FAX注文のオンライン化は、FAXを先に止めるのではなく、どの窓口から届いた注文も最後は一つの注文台帳へ登録する運用から始めます。注文票の項目、変更・取消、締切、在庫確認などの例外を棚卸しし、社内入力、小規模な試行、FAXとの併用、オンライン中心への切り替えという順で進めると、二重注文や対応漏れを抑えられます。

中小企業庁の中小企業の受発注デジタル化でも、FAXや電話を使う企業間取引が残る一方、電子受発注では作業、入力ミス、取引記録の検索を改善できると説明しています。ただし、システムを入れるだけでは解決しません。この記事では、取引先を置き去りにせず、注文の正本と例外対応を整えて段階的に移行する方法を説明します。ネット販売全体の準備はネット販売を始める前に決める9項目、ほかのテーマはネットショップの記事案内から確認できます。

FAXを止める前に「注文の正本」を一つに決める

FAX、電話、メール、Webフォームを併用しても構いません。問題は、それぞれの紙や受信箱を別々の注文台帳として扱うことです。正式な注文番号を付け、在庫、金額、発送、変更履歴を更新する場所を一つに決めます。ここでは、その場所を「注文の正本」と呼びます。

届く窓口正本へ入れる担当登録時に残すこと
FAX受注担当が紙を確認して登録受信日時、原本、登録者、注文番号
電話聞き取った担当が復唱後に登録受付日時、相手、確認した商品・数量・納期
メール添付と本文を確認して登録元メール、添付、登録者、注文番号
Webフォーム・受注画面自動登録後に例外だけ担当が確認送信時刻、入力内容、受付結果、変更履歴

併用期間でも、在庫を減らす、出荷を指示する、売上を確定する判断は正本を見て行います。FAXだけを別管理にすると、同じ注文をWebでも送り直した取引先に対して二重処理が起きやすくなります。

FAX、電話、Webフォームの注文を一つの注文台帳へ集約し、在庫確認、発送、連絡へつなぐ流れ
受付窓口が複数あっても、在庫・発送・連絡の判断に使う注文台帳は一つにします。

現在の注文票と例外処理を棚卸しする

画面を作る前に、直近の注文票と担当者の対応を確認します。注文票に書かれていない判断ほど、システム導入後の混乱につながります。通常注文だけでなく、読みにくい文字、在庫不足、納期相談、同梱、分納、変更、取消、返品まで書き出します。

  • 誰が、いつ、どの窓口で注文を受けているか
  • 商品を特定する品番、規格、単位、数量の書き方
  • 価格、送料、支払条件、締切、納期を確定する時点
  • 在庫不足、代替品、分納、直送、時間指定の扱い
  • 注文後の変更・取消を受ける期限と承認者
  • 受注から在庫、出荷、請求へ同じ情報を転記する場所

件数だけでなく、訂正や問い合わせに時間がかかる注文を分けて記録します。「FAXを何件減らすか」ではなく、「どの転記と確認を減らすか」が導入目的になります。

Webフォーム・受注システム・通販サイトを選ぶ

オンライン化の方法は、取引の複雑さで選びます。一般的な問い合わせフォームへ注文を書いてもらうだけでは、品番、価格、在庫、注文番号との連携が残り、担当者の転記は減らない場合があります。

方法向いている状況導入前に確かめること
注文専用フォーム商品数が少なく、価格や取引条件を個別に確認する注文番号、受付通知、台帳への登録、添付、迷惑送信対策
BtoB受注システム取引先別価格、掛け払い、繰り返し注文が多い得意先・商品・在庫・請求との連携、権限、出力形式
通販サイト価格と在庫を示し、その場で注文や決済まで受ける決済、配送、返品、特定商取引法の表示、会員管理
EDI・取引先指定システム企業間で決めた形式を使い、継続的に受発注する取引先ごとの形式、自社台帳への取り込み、障害時の代替手順

支払方法までオンライン化する場合はEC決済方法を選ぶ5つの基準、店舗とネットを併用する場合は実店舗と通販サイトの在庫・顧客情報をつなぐ考え方も合わせて確認してください。

注文項目と受付ルールを先に決める

入力欄を増やせば正確になるとは限りません。自社が受注判断に使う項目だけを必須にし、候補から選べるものは選択式にします。品番や郵便番号の形式、数量の上限、締切後の扱いは、入力時に分かるようにします。

決める項目画面・システムの対応例外時の対応
取引先得意先番号、担当者、請求先を確認する未登録先は受注確定前に担当が確認する
商品・数量品番、規格、単位、最小・最大数量を示す廃番、特注、大口は問い合わせへ分ける
価格・支払い税込・税別、送料、支払条件を表示する個別見積もりや与信確認は受付と確定を分ける
納品納品先、希望日、配送方法を選べるようにする欠品、分納、直送は担当者が承認して連絡する
変更・取消注文番号と受付期限を案内する出荷後など変更できない状態を明示する

受付画面、受付メール、社内台帳で「受付」「確定」「出荷」の意味をそろえます。購入後の連絡設計はカートメール・購入後メールを改善する手順が参考になります。

併用期間は二重登録と変更漏れを防ぐ

FAXとオンラインを同時に受ける期間は、窓口を二つにしても、処理手順を二つにしません。FAXが届いたら担当者が正本へ登録し、注文番号を返します。取引先が「届いたか不安」でWebから送り直した場合は、取引先、商品、数量、希望日、受信時刻を照合してから新しい注文にします。

