はじめに
Webの世界には「レスポンシブ」「CMS」「ドメイン」「サーバー」「SEO」「UI/UX」など、実にさまざまな専門用語が存在します。中小企業の経営者や担当者としては、これらをある程度理解していないと、Webサイトの制作会社や社内スタッフとの打ち合わせで話が通じずに苦労する場面も多いでしょう。さらに初歩的なところから質問しようにも、時間が取れず「とにかく用語だけでもまとめて知りたい」という切実な声は少なくありません。
本記事では、Web専門用語が多すぎて頭が混乱している方のために、そもそも何が何なのかを整理しながら、その上でどのように学び、活用していけばよいのかを解説していきます。話がかみ合わず困っている経営者や担当者に向け、なるべくわかりやすく説明していきますので、ぜひ参考にしてください。
Web専門用語の基礎整理
最初に押さえておきたいのは、Webに関連する専門用語は大きく分けるといくつかの領域にまたがっているという点です。制作系、運用系、マーケティング系など、それぞれ別の目的や技術背景を持っています。そのため、無数に存在する用語を一気に覚えようとするより、まずは以下のように大分類を意識すると整理しやすくなります。
分類 | 用語の例 | 解説のポイント |
---|---|---|
制作・技術系 | ドメイン, サーバー, CMS, HTML, CSS, JSなど | Webサイトを構築・管理する仕組み |
マーケ系 | SEO, キーワード, タグ, ランディングページなど | 集客や認知度アップ、売上向上につなげる施策 |
デザイン系 | レスポンシブ, UI, UX, レイアウト, カラー設計など | 見た目と操作性を最適化するための概念 |
運用系 | アクセス解析, サイト運用, セキュリティなど | 日々の更新や維持管理、リスク対策など |
こうした全体の地図を描くイメージを持つことで、「どの領域の用語なのか」をまず見極められるようになります。用語がわからないまま放置すると話が進まないばかりか、具体的な指示も出せずに迷走してしまうので注意が必要です。
用語が多すぎて混乱する理由
Web専門用語が大量に存在するのは事実ですが、なぜそこまで多く感じるのでしょうか。いくつか考えられる理由を挙げてみます。
- 技術革新のスピードが速い
Webは日々新しい技術やトレンドが生まれ、短いサイクルで進化しています。したがって、数年前にはなかった用語もどんどん登場してくるため、常に新しい言葉が増えていきます。 - 英語由来の略語や専門用語が多い
UI/UXやCMS、SNSなど英語の略称が頻繁に使われるため、背景を知らないとイメージがつかみにくいのも混乱の原因の一つです。 - デザイナー・エンジニア・マーケターなど職種ごとに専門領域が細分化
Webサイト制作といっても、デザインを専門とする人とプログラムを専門とする人では使う言葉が違います。さらにマーケティングや営業サイドでも別の専門用語があるため、重複なく網羅しようとすると膨大な量になるのです。 - 曖昧に使われる言葉もあり、解釈が一定でない
例えば「SEO対策」といっても、具体的に何を指すのかは企業や専門家によって解釈が違う場合があります。言葉だけを聞いてもピンとこないのはこうした背景もあるのです。
用語理解に役立つ基本のステップ
いきなり全用語を一度にマスターしようとしても負担が大きく、途中で挫折してしまうことが少なくありません。そこで、ある程度の優先順位をつけて理解していく方法を取るのがおすすめです。
- 自社サイトや業務に直結するものから取り組む
まずは自社で運用している(あるいは運用予定の)Webサイトに直接関係している用語を優先しましょう。たとえば、CMSを導入しているなら「CMS」「ドメイン」「サーバー」「レスポンシブ」など、サイト運用において欠かせない用語に的を絞って学ぶのが効率的です。 - 大枠を把握してから詳細に入る
先ほど紹介した表のように、「これは制作系の用語」「これはマーケティング系の用語」という大分類を知っておけば、頭の中で“引き出し”を作りやすくなります。大まかな立ち位置がわかった上で、必要に応じて細部を学ぶと混乱しづらいです。 - 同時に使いながら覚える
実際にWeb制作会社とのやり取りや、自社サイトの更新作業をしながら調べると、言葉が実務と紐づくため記憶に残りやすくなります。聞きかじるだけではなく、会議やメール、発注書などで実際に使ってみることが大切です。 - 一度に多くを覚えようとしない
焦って詰め込むよりも、優先度の高いものを少しずつ理解していく方が長続きします。実用を重ねていくうちに、自然と必要な周辺知識にも目が向くようになり、無理なく習得範囲を広げられます。
押さえておきたい代表的なWeb用語
ここでは、特に中小企業でWebサイトを運用するうえで必須となる用語をピックアップし、簡単に解説します。
ドメイン
Webサイトの住所のようなもの。たとえば「example.com」などが該当します。ドメインを取得し、そのドメインを使ってWebサイトを公開します。
サーバー
Webサイトのファイルやデータを置いておく場所。インターネット上のレンタルサーバーを契約し、そこにファイルをアップロードすることでWebサイトを閲覧できるようになります。
CMS
