ECの決済方法は、種類の多さではなく、顧客が支払いを完了できるかと、自社が入金確認・返金・不正利用対応まで続けられるかで選びます。まず主な購入場面に必要な方法を決め、利用要望や決済失敗を確認してから追加するのが基本です。

手数料だけで比べると、入金までの日数、返金時の作業、未払い、会計処理、カートとの接続を見落とします。ネット販売全体の準備から確認したい方はネット販売を始める前に決める9項目、決済以外の記事も探したい方はネットショップの記事案内からご覧ください。

まずは主要なEC決済方法を同じ条件で比較する

個人向けか法人向けか、単発購入か継続利用か、すぐ発送できる商品か予約商品かによって、適した支払い方は変わります。次の表を自社の商品と販売条件へ置き換えてください。

決済方法購入者にとっての特徴運営側で確認すること
クレジットカード注文時に支払いまで完了しやすい審査、本人認証、売上確定、取消・返金、不正利用対応
銀行振込カードを使わない人や法人も選びやすい振込手数料、入金期限、注文との照合、未入金時の処理
コンビニ決済身近な店舗で現金などを使って支払える支払期限、入金通知、期限切れ注文、払い戻し方法
代金引換商品を受け取るときに支払える対応する配送会社、代引手数料、受取拒否、返送時の処理
ID・ウォレット・コード決済使い慣れたアカウントで入力を減らせる場合がある主要顧客の利用状況、対応端末、接続方法、取消・返金
後払い商品確認後など、事業者が定めた時期に支払える与信、請求、未払い時の責任、返品・請求取消の連動
継続課金定期購入や会費を繰り返し支払える課金周期、決済失敗、再請求、休止、解約、返金
予約時の事前決済予約枠や受注生産品を支払いとともに確定できる変更期限、キャンセル、全部・一部返金、予約との連動

ここで示したのは一般的な整理です。利用できる機能、費用、入金時期、審査条件は、決済事業者、カート、契約内容によって変わります。候補を絞ったら、申込み直前に各社の公式資料と見積書を確認します。

中小企業が導入前に決める5つの基準

「よく使われていそうだから」では、自社に必要か判断できません。次の5項目を一枚にまとめると、候補ごとの違いを同じ条件で比べられます。

基準自社で決めること事業者へ確認すること
1. 顧客の支払い場面個人・法人、端末、購入場所、カードを使えない事情対応する支払い方、利用条件、購入画面の流れ
2. 商品と販売方式単発・定期・予約、平均的な注文額、発送までの期間継続課金、予約、分割発送、金額上限への対応
3. 採算と入金一件当たりに許容できる費用と、支払いに必要な資金初期・月額・決済・返金などの費用、締日、入金日
4. 日々の運用入金確認、取消、返金、未払い、問い合わせの担当管理画面、通知、会計連携、障害時の窓口と復旧後の処理
5. 安全・表示・連携不正注文、アカウント管理、販売条件の表示、テスト範囲本人認証、不正検知、カード情報の扱い、カートとの接続

「決済手数料が低い」ことと「総負担が小さい」ことは同じではありません。月額費用、追加機能、振込費用、返金費用、入金照合や問い合わせに使う時間まで含めて比較します。

決済方法を選ぶ5つの手順

手順1:購入場面を三つほど書き出す

「スマートフォンから初めて注文する個人」「請求内容を社内確認してから支払う法人」「毎月同じ商品を受け取る会員」のように、支払い時の状況まで書きます。年齢や性別だけで決めず、注文額、端末、社内手続き、商品の受取時期も確認します。

手順2:必須と追加候補に分ける

主要顧客が購入を完了するために欠かせないものを「必須」、特定の要望に応えるものを「追加候補」とします。最初からすべてを導入せず、問い合わせ、決済失敗、選ばれた方法を確認して追加します。

手順3:費用と入金を一件の注文で試算する

商品価格から原価、販売手数料、決済費用、梱包、送料、作業費を引き、通常注文、取消、全部返金、一部返金の四つを試算します。入金日までに仕入れや配送費を支払えるかも確認してください。

手順4:カートとの接続と責任範囲を確認する

候補の決済方法がカートの標準機能か、追加契約や開発が必要かを確認します。注文番号と決済番号の対応、会計・在庫・配送との連携、障害時に止まる範囲、問い合わせ先、復旧後の再処理も比較対象です。

手順5:通常注文以外もテストする

通常注文だけでなく、決済失敗、戻る操作、二重操作、期限切れ、注文取消、全部返金、一部返金、発送後の返金を試します。購入者に届く表示とメール、管理画面、在庫、会計の状態が一致するかを担当者同士で確認します。

