加工した製品や顧客の図面を載せられず、技術ページが設備名だけになっている製造会社もあると思います。相談先を探す方には、機械の名前に加えて、その会社がどのような形を作り、どんな部分に気を配るかを伝えたいところです。

そのための素材は、顧客の納入品だけとは限りません。公開用に用意した自社サンプル、掲載できる工程写真、説明のために描いた模式図を使う方法があります。まず伝えたい技術を一つ決め、それを見せるのに合う素材を選びます。

見せたいのは、製品全体か、加工した部分か

最初に「技術力を伝えたい」という希望を、写真や図で分かる内容まで具体化します。溝の形を見せたいのか、加工の前後を比べたいのか、外から見えない穴のつながりを説明したいのか。同じ加工のページでも、伝えたい点によって必要な素材が変わります。

例えば、角材に溝と穴を加工する会社を想定した架空例で考えます。顧客の部品図面は使わず、自社で説明用に設計したサンプルを用意できるとします。溝の形を伝えるなら加工面が見える写真、穴の内部でのつながりを伝えるなら模式図が候補になります。製品全体を一枚で見せようとしないことで、撮る場所や描く範囲を決めやすくなります。

顧客名を消した図面でも、形状や寸法に公開できない情報が残ることがあります。名前を伏せた顧客資料から始めるより、説明用として使える素材が自社にあるかを確かめます。展示会用の加工見本や社内の試作サンプルも、用途と公開範囲を確認して候補にできます。

加工した形を示すなら、自社サンプルを撮る

サンプルは、ページで見せたい形を実物として示せることが利点です。先ほどの架空例なら、溝と穴の位置が分かる全体写真に、溝の端や加工面が見える寄りの写真を添えます。写真の横には、材料と、どの部分を何の説明に使っているかを書きます。

「加工サンプル」という見出しだけでは、どこを見ればよいか分かりません。「溝の形状を確認するための自社製作サンプル」のように目的を示すと、写真を見る理由ができます。顧客への納入品ではないものを、納入実績として紹介しないことも大切です。

ISSダイニチの技術紹介では、デモと記した製品サンプルを掲載しています。実物を使って技術を説明する見せ方の参考になりますが、他社のサンプル写真や加工数値を、自社の能力を示す素材として使うことはできません。自社で確認できる材料と説明をそろえます。

写真から分かる形と、測定によって確かめる精度は別です。寸法や精度を載せるなら、そのサンプルについて確認した値なのか、通常の対応範囲なのかを明らかにします。光沢のあるきれいな写真だけで、高精度であると説明を済ませないようにします。

加工した形は自社サンプル、作業の様子は工程写真、見えない関係は模式図で説明する選択図
伝えたい内容から、用意する素材を選びます。

仕事の進め方を示すなら、説明用の工程を撮る

完成品の写真では、作業中に何を確認しているかまでは伝わりません。固定の仕方、加工後の確認、測定する場面などを説明したいなら、掲載できる品物で工程を撮る方法があります。

撮影前に、担当者と「この写真で何を説明するか」を合わせます。測定場面であれば、測定器が写っているだけでなく、どの部分を何のために確認しているかが文章とつながるようにします。実際の方法と異なる道具の置き方を、見栄えだけで作らないことも必要です。

顧客の製品が写らなくても、背景の図面、作業指示書、画面、治具などを掲載できるかは確認します。撮ってから隠す場所を探すより、説明用サンプルを使い、写す範囲を現場と決めておくと、使える写真を準備しやすくなります。

公開用に撮り直した場面は、その仕事の方法を説明する写真として使います。特定案件を製作している記録として扱わず、見出しや説明文も「加工後の確認」など、写真が示している内容に合わせます。

内部や位置関係を説明するなら、模式図にする

写真では見えない内部の形や、工程の順番は、図にすると伝えやすいことがあります。模式図は、説明に必要な関係を残し、細かな寸法や部品を省いて描く図です。顧客図面の一部をぼかして転用する方法とは分けて考えます。

架空例の角材なら、穴同士が内部でつながる関係だけを断面の図にします。技術担当者に確認し、見せたい関係が伝わる位置と線を残します。「穴のつながりを示す模式図」と添えれば、製作に使う図面や寸法の保証と混同されにくくなります。

模式図だけでは、実際に加工できることの証明にはなりません。説明用サンプルの写真があれば、写真で形を見せ、図で内部の関係を補います。対応する材料や大きさによって可否が変わる場合は、その条件を本文で伝えます。

同じ説明用サンプルについて、写真で外形、模式図で内部、文章で材料と条件を伝える図
素材ごとに役割を持たせると、同じ説明の繰り返しを減らせます。

素材を並べる前に、説明文と一組で確認する

技術ページへ載せるときは、写真や図と、その説明文を一緒に確認します。何を示す素材か、どの技術の説明なのか、どこまでを自社の対応範囲として書くかがそろっていれば、素材の数が少なくても一つの技術を具体的に伝えられます。

自社所有のサンプルでも、共同開発などの背景によって確認が必要な場合があります。素材を選んだ段階で公開してよい範囲を確かめ、最終的な写真・図・文章の組み合わせを、技術と公開判断を担当する方に見てもらいます。

手元に適した素材がなければ、先に原稿の見出しと説明したい部分を決めてから、サンプルの製作や撮影を検討できます。大きな展示品を作ることが目的ではありません。相談を考える方に、何を見れば仕事の特徴が分かるかを基準に準備します。

Bämの製造業のホームページ制作では、設備・材料・工程の資料や取材から、技術を説明する構成と原稿を整理します。図面を公開できない場合も、用意できるサンプルや写真を伺い、技術担当者の確認を受けながら伝え方を考えます。

参考資料