ホームページを作り直す見積書に「サイト移行一式」とあっても、今ある記事や画像、PDFがすべて新しいサイトへ移るとは限りません。反対に、移行という項目がなくても、制作費の中へ含まれている場合があります。

金額を比べる前に、何をどこまで移し、移した後に何を確認するかを依頼先へ聞きます。記事数だけでなく、添付資料、URL、外部サービスとのつながりを分けると、自社に残る作業も見えてきます。

「移行」は、何を完成させる仕事かを聞く

データを新しい管理画面へ取り込むことと、新しいデザインで読みやすく整えることは、同じ作業ではありません。古い記事の文章が入っていても、表が崩れたり、画像が元のサーバーを参照したままだったりすれば、公開前に対応が必要になります。

見積りを受け取ったら、「既存記事を取り込むところまでですか。新しい画面での整形、画像の移動、リンクの確認も含みますか」と具体的に尋ねます。原稿の書き直しまで任せたい場合は、その希望も別に伝えます。古い記事をそのまま残す作業と、現在のサービス内容へ改稿する仕事を混ぜないことが大切です。

例えば、設備会社が会社サイトを作り直す架空例を考えます。移したいものは、会社案内、過去のお知らせ、施工事例の写真、製品資料のPDFです。新しく作る会社案内ページに費用が付いていても、お知らせや資料の移行まで含むかは、この情報だけでは分かりません。

記事・画像・PDFを、代表例つきで示す

移行対象の数が同じでも、内容によって作業量は変わります。文章と画像だけのお知らせ、独自の表を使った施工事例、PDFを配布する製品案内では、移した後に確かめる場所が違います。全件を自社で完璧に調べ終える前でも、種類の違うページを代表例として見せると、調査の相談ができます。

架空の設備会社なら、通常のお知らせを一件、写真と表がある施工事例を一件、PDFのダウンロード案内を一件示します。それぞれについて、本文、掲載日、分類、画像、資料のどこまでを引き継ぐか聞きます。件数が不明なら、まず件数を調べる作業が見積りに含まれるかを確かめます。

画像は、記事中に見えていることだけでなく、実際のファイルを新しい環境へ移すかを確認します。PDFも、ダウンロードボタンを作ることと、その先のファイルを用意することを分けます。元のサーバーを停止した後も、必要な画像と資料が開ける状態を依頼範囲に含めるかが判断のポイントです。

移行する記事は本文と表示、画像はファイルと参照先、PDFは資料本体とダウンロード先を確認する図
移すデータと、移行後に確かめる状態を組み合わせて伝えます。

URLと外部サービスも、担当する仕事を分ける

記事を新しいサイトへ載せても、前のURLがどうなるかは別の確認です。今のURLを使い続けるページ、変更するページ、移さないページをどう整理するかを聞きます。URLが変わる場合は、新旧の対応を決める仕事と、必要な転送を設定・確認する仕事の担当を明らかにします。

Googleのサイト移転に関する案内にも、画像やPDFなどの移行、URLの対応づけ、新しいサイトのテストが挙げられています。見積りでは、こうした作業のうち今回必要なものが含まれているかを、現状に合わせて確認します。具体的な設定方法を発注者が決める必要はありません。

外部の予約サービス、動画、地図、問い合わせの仕組みを使っているなら、それぞれも伝えます。同じサービスへのリンクを付け直すのか、埋め込みを設定し直すのか、別の仕組みへ変更するのかで依頼内容が変わります。

外部サービス内の予約データや会員情報まで、新しいホームページへ移す前提にはしません。サイト側の入口を整える仕事と、サービス内部のデータ移行や契約変更は分けて質問します。現在の契約者が行う手続きや、別会社へ依頼する作業がある場合は、その担当と費用も確認します。

残す・直す・移さないを、誰が決めるか

過去の情報をすべて移すと、終了したサービスや古い料金が新しいサイトにも残ることがあります。一方、制作側だけで不要と判断すると、取引先が参照している資料を外してしまうかもしれません。

架空例の製品PDFなら、現行の資料は移し、過去製品の保守に必要な資料は古い版だと分かる形で残し、不要な重複資料は対象から外す、といった判断が考えられます。何を残すかは会社側の担当者が決め、制作側は対象一覧と掲載方法へ反映するなど、役割を決めます。

この選別を相談しながら進めたい場合は、資料の調査・整理も依頼範囲に含めます。「移す対象は会社側が決めて渡す」という見積りと、「現状調査から一緒に選ぶ」という見積りでは、自社の準備に必要な時間が違います。

最初の移行後に増える記事と、完了の確認まで聞く

新サイトを制作している間も、旧サイトのお知らせを更新することがあります。初回にデータを取り込んだ後で追加・修正された記事を、公開前に誰が反映するかも確認します。更新を止める期間を設けるなら、業務に支障がない日程を相談します。

見積りの前提となる対象一覧に、調査した時点を残します。「この時点の記事と資料を対象にする」「公開までの追加分はこの方法で反映する」と分かれば、後から増えた作業も話し合いやすくなります。対象量がまだ確定していない場合は、何を調べた後に費用が確定するかを聞きます。

見積り時に移行対象と分担を決め、制作中の追加更新を取り込み、公開前後の確認まで範囲をそろえる図
最初の取込みだけでなく、更新差分と移行後の確認を見積りの範囲へ入れます。

完了時にどの資料や確認結果を受け取るかも聞きます。対象一覧に対して移行漏れがないか、画像やPDFが開くか、必要な転送や外部サービスの入口が動くかなど、今回の範囲に対応した確認が必要です。全件を確認する部分と、代表ページで表示を確認する部分があるなら、その違いも説明してもらいます。

見積りを比較するときは、含む仕事、自社で行う仕事、別料金の仕事、調査後に決まる仕事を同じ並びにします。記載がない項目を無料と推測せず、回答を見積書や付属の作業範囲へ反映してもらえば、金額の違いを内容から判断できます。

Bämの相見積りで決められないときのご相談では、制作する範囲と会社側の準備、追加費用の条件を整理します。今のサイトと残したい記事・資料を伺い、移行で必要な仕事を確認したうえでお見積りをご案内します。

参考資料