
採用ページの仕事内容に、業務名や社内の略語が並んでいる。担当者には自然な説明でも、その仕事を初めて調べる方には、入社後に何をするのかが伝わらないことがあります。
専門用語をすべてなくすのではなく、正式な業務名に「何を扱い、誰と、何をするか」を添えます。さらに、応募時に必要な知識と入社後に覚えられることを分けると、経験のある方にも、別の仕事から転職を考える方にも判断しやすい文章になります。
業務名だけで、一日の仕事を想像できるか
たとえば「受注入力、納期調整、売上計上」と書かれた営業事務の募集を考えます。経験者なら見慣れた言葉でも、使う情報や連絡する相手は会社によって異なります。取引先と直接やり取りするのか、営業担当者から依頼を受けるのかも、この一文からは分かりません。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも、営業事務の具体的な業務は企業規模や業種・事業内容によって異なると説明されています。一般的な職種名を付けるだけでは、自社で担当する仕事までは伝えきれないということです。
最初に、現在の原稿から、初めて読む方が動作を想像しにくい言葉を選びます。社内だけで使う略称、担当範囲の広い「管理」、具体的な作業が省かれた「対応」なども対象です。一度に用語辞典を作るより、募集で中心となる仕事から説明を補います。
一つの業務を、相手と動作が見える文章にする
ここからは、部品を扱う会社が営業事務を募集する架空の例です。元の説明が「受注入力および納期調整」だったとします。まず現場へ、どこから何を受け取り、何を確かめ、誰へ知らせるのかを聞きます。
この会社では、取引先の注文書を受け取り、商品名と数量を社内の販売管理画面へ入力し、出荷担当者へ発送できる日を確認する運用だとします。採用ページでは、次のように説明できます。
受注入力・納期調整を担当します。取引先から届く注文書の商品名と数量を確認し、社内の販売管理画面へ入力します。希望の納品日に対応できるかを出荷担当者に確認し、回答内容を営業担当者へ共有する仕事です。
業務名を残しながら、扱う資料、入力する内容、社内で連絡する相手が見える文章にしています。この例を実際に使う場合は、取引先への回答を誰が担当するかなど、自社の仕事の分担に合わせて直します。

残した方がよい用語と、言い換えたい略語を分ける
仕事を探している方が職種や経験を確かめるとき、正式な業務名は手掛かりになります。「受注入力」をすべて「パソコン作業」に変えると、かえって担当する仕事が曖昧になります。見出しや文の最初に業務名を置き、その後に説明を続ける方法が使えます。
一方、社内システムの愛称や部署内だけの略語は、初めて読む方が知っているとは限りません。固有名を知らなくても仕事を理解できるなら、「社内の販売管理システム」のように役割を説明します。実際に使用経験を求める製品名は、応募条件との関係が分かるように載せます。
専門用語が続く文章は、括弧の説明を増やすだけでは読みにくくなります。一文に複数の作業が入っているなら、注文の確認、入力、出荷担当者への連絡という動作ごとに文を分けると、仕事の順序も伝えられます。
「知らなくてもよい」と「入社前に必要」を曖昧にしない
仕事内容を分かりやすくしても、応募に必要な経験が不明なままだと、自分が応募できるか判断しにくくなります。仕事の紹介と合わせて、入社時に求めること、あると役立つ経験、入社後に教える内容を分けます。
架空の営業事務の例なら、商品の呼び方や社内画面の使い方は入社後に教える一方、どの程度のパソコン操作を求めるかは会社が決めて説明する必要があります。「基本操作」とだけ書かず、文章の入力やファイルの保存など、実際に必要な操作へ置き換えられるかを確認します。
ただし、読みやすくするために、必要な経験をなくしたことにしたり、存在しない研修を加えたりしてはいけません。「先輩が教えます」と書くなら、誰がどの仕事を教え、迷ったときに誰へ確認するのかを現場と揃えます。

仕事の難しさや責任まで薄めない
「誰でもできる簡単な入力作業」と言い換えると、納品日の確認や入力内容の正確さに関わる仕事まで軽く見える場合があります。実際に確認が必要な場面は残し、そのときの対応を説明します。
たとえば、注文書と登録内容が一致しない場合に、自己判断で修正するのか、営業担当者へ確認するのかは大きな違いです。採用ページですべての手順を公開する必要はありませんが、判断に迷う場面と相談先を示すと、責任の範囲が見えます。
社内向けの操作マニュアルのように細かく書くことも目的ではありません。画面のボタン名を順に列挙するより、何を正しく処理するための仕事か、どこまで任されるかが分かる説明を優先します。
最後は、詳しい人と初めて読む人に違う確認を頼む
原稿ができたら、現場の担当者には、担当範囲や作業順、必要な知識が実態と合っているかを確認してもらいます。その仕事に詳しくない社内の方には、「何を受け取り、誰に確認する仕事だと思ったか」を説明してもらうと、伝わらなかった部分が分かります。
単に「読みやすいですか」と聞くより、読み手が想像した仕事を聞くことが役立ちます。取引先へ直接回答する仕事だと受け取られたのに、実際は営業担当者へ共有する範囲なら、その違いが分かるように直します。
Bämの採用応募が来ない場合の相談案内では、実際の業務や社員の経験を聞き、応募前の疑問へ答える原稿を制作します。今の募集文と、現場で使っている言葉を共有すれば、正式な業務名を生かしながら仕事が伝わる文章を相談できます。
