はじめに
中小企業がホームページを新規で立ち上げたりリニューアルしたりする際、「どこに頼めばいいのか分からない」と悩むことは多いです。とくに、近所にある制作会社に頼むのが良いのか、それとも全国対応可能なオンラインの制作会社に頼むのが良いのか、比較検討をする人も増えてきました。さらに、人づての紹介がない場合は、検索エンジンで探すしかなく、どの会社を選べばいいのか初心者には判断が難しいものです。
そこで本記事では、ホームページ制作を依頼するときに押さえておきたい基礎知識をはじめ、近所の制作会社とオンライン制作会社のメリット・デメリット、実際に比較するときのポイント、制作の進め方、注意点などを順を追って解説していきます。これから依頼先を探す方が、安心してパートナーとなる制作会社を見つけられるよう、専門的な知見を踏まえながらできるだけ分かりやすくお伝えします。
ホームページ制作を依頼する前に押さえたい基礎知識
はじめに、「ホームページを作る目的」や「どんなサイトを目指すか」という点について明確にしておくことが大切です。目的が曖昧だと、どのような制作会社を選ぶべきかの基準が立てにくくなります。また、運営・改善の段階で「こんなはずではなかった…」という事態を防ぐためにも、最低限以下の点を把握しておきましょう。
- ホームページの役割を明確化する
- 商品やサービスの認知度を高めたいのか
- 直接の問い合わせや資料請求を増やしたいのか
- オンラインで注文を受け付ける仕組みを作りたいのか
など、自社にとって重要なゴールは何かを考えましょう。
- 更新や運用の体制を考える
- 制作だけでなく公開後に運営をスムーズに行う体制も大切です。
- 社内で簡単に更新したいのか、それとも制作会社に継続依頼したいのかによって、求めるサービスや費用が変わってきます。
- 必要な機能の洗い出し
- 企業情報やサービス紹介のみでシンプルに済むのか
- お問い合わせフォームや予約システムが必要か
- EC機能を付けたいのか
事前に必要機能を考え、制作会社へ伝えるとスムーズです。
目的と必要要件が固まっていれば、制作会社を比較検討する際に明確な基準を持つことができます。次のセクションでは、近所の制作会社とオンライン制作会社、それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
近所の制作会社とオンライン制作会社の比較
ホームページ制作は、地理的に近い会社に依頼する方法と、オンラインで完結する制作会社に依頼する方法の大きく2つがあります。ここでは、それぞれの特徴を大まかに比較した表を用意しました。
近所の制作会社とオンライン制作会社の比較一覧
項目 | 近所の制作会社 | オンライン制作会社 |
---|---|---|
主なやりとり方法 | 対面打ち合わせ、電話、メール | メール、チャット、オンライン会議ツールなど |
相談・サポート | 実際に訪問しやすいので密接なコミュニケーションが可能 | 地理的制限がなく、柔軟な時間帯で対応できる場合が多い |
制作費用 | 地域によっては高い/安いなど幅がある | 競合が多い分、費用体系が多様 |
スピード感 | 対面打ち合わせで迅速に話が進む場合もある | オンラインで完結できれば余計な移動時間を短縮可能 |
制作実績の確認 | 過去の事例を直接見せてもらいやすい | ウェブ上で具体的なポートフォリオを確認できる |
どちらにも一長一短があり、一概に「近所だから良い」「オンラインだから良い」とは言えません。次のセクションでは、近所の制作会社とオンライン制作会社それぞれのメリット・デメリットをもう少し具体的に深堀りしていきます。
近所の制作会社のメリットとデメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
コミュニケーション | 対面での打ち合わせがしやすいので、意思疎通が円滑。 | 打ち合わせに移動の時間や手間がかかる。 |
地域性 | 同じ地域に根差しているため、ローカル事情や顧客ニーズを理解してくれる場合が多い。 | 特定地域に強みがあっても、全国向け・海外向けビジネスには対応力が限られる場合がある。 |
費用 | 地域密着型のため予算に合わせて柔軟に対応してくれるケースもある。 | 都心部だと家賃や人件費の兼ね合いで費用が高いケースもある。 |
サポート | 直接対面で操作方法や運用方法を教えてもらいやすい。 | 忙しい場合、訪問する日程の調整に時間がかかることがある。 |
近所の制作会社が向いているケース
- 地元のユーザーを主要ターゲットにしており、直接会って細かい打ち合わせをしたい場合
