事を案内するページを分けると、社名や成果数値がなくても説明を作れます。
逆に、過去に一度だけ行った作業を、いつでも受けられるサービスとして載せるのは避けます。実績として公開できるかと、現在も対応できるかは別に確認します。
商品名の代わりに、荷物を扱うときの特徴を伝える
貨物を説明するときは、商品名から少し視点を変え、現場でどんな状態の荷物を受け取り、どう扱うかを考えます。荷姿はその手掛かりです。日立の物流DX用語集では、荷姿を輸送・保管・荷役される商品の外形として説明し、段ボールや折りたたみコンテナ、パレットなどを挙げています。
ホームページでは用語を並べるだけでなく、「段ボール箱で受け取り、箱を開けずに保管・出庫する」のように、荷姿と作業をつなげます。箱入りの商品を扱うことが分かっても、中身を一個ずつ取り出す作業まで頼めるかは別の疑問だからです。
商品の一般的な種類を公表できるなら、それも添えられます。「日用品」「紙製品」「機械部品」などの呼び方は候補ですが、分野名自体を出せない場合もあります。広い分類に言い換えた文章を、実際に公開してよいか確認したうえで使います。
また、箱の大きさ・重量、保管の環境、積み重ねの可否など、自社で受入判断に必要な情報は、公開できる範囲で案内します。条件が決まっていなければ一律の数値を作らず、「荷姿と寸法・重量を確認して回答する」と伝えられます。これなら、読む方は相談前に何を整理すればよいかが分かります。
取扱貨物の説明は、短い一組から作れる
ここでは、段ボール箱に梱包された常温保管品を扱う、架空の倉庫会社を例にします。荷主名と個別の商品は公開せず、箱単位の入出庫と外装確認をサービスとして案内してよいことが確認できたとします。
掲載文は、例えば次のようにまとめられます。
「段ボール箱に梱包された常温保管品について、箱単位の保管と出庫をご相談いただけます。入庫時には箱数と外装の状態を確認します。箱の寸法・重量、希望する保管期間、入出庫の予定を伺い、受入条件を確認します」
この説明には、誰の商品かという情報はありません。それでも、箱のまま預けたい会社には、自社の希望に近い仕事かを考える材料が残ります。中身の検査、個品へのラベル貼り、温度の指定などが必要な方には、それらがこの文章だけでは確定しないことも分かります。
実際に原稿を作るときは、「外装を確認する」が何を指すかも確かめます。破れやつぶれを見る作業と、箱を開けて中身の品質を検査する作業では、任せられる仕事が違います。読みやすくするために「検品まで一括対応」と広げず、担当する作業を具体的に示します。

常温という言葉も、あらゆる貨物の品質を保証する表現にはしません。必要な保管条件がある荷物は個別に確認します。本稿の例は説明の組み方を示すもので、特定の倉庫の設備や取扱能力を示すものではありません。
写真を使えない場面は、説明用の図へ変える
倉庫内の写真には、荷物そのもの以外にも情報が写ります。外箱の印刷、伝票、行先表示、棚のラベル、作業台の書類などです。担当者が見ればどの荷主の仕事か分かる組み合わせが残ることもあります。写真を載せたい場合は、社名の文字だけでなく、画面全体と説明文を一緒に確認します。
使用可否が決められない写真を、無理に加工して使い続ける必要はありません。箱のまま受け取るのか、開梱するのか、出庫時にどんな状態で渡すのかは、簡単な図で説明できます。実際の商品を描き直すのではなく、公開できる一般的な箱やパレットの形を使い、担当する工程を示します。
写真が必要なら、掲載用のサンプル資材を使って、自社で行う作業を撮影する方法も考えられます。その場合も、実案件の納品風景や顧客の成功事例として紹介するのではなく、作業方法の説明として使います。写真が実績の証明なのか、仕事を理解してもらう説明なのかが、見出しと本文から分かる状態にします。
設備の部分写真を使う方法もあります。例えば、空の作業台や梱包に使う資材を写し、「この場所で外装を確認する」と説明できます。ただし、写真にある設備を使う工程が自社の業務範囲と合っているかを確認します。協力会社の設備を自社設備のように見せないことも必要です。
公開する説明と、個別に確かめる内容を整理する
文章と画像の候補ができたら、公開ページに載せる内容と、個別相談で確認する内容を分けます。先ほどの架空例なら、箱のまま保管・出庫する仕事と外装確認は公開する説明にできます。一方、実際の品目、詳細な数量、希望時期、個別の出荷先などは、相談を受けてから必要な範囲で確認する情報になります。
「個別相談なら何でも共有できる」という意味ではありません。顧客から預かっている資料は、相手と用途に応じて共有できるかを確かめます。制作会社に原稿を頼む段階でも、実際の送り状や顧客一覧が必要とは限りません。まずは公開可能な項目と作業の説明を渡せば、構成を考えられます。

掲載前の確認では、写真の許可だけでなく、最終的な見出しと原稿も見てもらいます。許可された写真に「大手メーカーから大量受注」のような文章を足すと、写真とは別の事実や取引関係を主張してしまいます。荷主名を出さない文章でも、実績件数や成果を裏付けなく補うことはできません。
確認が必要な方には、「この写真でよいですか」だけでなく、「箱単位の保管・出庫を、現在受けられる仕事として案内してよいですか」のように、掲載内容を具体的に示します。写真と文章の両方について確認できた範囲を残しておくと、制作時の言い換えでも判断がぶれにくくなります。
実績の数より、相談できる仕事が伝わる一ページへ
荷主名が並ぶ実績ページを作れなくても、公開できる荷姿、現在行う作業、受入れ前に確かめる条件がそろえば、取扱貨物の紹介を始められます。最初は、説明したい仕事を一つ選び、何の状態で受け取り、どこまで担当するかを短くまとめるとよいでしょう。
Bämでは、現場のお話や拠点の資料から、取扱貨物と担当する工程を原稿や図に整理します。貨物・設備・受入条件・写真の公開範囲はお客様に確認いただきながら制作します。掲載できる材料の選び方から相談したい場合は、物流・倉庫会社のホームページ制作をご覧ください。現在の資料をもとに、荷主が任せられる仕事を判断できるページを考えられます。