  • 一件ごとに注文番号を付け、FAX原本や元メールと結び付ける
  • 同じ取引先から近い時刻に同じ内容が届いた場合は重複候補として止める
  • 変更・取消は元注文を書き換えるだけでなく、誰がいつ何を変えたか残す
  • 障害時にFAXへ戻す条件と、復旧後に正本へ登録する担当を決める

個人情報・権限・バックアップを確認する

オンライン化すれば自動的に安全になるわけではありません。個人情報保護委員会の個人情報保護法ガイドライン(通則編)は、外部サービスへ個人データの取扱いを委託する場合、委託先の選定、契約、取扱状況の把握などを求めています。誤送信、設定ミス、不正アクセス、入力ページの改ざんも漏えいの例に挙げられています。

  • 受注、在庫、出荷、請求それぞれで閲覧・変更できる担当を分ける
  • 退職・異動時にアカウントを止める手順と管理者を決める
  • 通信の暗号化、複数要素認証、操作履歴、脆弱性対応を確認する
  • 保存先、バックアップ頻度、復元手順、障害時の問い合わせ先を確認する
  • 委託先と再委託先、保管場所、契約終了時の返却・削除を確認する

IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインは、経営者が認識すべきことと実務の進め方を段階的に整理し、バックアップやクラウドサービスの安全利用も案内しています。サービス名だけで安全と決めず、自社の注文情報に合わせて確認します。販売条件と個人情報の整理はプライバシーポリシー等を公開前に準備する手順もご覧ください。

電子取引の記録を保存できる運用にする

注文書、契約書、請求書などを電子メールやWeb上でやり取りする場合は、画面のデータを見られるだけでなく、必要な取引記録を検索・保存できる運用を確認します。国税庁の電子帳簿保存法の概要は、EDI、インターネット取引、メール添付、Webサイトを通じた取引を電子取引に含めています。

自社に必要な保存要件は取引や帳簿の扱いで変わるため、税理士などの専門家へ確認します。その上で、注文番号、取引日、取引先、金額、元データ、変更履歴をどこから取り出せるか、解約後も必要な期間に確認できるかを導入前に試します。

5段階で小さく移行する

切り替え日は、システムが完成した日ではなく、例外を含めて正しく処理できると確認した後に決めます。大口取引先をいきなり全社移行の試験役にせず、注文方法を説明しやすく、通常注文と例外の両方を確かめられる少数の取引先から始めます。

FAX注文の棚卸し、社内登録、少数取引先での試行、FAXとWebの併用、オンライン中心への切り替えを5段階で進める図
棚卸し、社内登録、少数での試行、併用、オンライン中心の順に進み、各段階で例外と支援方法を確認します。
段階行うこと次へ進む確認
1. 棚卸し注文票、転記、例外、担当、締切を記録する通常注文と例外が一枚で説明できる
2. 社内登録FAX注文を担当者が新しい正本へ登録する在庫・出荷・請求と注文番号が一致する
3. 小規模な試行少数の取引先に使ってもらい、入力と案内を直す注文、変更、取消、問い合わせを処理できる
4. 併用FAXとWebを受け、すべて正本へ集約する重複、未登録、処理漏れを検知できる
5. オンライン中心切替日と例外窓口を案内し、利用状況を確認する取引先への支援と障害時の代替手順が動く

取引先には、会社側の都合だけでなく、注文履歴を確認しやすい、受付状況が分かる、営業時間外でも送れるなど、相手にとって変わる点を具体的に伝えます。操作に不安がある取引先には、画面を一枚にまとめた案内と電話窓口を用意し、例外的にFAXを受ける条件も決めます。

開始後30日間の事実で改善する

導入効果を「満足度が上がったはず」と決めつけず、変更前と同じ条件で取れる事実を確認します。注文数や売上は季節や営業活動でも変わるため、受付と処理の状態を分けて見ます。

確認すること記録する例判断すること
窓口の利用FAX、電話、メール、Webごとの注文件数説明や支援が必要な取引先が残っていないか
入力と訂正読めない項目、入力エラー、訂正、重複の件数項目名、選択肢、確認画面を直すべきか
処理受付から登録・確認までの時間、転記回数承認や連携で滞る場所がないか
例外欠品、分納、変更、取消、障害時対応担当、期限、連絡文を追加すべきか
問い合わせ質問の内容、取引先、回答までの時間画面や案内で先に答えられることがないか

最初から他社の数値や大きな削減率を目標にせず、自社の開始前を基準にします。一度に画面と運用を全部変えず、入力項目、案内、担当、連携の順に一つずつ直すと原因を追いやすくなります。

Bämは受注後の運用まで含めて通販サイトを整理します

FAX注文をオンライン化するときは、注文画面だけでなく、商品、取引先別条件、在庫、決済、配送、変更・取消、問い合わせ、社内権限まで一緒に整理する必要があります。Bämの通販サイト制作は150万円からで、標準は8〜12の主要画面・ひな形、初期商品10点、国内配送拠点1か所、標準的な購入に対応し、制作期間は約3〜4か月です。BtoB固有の価格、掛け払い、外部システム連携、商品数などにより費用と期間は変わります。

今の注文票と社内処理を見ながら、フォーム、受注システム、通販サイトのどこまで必要か整理したい方はBämの通販サイト制作をご覧ください。具体的な運用を相談したい方はBämへの相談窓口からご連絡いただけます。この記事内の中小企業庁、IPA、個人情報保護委員会、国税庁の資料は、2026年8月31日に確認しました。