カード決済は外部画面に任せても安全対策が必要

クレジットカード情報を自社で保存しない方式でも、自社のECサイトや管理画面の弱点から情報が盗まれるおそれがあります。日本クレジット協会のクレジットカード・セキュリティガイドライン6.1版(2026年3月)は、EC加盟店に対し、カード情報を保持しないか、保持する場合はPCI DSSへ準拠することに加え、ECサイトの弱点への対策を示しています。

  • 管理画面へのアクセスを制限し、管理者の多要素認証を使う
  • WordPress、カート、追加機能を更新し、定期的に弱点を点検する
  • アップロードできるファイルを制限し、重要なファイルを公開場所へ置かない
  • 不自然な連続決済やカードの有効性確認を検知・遮断する
  • EMV 3-Dセキュアと不正ログイン対策の対応状況を確認する

自社だけで判断せず、契約するカード会社・決済代行会社と、カートの制作・保守担当へ、自社が行う対策、相手が行う対策、事故時の連絡順を確認します。ガイドラインは改訂されるため、公開後も現行版を確認してください。

支払い方法を変えるときは表示と返金手順もそろえる

消費者庁の特定商取引法ガイド「通信販売」では、販売価格と送料などの追加負担、代金の支払時期・方法、商品を渡す時期、返品条件、事業者情報などの表示事項が案内されています。決済方法を追加・削除するときは、商品ページ、特定商取引法に基づく表記、利用規約、注文の最終確認画面、確認メールを同時に見直します。

購入者に表示する条件と、社内の処理手順が違うと対応が止まります。返金できる期間、全部・一部返金の可否、送料や手数料の扱い、発送後の取消、問い合わせ先を決め、テスト注文で確かめます。規約や個人情報の準備はプライバシーポリシー等を公開前に整える手順も参考にしてください。

販売方式ごとの決済判断へ進む

定期購入や会員制では、通常の決済に加えて、決済失敗、再請求、更新、休止、解約の設計が必要です。詳しくはサブスク決済システム導入の考え方をご覧ください。

予約販売や受注生産で事前決済を使う場合は、変更期限と返金条件を先に決めます。個別の確認項目は予約時の決済システムを導入する際のポイントにまとめています。購入後の案内まで見直す場合はカートメール・購入後メールの設計手順へ進んでください。

EC決済の導入前チェックリスト

  • 主要顧客の購入場面と、支払いをためらう理由を整理した
  • 必須の決済方法と、追加候補を分けた
  • 通常・取消・全部返金・一部返金の総負担を試算した
  • 締日、入金日、経理処理、資金の支払い時期を確認した
  • 審査に必要な書類と期間を候補事業者へ確認した
  • 入金確認、取消、返金、未払い、問い合わせの担当を決めた
  • カード情報の扱い、本人認証、不正利用、管理画面の対策を確認した
  • 支払い方法、返品条件、最終確認画面、メールの表示をそろえた
  • スマートフォンとパソコンで通常注文と例外処理を試した
  • 公開後に利用数、失敗、返金、問い合わせを見直す担当と日を決めた

既存カートを変更する場合は移行前後を並べる

既存カートから移る場合は、決済だけを入れ替えるつもりでも、商品・顧客・注文・会員情報、定期契約、決済契約の再審査、会計・在庫・配送との連携まで影響します。項目ごとに「旧カートの正本」「新カートへ移せるか」「移せない場合の対応」「確認担当」を一覧にしてください。

新旧カートを同時に公開する期間を設ける場合は、注文や在庫が二重にならないよう、受注の正本と切替時刻を決めます。定期課金中の利用者を移す方法、旧管理画面を閲覧できる期間、返品や返金をどちらで処理するかも、契約前に確認します。

決済とカートを購入後の仕事までまとめて設計する

適した決済方法は、商品、顧客、社内の担当によって異なります。大切なのは機能を並べることではなく、購入者が条件を理解して支払いを完了でき、運営側が入金、発送、取消、返金、問い合わせを同じ注文情報で処理できることです。

Bämの通販サイト制作は150万円からで、標準は8〜12の主要画面・ひな形、初期商品10点、国内配送拠点1か所、標準的な購入に対応し、制作期間は約3〜4か月です。決済方法、カート、商品ページ、受注後の仕事を一緒に整理したい方はBämの通販サイト制作をご確認ください。この記事内の日本クレジット協会と消費者庁の情報は2026年8月30日に確認しました。