仕事のことなら説明できるのに、ホームページ用の原稿にしようとすると書けない。そんな場合は、制作担当者の質問に答えながら、文章の材料を集める方法があります。先に会社紹介やサービス説明を完成させておく必要はありません。

最初の取材で話したいのは、何を頼める会社なのか、普段どのような相談を受けるのか、依頼が来た後に何を確かめるのかです。制作側はその話を読み手の疑問ごとに整理し、見出しと下書きへ変えていきます。

最初は「どの仕事を紹介するか」から話す

取材では、いきなり会社全体を紹介してもらうより、今回のページで説明する仕事を絞ります。「どんな方から頼まれる仕事ですか」「どこからどこまで引き受けていますか」と聞き、読者と対応範囲を確かめます。

例えば、住宅向けのカーテンを扱う店の原稿取材という架空例を考えます。担当者が「生地を売るだけではなく、相談を受けて採寸、見積り、取付けまで行う」と話せば、それぞれの工程について具体的に質問できます。反対に、取付けは別の業者へ依頼する運用なら、その関係を先に聞きます。

同じ会社で複数の仕事をしている場合も、全部を一度に説明しきろうとしなくて構いません。話しているうちに別の事業へ移ったら、制作側が話題を分け、今回のページに必要かを整理します。

よく聞かれることを、そのときの答えと一緒に話す

次に、「お客様は最初に何を聞きますか」「説明を聞いて安心されるのはどんな点ですか」と、普段の会話を伺います。思い出せる相談を話してもらうと、サービス名だけでは伝わらない説明が見えてきます。

架空のカーテン店なら、「今のレールをそのまま使えますか」「まだ生地を決めていなくても相談できますか」といった質問が考えられます。質問だけでなく、その場でどう答え、何を見てから判断しているかまで話します。

選ばれた理由を聞かれた場合も、広告らしい答えを用意する必要はありません。お客様が実際に話していたことと、担当者がそう感じていることを分けて伝えます。分からない理由を無理に補うより、確認できた会話や依頼の経緯が原稿の手掛かりになります。

GOV.UKのコンテンツ制作の案内でも、読む人が何をしようとしていて、どこで困り、どんな情報を必要としているかを、既存の記録などから確かめる考え方が示されています。企業の原稿取材でも、普段受ける質問は、説明が必要な箇所を考える材料になります。

何を頼めるか、どんな相談が多いか、最初に何を確かめるかを質問する図
取材中にきれいな文章へまとめる必要はありません。具体的な場面から伺います。

答えが短くても、追加の質問で条件を補える

取材中に「相談できます」「現物を見て決めます」と短く答えても、そこで原稿が決まるわけではありません。制作側が「何を見ますか」「確認前には何が決まりませんか」と聞き、意味を確かめます。

先ほどのレールの相談を例にすると、次のようなやり取りが考えられます。以下はすべて説明用の架空例です。

制作側:今あるレールは使えますか、と聞かれたらどう答えていますか。
店側:まずレールと取付け部分を見ます。傷んでいることもあるので、そのまま使えるとは先に言えません。
制作側:確認した後は、使う場合と交換する場合のどちらかをご案内するのですね。
店側:はい。交換が必要なら、費用も説明してから進めます。

この会話には、状態を確認すること、確認前には使用可否を決められないこと、交換費用を説明することが含まれています。話し手が文章の順番を整えなくても、制作側が必要な意味を拾えます。

制作側は、会話を見出しと下書きへまとめ直す

取材は、録音した会話をそのまま載せるためだけに行うものではありません。話題が行き来しても、制作側が「相談できること」「確認する内容」「依頼の進め方」などへ整理し、読む人が理解できる順に並べます。

架空例の会話なら、見出しを「今あるレールを使いたい場合」とし、下書きを「既存のレールと取付け部分の状態を確認し、使用できるかをご案内します。交換が必要な場合は、費用をご説明してから進めます」とまとめられます。

一方、話していない出張費や対応地域まで、下書きで決めることはできません。未確認の条件は質問として残します。分かりやすい表現へ直す過程で「どのレールでも使えます」「交換は無料です」と意味を広げないよう、会話と原稿を照らし合わせます。

取材で材料を集め、疑問ごとに見出しを作り、下書きの事実と条件を会社が確認する図
話した順番をそのまま載せるのではなく、初めて読む方に必要な順へ並べます。

会社側は、文章を一から書くより事実を確かめる

下書きが届いたら、自社の仕事内容、条件、数字、名称が合っているかを確認します。取材に同席しなかった担当者しか分からない内容は、その方へ確かめます。公開できない顧客名や事例が含まれていないかも見ます。

直したいところがあれば、完成した修正文を返す必要はありません。「この対応は店頭だけ」「交換の前に見積りの了承が必要」のように、何が違うかと正しい事実を伝えれば、制作側が文章へ反映できます。表現を変えた後は、意図した意味になっているかをもう一度確認します。

取材前には、話しやすい仕事を一つ思い浮かべ、普段使っている案内や商品を見られる状態にしておくと十分な手掛かりになります。資料を新しく作るより、何を見ながら話せば説明しやすいかを考える準備です。

Bämの原稿や写真の準備が進まない場合の制作案内では、お話と資料からページの構成・下書きを作り、会社側に事実と公開可否を確認いただきます。まず説明できる仕事から話し、足りない条件を質問で補いながら、ホームページで読める文章に整えていきます。

参考資料