- コミュニケーションを頻繁に行いたい、あるいは対面でのサポートを重視する場合
- 制作中に何度もやり取りが必要で、意思疎通を確実に行いたい場合
オンライン制作会社のメリットとデメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
コミュニケーション | メールやチャット、オンラインミーティングで時間と場所に制限なく対応が可能。 | 対面で打ち合わせできないため、初期段階で意思疎通がやや難しい場合がある。 |
費用 | 全国規模の競合やリモート作業中心のため、低価格プランが多様に存在することもある。 | 必要な機能や要望を明確にしないと、オプション追加で高額になる可能性も。 |
スピード | 移動の手間がなく、オンラインでやり取りできるのでスピード感が出やすい。 | ネット環境が不安定だと打ち合わせや確認に支障が出る場合がある。 |
サポート | 24時間対応や土日対応など柔軟な会社もあり、問い合わせしやすい。 | 電話や直接訪問がしにくい場合があり、緊急対応の質に差が出る可能性。 |
オンライン制作会社が向いているケース
- 全国や海外など幅広いターゲットにアピールしたい、ローカルに限定されない展開を目指す場合
- コミュニケーションツールやITサービスに抵抗がなく、オンラインでやり取りに慣れている場合
- 制作費をできるだけ抑えたい、あるいは様々な選択肢から最適なプランを選びたい場合
ホームページ制作会社選びのポイント
実際に「どこに頼めばいいのか」を考えるとき、大きく分けて以下のポイントをチェックするのがおすすめです。
- 費用
- サポート体制
- 打ち合わせ方法・コミュニケーション手段
- 制作会社の得意分野
- 実績や評価
ここからは、これらの視点に沿って詳細を見ていきましょう。
1. 費用
ホームページ制作費用は、制作会社や必要な機能によって大きく異なります。一般的に、以下のような要素が費用を左右します。
- ページ数やデザインのカスタマイズ度合い
- CMS(WordPressなど)の導入や機能拡張
- EC機能、予約システム、会員システムなどの要望
- 写真撮影やライティングなどのオプション
- サーバー・ドメイン取得代行、保守運用費用
ホームページ制作のおおよその費用イメージ
サイト規模 | おおよその目安費用(例) | 特徴 |
---|---|---|
小規模サイト(5ページ程度) | 数十万円~ | シンプルなコーポレートサイト。 |
中規模サイト(10〜30ページ) | 数十万円~数百万円くらい | 事業内容や商品紹介など、情報量が多い企業サイト。 |
大規模サイト(50ページ以上) | 数百万円~ | 大手企業やEC機能含む複雑なサイト構成の場合など。 |
※あくまで一般的な傾向であり、制作会社やカスタマイズ内容によって変動します。
制作費用だけでなく、更新や運用のサポート費用も含めてトータルで比較することが大切です。「初期制作費用が安いけど、保守費用が高額」「制作費用は高めだが、運用サポートが手厚い」など、さまざまなケースがあるため、複数社に見積もりを依頼して比較検討するのがおすすめです。
2. サポート体制
ホームページは公開して終わりではありません。公開後に運営・改善を続け、コンテンツを育てていくことで効果が実感できるようになります。そのためにも、サポート体制をしっかり確認しておきましょう。
- 保守契約の内容:セキュリティ対策、CMSやプラグインの更新、障害時のサポートなど
- 問い合わせ対応のスピード:メールや電話、オンラインチャットなど、どの程度の早さで対応してくれるか
- 操作マニュアルやレクチャーの有無:社内で更新する場合はマニュアルがあると安心
サポートがしっかりしている会社を選ぶことで、公開後のトラブルを大きく減らせる可能性があります。
3. 打ち合わせ方法・コミュニケーション手段
「対面で何度も会って話がしたい」という場合は、近所の制作会社が向いています。一方、「オンラインミーティングやチャットでスピーディにやり取りしたい」という場合は、オンライン制作会社が向いているかもしれません。
どのような手段が自社に合うのか検討しつつ、制作会社の対応スタイルを確認しましょう。コアとなる担当者との相性も大切なので、初回打ち合わせの際にコミュニケーションの取りやすさを確かめてみるのもおすすめです。
4. 制作会社の得意分野
ホームページ制作会社ごとに、得意な分野や特化している業界などが存在する場合があります。たとえば、BtoB企業のコーポレートサイトを多く手掛けているところもあれば、ECサイトやネットショップ構築に強い制作会社もあるでしょう。
