ホームページ制作の取材を録音すると、会社の仕事や大切にしていることを、後から確かめられるようになります。ただ、その音声を文字に起こしただけでは、初めて会社を知る方へ向けた原稿には仕上がりません。会話では通じていた主語や前提を補い、読む方が知りたい順番に組み直す必要があるためです。

取材後に行うのは、話した内容をきれいな言葉へ置き換えるだけの作業ではありません。伝える仕事を選び、抜けている説明を質問し、発言の意味を変えずに文章にする工程です。録音からどこまで原稿を作れるのか、会社側では何を確認すればよいのかを、一つの編集例に沿って説明します。

会話の順番には、その場の事情が含まれている

取材では、担当者の質問に答えながら説明が進みます。昔の仕事を思い出してから現在のサービスへ話が移ったり、机の上の資料を指して「こちらは別です」と補足したりすることもあります。聞き手は質問と資料を覚えているので、その場では無理なく理解できます。

ホームページを読む方には、その質問も、指さした資料も見えていません。「それもできます」という言葉を残すなら、何ができるのかを明らかにする必要があります。創業時の話から始まった取材でも、サービスページでは現在頼める仕事を先に伝えたほうが理解しやすい場合があります。

また、一度の取材に含まれる話が、すべて同じページへ入るとは限りません。サービスの説明、創業の経緯、仕事への思いが出てきたら、それぞれに合う掲載場所を考えます。話の長さではなく、そのページで答えたい疑問を基準に選ぶと、必要な説明を残しやすくなります。

一つの取材回答を、サービスの説明へ直してみる

ここでは、店舗用の木製什器を作る架空の会社を例にします。取材で「どの段階から相談を受けられますか」と聞いたところ、次の回答があったとします。

「図面があれば早いですね。でも、まだない方もいらっしゃいます。あの、店のここに置きたい、という写真だけだったこともあって。何でもできるというわけではないですが、サイズとか使い方を聞いて、作れるか考えます。前は個人の家具もやっていましたが、今はお店のものが中心です」

「あの」などを省けば読みやすくなりますが、それだけでは相談できる仕事が十分に定まりません。「写真だけで依頼できる」と書く前に、図面がない相談を現在も受けているのか、写真を送った後に何を確認するのかを聞きます。「お店のものが中心」という説明についても、ホームページでどの仕事を案内したいのかを確かめます。

追加の確認で、店舗用什器の相談を受けており、図面がない場合は設置場所の写真・希望寸法・用途を聞いて製作可否を検討すると分かったなら、掲載文は次のようにまとめられます。

「店舗用の木製什器について、図面がない段階からご相談いただけます。設置場所の写真、希望する寸法、置く商品や使い方を伺い、製作できるかを検討します。図面をお持ちの場合は、あわせてお送りください」

先頭に置いたのは、現在受けている仕事と相談できる段階です。続いて検討に必要な情報を示し、図面がある場合の案内を添えています。取材では後から出てきた説明でも、読者の判断に必要なら前へ移します。

一方、「写真を送れば必ず製作できる」「設計から無料で対応する」といった約束は加えていません。自然に読める文章へ整えるときも、対応の可否を判断する条件は残します。過去の個人向け家具の話は、現在案内したい仕事の説明から外しました。会社の歩みを伝えるページで必要になれば、別の文脈で使えます。

会話で出た説明を、現在の対象、相談できる段階、検討に必要な情報の順に組み直す図
話した順番を変えても、現在の対応範囲と条件は保ちます。

短くする前に、残すべき言葉を見つける

録音には、同じ説明の繰り返しも、会社の仕事が伝わる大切な一言も入っています。文章を短くすることだけを優先すると、その会社らしい考え方まで消えてしまいます。

たとえば、担当者が「売り場に置いたとき、商品を取り出しやすいかまで考えたい」と話していたなら、仕事の姿勢を伝える材料になります。「お客様に寄り添った高品質な製品を提供します」と一般的な表現にまとめるより、何に目を向けているのかが伝わります。

ただし、その言葉をそのまま掲載するか、会社としての説明に整えるかは、使う場所に合わせて決めます。担当者の紹介なら本人の語り口を生かし、サービス説明なら対象や作業内容が読み取れる文章にできます。本人の発言としてかぎ括弧を付ける場合は、編集後の言葉でも意図が変わっていないか、本人に確認してもらいます。

取材で繰り返された話も、単に不要とは限りません。強く伝えたい理由があるなら、具体的な場面を一つ聞いてみます。同じ形容詞を何度も載せるより、その言葉の背景にある仕事を説明したほうが、読む方にも判断材料が残ります。

録音にある言葉と、確認できた事実を分ける

取材中の「たしか去年からです」「ほとんど対応できます」といった発言は、原稿を作る手掛かりになります。ただし、記憶に基づく言葉を確定した年や無条件の対応範囲へ置き換えることはできません。公開する内容として使うなら、資料や担当者の確認を挟みます。

先ほどの例なら、「図面なしでも相談可能」は文章の中心になるため、現在の受付方針を確認します。希望寸法を聞くことは確認できても、製作可能な最大寸法までは分かっていなければ、その数字を推測で補いません。原稿には確かめた範囲を記載し、足りない点は質問として残します。

聞き取りや自動文字起こしの誤りにも気を付けます。商品名、固有名詞、数字、専門用語が気になる箇所は元の音声と資料へ戻ります。Nottaの公式案内でも、録音を再生しながら文字起こしを確認・修正し、その後に原稿を作る流れが示されています。文字になったことと、掲載内容が確かめられたことは分けて考えると、確認すべき箇所が見えます。

取材中の曖昧な説明を、具体的な確認質問へ変え、回答後に掲載文へ反映する図
確認してほしい点を具体的な問いにすると、会社側も回答しやすくなります。

会社側は、文章全体を書き直さなくても確認できる

制作会社から下書きが届いたら、まず「自社が実際にしている仕事と合っているか」を読みます。言葉遣いを一文ずつ直す前に、読んだ方が何を頼めると受け取るかを確かめると、修正の要点を伝えやすくなります。

たとえば、「図面がない相談は受けていますが、現物を預かる必要がある場合もあります」「個人向け家具は今後案内しません」のように、実務上の条件を返します。制作会社はその回答を受けて、説明する場所や前後の文章を整えられます。読みやすい文を会社側で完成させてから戻す必要はありません。

発言した本人とは別の担当者が現在の条件を把握している場合には、その箇所だけ確認を頼みます。取材に参加していなかった方へは、下書きのどの文について、何を確かめたいのかを添えると話が進みます。全文への漠然とした承認依頼にせず、「この仕事は現在も相談を受けられますか」と問う形です。

録音する前に、使い道も共有しておく

取材を録音するときは、原稿制作のために記録すること、誰と共有するか、本人の発言として掲載する予定があるかを事前に伝えて合意しておきます。音声自体を公開する予定があるなら、原稿を作るための録音とは分けて相談します。

外部の文字起こしサービスなどへ音声を渡す場合も、共有してよい範囲を確認します。取材中に掲載できない顧客名や内部事情が出たときは、その箇所が後から分かるように残しておきます。ここで決めたいのは、気兼ねなく仕事を説明してもらいながら、公開する情報を確かめられる進め方です。

Bämでは、お話と手元の資料からページの構成や原稿を考え、名称・数字・提供条件などはお客様に確認いただきながら制作します。話すことはできても文章にまとめる時間がない場合は、原稿や写真の準備が難しいときのホームページ制作をご覧ください。現在ある資料と、説明したい仕事を伺うところから相談できます。追加取材などの範囲は、対象と量を確認して決めます。

参考資料