「Content Management System」の略称。専門的なプログラミング知識がなくても、Webブラウザ上で文章や画像の追加・編集ができる仕組み。WordPressなどが代表例です。
レスポンシブ
パソコン、スマートフォン、タブレットなど、アクセスするデバイスの画面サイズに応じて自動的にレイアウトを最適化するWebデザイン手法。
SEO
「Search Engine Optimization」の略称。検索エンジン(GoogleやBingなど)でサイトを上位表示させるための施策全般を指します。具体的には、適切なキーワード選定やサイト構造の見直しなどが含まれます。
UI/UX
「UI」はユーザーインターフェース、「UX」はユーザーエクスペリエンスの略称。Webサイトやアプリの使い勝手の良さや、利用者が得る体験全般を指す概念です。
用語を効果的に学習・運用するポイント
専門用語の理解を深めるには、ただ用語と定義を暗記するだけでなく、実際の業務や改善にどう活かすかが重要です。以下のようなポイントを参考にしてください。
- 業務フローと照らし合わせる
Webサイトの制作・運用の流れを一覧化し、それぞれの工程で使われる用語をまとめておくと良いでしょう。例えば「企画→デザイン→コーディング→公開→運用→分析」という流れに沿って、工程ごとのキーワードを整理すると自社サイトに合った学習が可能になります。 - 必要最低限の部分だけ依頼してサポートを仰ぐ
全てを自分たちだけでやろうとすると負担が大きいです。専門会社や詳しいスタッフにサポートを依頼し、一緒に取り組みながら覚える方法がより効率的です。 - 社内共有のための用語集を作成する
代表的な用語とその意味を簡潔にまとめた社内向け用語集を作っておくと、担当者が変わってもスムーズに引き継ぎが行えます。また、打ち合わせで出てきた新しい用語を随時追加していけば、混乱を最小限に抑えられます。 - 外部に振り回されない判断基準を持つ
「この用語を知らないとダメ」「これをやらないと時代遅れ」という極端な情報に惑わされると、本当に必要な知識を見失いがちです。自社にとって必要かどうかを常に意識し、目的があれば調べる、といった判断基準を持つのが大切です。
用語に関するトラブルと解決策
実際にWeb専門用語が原因で起こりやすいトラブルと、その対処方法を確認しておきましょう。
トラブル事例 | 原因・背景 | 解決策 |
---|---|---|
社内・外注先とのコミュニケーションが噛み合わない | 用語の理解度に差が大きく、言葉はわかっても具体的イメージが異なる | 打ち合わせ前に用語リストを共有し、疑問点は明確にしておく |
無駄な作業や二重作業が発生する | 用語の意味を取り違えたまま進行し、仕様や成果物が合わなくなった | 仕様書や指示書に専門用語の定義を加え、認識のズレを防ぐ |
提案内容の価値がわからず、判断が遅れる | 新しい施策やツールの名前だけ先行し、中身を理解できていない | 用語の背景やメリット・デメリットを整理し、簡潔に共有する |
ネット上の誤情報に踊らされてしまう | 信頼性の低いサイトの解説を鵜呑みにしてしまい、逆に混乱が増えた | 複数の信頼できる情報源で確認し、必要なら専門家へ相談する |
表を使ったまとめ:用語整理例
ここまで解説してきた基本概念を踏まえ、自社で必要な用語を整理する際の例をまとめてみました。あくまで一例ですが、このようにExcelなどで一覧化しておくとわかりやすくなります。
用語 | 分類 | 意味・ポイント | 自社での活用度合い |
---|---|---|---|
ドメイン | 技術系 | Webサイトのアドレス | 必須:取得済み |
サーバー | 技術系 | Webサイトデータを置く場所 | 必須:レンタルサーバー契約 |
CMS | 運用系 | ブラウザからサイト編集が可能になるシステム | 必須:WordPress採用 |
レスポンシブ | デザイン | 画面サイズに応じてレイアウトを調整 | 必須:全ページ対応 |
SEO | マーケ系 | 検索エンジンで上位表示を狙うための施策 | 中程度:改良が必要 |
UI/UX | デザイン | ユーザーの操作性や体験を向上させる概念 | 高い:顧客満足度向上に直結 |
このように、用語の意味だけでなく、自社での優先度や活用度合いまで記載しておくと、現場レベルでどれだけ重要かが一目で把握できます。
まとめ
Webの世界には、制作・技術系からマーケティング系に至るまで非常に多くの専門用語が存在します。しかし全てを一気に網羅しようとすると、混乱ばかりで前に進めなくなることも少なくありません。まずは自社サイトに直結する重要度の高い用語から着実に押さえ、業務の中で実際に使いながら学ぶことが大切です。さらに、社内や制作会社との打ち合わせ時には、専門用語の意味を意識的にすり合わせるだけで誤解のリスクは大幅に減ります。情報を整理するために大分類(制作・技術、マーケティング、デザイン、運用など)を把握し、自分たちにとってどの領域が必要かを見極めることが、Web専門用語による“頭が混乱”状態を乗り越える第一歩となるでしょう。
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