自社の事業や目的に合った実績を持つところを選ぶと、完成イメージとのズレが少なくスムーズです。また、デザイン性を重視するならデザイナーが多い会社、マーケティング面を強化したいならWebマーケティングに強い会社など、自社にとって最も必要なスキルセットを持つ制作会社を探してみましょう。
5. 実績や評価
実績や評価を見るときは、単に「大手企業の制作実績がある」というだけでなく、自社の規模感や目的に近い事例があるかを確認することがポイントです。
- 実績事例のデザインや使い勝手
- プロジェクトの背景や目的、成果が分かる紹介
- クライアントの声(レビュー)
ただし、制作会社が公開しているクライアントの声は良い評価だけを掲載している可能性もあるため、あくまで参考程度に捉えましょう。さらに複数社を比較検討すると、客観的に判断しやすくなります。
ホームページ制作の進め方とスケジュール例
実際に制作会社を決めたら、どのような流れでホームページを作っていくのかを把握しておくことも大切です。ここでは一般的な制作フローと、必要に応じて想定される期間の一例を表にまとめます。
ホームページ制作の一般的なステップと目安期間
ステップ | 内容 | 目安期間 |
---|---|---|
1. 要件ヒアリング | 目的・サイト構成・ターゲット・必要機能などをヒアリングし、方向性を固める。 | 1〜2週間 |
2. 見積もり・契約 | 要件に基づき概算費用を提示し、納得できれば契約締結。 | 1週間程度 |
3. デザイン・構成案作成 | ワイヤーフレームやデザイン案を作成し、フィードバックを受けて修正。 | 2〜4週間 |
4. コーディング | HTML/CSS/JavaScriptなどで実際のページを構築。 | 2〜4週間 |
5. テスト・調整 | 各種デバイスやブラウザで表示確認し、不具合を修正。 | 1〜2週間 |
6. 公開・運用開始 | サーバーへのアップロードやドメイン設定を行い、正式に公開。 | 1日〜数日 |
7. 運用・改善 | 定期的な更新やアクセス解析、デザイン・機能の改善を行う。 | 継続的(随時) |
あくまで一例であり、実際の期間はサイトの規模や会社の状況によって大きく変わります。要件やサイトの複雑さに応じて前後するため、あらかじめ余裕を持ったスケジュールを想定しておくことが望ましいでしょう。
制作依頼時に知っておきたい注意点
最後に、制作会社へホームページを依頼するときに押さえておきたい注意点をご紹介します。
1. 契約内容をしっかり確認する
- 著作権や使用権の扱い:デザインデータや写真の著作権は誰に帰属するのか
- 運用・保守費用の範囲:更新作業の範囲やサポート内容が明確になっているか
- 契約期間や解約条件:解約時の違約金の有無やデータの引き渡し方法
2. 追加費用がかかる条件を把握する
最初の見積もりだけでなく、「あとで機能を追加したい」といった場合に別途費用がかかるのかどうかを事前に確認しておきましょう。予算に大きく影響する可能性があるため、契約前によく話し合っておくことが大切です。
3. コミュニケーションの頻度・方法を取り決める
制作中に「一度も状況を報告してくれない」という不満が起きないよう、定例ミーティングの頻度や進捗共有の手段を決めておくのがおすすめです。オンラインならチャットツールを使ってリアルタイムにやり取りする方法もありますし、対面中心ならスケジュールを綿密に調整する必要があります。
4. 自社側で準備が必要なものを確認する
- テキスト原稿の準備
- 写真や画像素材の手配
- 会社のロゴデータ
- SNSアカウントの運用方針(連携する場合)
制作会社に丸投げするのではなく、社内で用意できるものと制作会社に依頼する部分を切り分けておくと、スムーズに進行しやすいです。
まとめ
ホームページを「どこに頼めばいいのか」迷う方に向けて、近所の制作会社とオンライン制作会社それぞれの特長や、制作会社選びのポイント、費用やサポート、コミュニケーション面などを解説しました。中小企業の場合、対面で密なコミュニケーションを取りたいのか、オンラインで手軽にスピーディに進めたいのか、予算はどれくらいかなど、検討事項が多いかもしれません。しかし、重要なのは「自社の目的や目標に合った制作会社を選ぶこと」です。
目的とゴールを明確にし、制作会社の得意分野や実績、サポート体制などを複数比較した上で、安心して任せられる相手を見つけることが大切です。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ納得のいく選択をしてみてください。
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