ホームページの原稿を作ろうとして「自社の強みを書いてください」と言われても、特別な技術や大きな実績が思い浮かばないことがあります。普段どおりに仕事をしている会社ほど、説明に使える材料を見落としているかもしれません。
最初から強みの名前を決める必要はありません。最近受けた相談、繰り返し頼まれる仕事、現場で確認していることを具体的にたどり、相手が何に困り、自社がどう応じたかを集めます。その中から、今も提供でき、事実を確かめられる内容を原稿の材料にします。
「何が得意か」より、最近の相談を一つ聞く
取材の入口は、担当者がよく覚えている仕事です。「最近、初めてのお客様から何を相談されましたか」「最初の問い合わせには何と書かれていましたか」と聞くと、抽象的な長所を尋ねるより話しやすくなります。
例えば、作業着を扱う会社で原稿を作る架空の場面を考えます。営業担当者に最近の相談を聞くと、新しく入った従業員の作業着を追加したいが、以前の品番が分からないという話が出ました。そこで、残っていた発注記録と現物の表示を照合し、同じ商品を手配できるか調べたとします。
ここで集めたいのは「親切な会社です」という評価ではなく、相談の内容、手掛かりにした資料、確認したことです。以前の品番を調べる対応が普段から可能なら、追加注文で困っている方へ説明できる材料になります。対応できる記録の範囲や、廃番の場合の扱いも併せて聞きます。

選ばれた理由と、社内の推測を分けて残す
相談を受けた理由が分かると、相手にとっての価値を考えやすくなります。ただし、営業担当者が「価格で選ばれたと思う」と感じていても、お客様が同じ理由で依頼したとは限りません。
中小機構のJ-Net21でも、強みを見つける方法として、取引先に商品やサービスを利用している理由を聞くことや、従業員から異なる視点を得ることが紹介されています。本記事では、その考え方をホームページ用の取材に絞って使います。
継続取引があるなら、商談などの自然な機会に「今回もご相談いただいたのは、どのような点が理由でしたか」と聞けます。実際に聞けた言葉は発言の記録として残し、まだ聞いていない理由は仮説として分けます。継続している事実だけで、品質や対応への評価を断定しないことが大切です。
お客様の言葉をそのままホームページへ載せる場合は、公開の了承を別に確かめます。社内で材料を整理することと、社名や発言を公開することは分けて進められます。
現場の「いつも確認していること」までたどる
営業の話に加え、実際に手配や作業をする担当者にも聞きます。「この仕事で、途中に確認したことは何ですか」「確認しなければ何が分からないままでしたか」という質問が役立ちます。
先ほどの作業着会社であれば、品番が同じでも色やサイズ、供給状況を確認しているかもしれません。別の商品を提案するときに、生地の厚さや動きやすさを見本で確かめてもらっているなら、その場面も材料です。日常の手順を聞くことで、営業だけでは説明しきれない仕事が見えてきます。
記憶だけで話を広げず、注文書、対応メモ、見本帳などを見ながら聞くと、何をしたのかを確かめやすくなります。取材用に見せてもらう資料に顧客名や取引条件が含まれる場合は、必要な箇所だけ抜き出すなど、制作側へ渡せる形を会社で決めます。
一度だけの特別対応か、今もできる仕事かを確かめる
材料が集まっても、印象的な一件をそのまま会社全体の約束にはしません。担当者が個人的に行った対応、過去の仕入先だから実現できた手配、通常とは異なる費用で受けた仕事かもしれないからです。
似た相談がほかにもあったか、現在の担当者でも対応できるか、どの条件なら受けられるかを確認します。作業着の例なら、記録の残る取引について品番を確認することと、あらゆる古い商品を必ず探し出せることには違いがあります。
今も行っている仕事として裏付けが取れれば、原稿の候補にできます。条件がまだ分からない内容は追加の確認事項として残し、過去の例しかない場合は、その時点の事例として扱うか検討します。無理に「他社にはない強み」へまとめなくても、どのような相談に対応しているかを具体的に説明できます。

制作側には、整った文章より話の手掛かりを渡す
取材前の準備は、会社の長所をきれいに書き出すことだけではありません。相談内容を覚えている担当者、振り返りたい仕事、見ながら話せる資料があれば、そこから原稿の検討を始められます。
社内メモにするなら「相談されたこと」「実際に行った対応」「確認に使える資料」「今も対応できる条件」をひとまとまりにして残します。お客様の反応が分からない部分は、空欄や未確認のままで構いません。埋めるために発言や効果を作らないようにします。
Bämの原稿や写真の準備が進まない場合の制作案内では、手元の資料や取材をもとに構成・下書きを作り、会社側に事実と公開可否を確認いただく進め方を案内しています。まず最近の仕事を一つ選び、担当者が具体的に話せる状態にすると、原稿づくりを進めやすくなります。
参考資料
- J-Net21:SWOT分析をする上で自社の強みの見つけ方を教えてください。(取引先・従業員への聞き取りの考え方を参照)