ECサイトの見積りでは、制作会社の見積書にある金額と、ネットショップサービスの料金ページにある月額を、そのまま比べてしまうことがあります。しかし、売り方を整理して画面を作る費用と、公開後に仕組みを使い続ける費用は別です。

比較するときは、初回の制作費、契約中にかかる固定費、売上や利用量に応じた変動費に分けます。そのうえで、同じ機能と販売条件を前提に、開店時と運営中の支出を確認します。安い月額や低い決済手数料だけでは、必要な総額は決まりません。

制作費には、どこまでの作業が入るかを揃える

制作会社へ支払う費用には、商品や売り方の整理、原稿、デザイン、サイト構築、初期の商品登録、決済・送料の設定、テスト注文などが含まれる場合があります。見積りの合計を見る前に、どこまで任せられるかを揃えます。

例えばBämの通販・ECサイト制作の現行案内は、150万円から(税別)で、主要8〜12画面、商品10点、国内販売、発送元1か所、通常の都度購入を基本例としています。月額利用料、決済手数料、有料アプリは制作前に分けて案内する内容です。この金額を、ECサービスを自分で設定して始める場合の利用料と直接比較することはできません。

他社の見積りでも、商品写真や説明文を自社で用意するのか、既存データの移行を含むのか、送料の条件がどこまで設定されるかで作業は変わります。「初期費用が安い」場合に、自社で担当する仕事が増えていないかも見ます。

月額費用は、サービス利用と運営支援を分けて読む

公開後の固定費には、ECサービスの契約料、ドメイン、必要に応じたサーバーやアプリ、制作会社の保守・更新支援などがあります。サービスの契約にサーバーが含まれているなら、別の見積りでも重複して数えないようにします。一方、月額契約があることだけで、商品登録や問い合わせ対応まで任せられるとは限りません。

月額の表示では、支払いの単位も確かめます。Shopifyの料金ページは月払いと年払いを分けて表示しています。BASEの料金案内でも、グロースプランの年払いは12か月分のまとめ払いで、月払いとは条件が異なります。「1か月あたり」の表示額と、実際にその日に支払う金額は同じとは限りません。

初年度の予算を考えるなら、初回の制作代金に加え、公開時に必要な年払い契約や一回限りの購入費も並べます。お試し期間や期間限定の割引がある場合は、終了後の通常料金で運営を続けられるかも確認します。

決済手数料は、料率と注文件数の両方を見る

決済に関する費用は、「売上の何%」だけとは限りません。BASEの現行料金表には、決済手数料の料率、一注文あたりの固定額、サービス利用料が別々に示され、決済方法や注文経路による違いも記載されています。月額0円のプランでも、商品が売れたときの費用まで0円になるわけではありません。

比較する際は、選んだ決済方法ごとに、手数料を計算する対象額と件数、追加される料金を確認します。送料などを含む決済額に対して計算するのか、別のサービス利用料が重なるのかによって見積りは変わります。売上のすべてに最も低い料率を掛ける方法では、実際の支出を小さく見積もることがあります。

振込時や返金時の費用も、各サービスの現行条件で確認する項目です。すべてのサービスで同じ料金が発生すると決めず、候補にしている契約と決済方法に絞って調べます。

販売規模を変えると、どちらが安いかも変わる

以下は実在サービスの料金ではなく、比較方法を説明するための仮の条件です。A案は月額0円、決済額の4%と一注文40円。B案は月額5,000円、決済額の3%で、一注文あたりの固定額はないとします。両案の機能と制作費は同じと仮定し、消費税、追加アプリ、返金などはこの計算に含めません。

一注文の決済額が5,000円で、月40件なら、月の決済額は20万円です。A案は「20万円×4%+40件×40円」で9,600円。B案は「5,000円+20万円×3%」で11,000円となり、この条件ではA案が低くなります。

同じ一注文5,000円でも、月200件なら決済額は100万円になります。A案は48,000円、B案は35,000円です。こちらでは、月額があるB案の方が低くなります。月額の有無だけで結論を出さず、想定する注文規模を当てはめる必要があることが分かります。

仮のA案とB案の月額と決済関連費用を比較。月の決済額20万円ではA案9600円、B案11000円。100万円ではA案48000円、B案35000円となる説明用棒グラフ
本文の仮条件による計算です。実在サービスの料金比較や売上予測ではありません。

新規開店で販売量が読めない場合は、控えめな場合と伸びた場合の両方を試算します。すでに販売しているなら、決済額だけでなく注文件数と決済方法の実績を使います。客単価が下がって注文件数が増えると、一注文あたりの固定額の影響も変わります。

有料アプリは、必要な機能ごとに費用を足す

定期購入、在庫連携、送り状の作成など、必要な機能をアプリや外部サービスで補うことがあります。基本プランだけを比べると、実際に使う構成になったときの費用差が見えません。

Shopifyのアプリ請求の公式説明では、継続的な料金、使用量に応じた料金、一回限りの購入などが区別されています。アプリはすべて月額固定と考えず、その機能をどの程度使うと支出が変わるかを確かめます。

制作会社には、「機能名」「利用するアプリやサービス」「初回設定の作業費」「公開後の利用料」を対応させて提示してもらいます。アプリを設定する制作作業と、アプリ提供元へ支払う料金が混ざっていないかを確認できます。制作会社を変更した後も必要な契約については、契約者と請求先も把握しておきます。

初年度と、二年目以降を分けて比較する

比較表は、まず初回だけの制作・設定・移行費をまとめ、次に契約料や保守支援、想定する決済手数料と従量料金を足します。初年度と二年目以降を分けると、最初の制作費が低い案と、運営時の支出が低い案を比べやすくなります。年間契約と30日単位の請求など、実際の契約期間が異なるものは、その期間に合う金額で揃えます。

ここで比較したサイトとシステムの費用だけで、通販事業全体の採算は決まりません。商品の仕入れ、梱包、配送、広告、人件費などは別に把握します。制作の見積りに含まれない費用をゼロとして扱わないことが大切です。

EC制作の相談では、商品数、通常購入か定期購入か、発送元、利用したい決済方法、現在または想定する注文規模を伝えます。Bämでは売り方、原稿、画面、決済・送料、テスト注文を含む制作範囲と、公開後の利用料を分けて案内します。必要な機能を揃えた条件で、通販・ECサイトの制作費を相談するところから比較を進められます。

サービスの料金条件は2026年9月21日に公式案内を確認しています。見積りや契約を行う際は、利用するプラン・支払方法・決済方法について、その時点の公式料金を再確認してください。

参考資料