会社紹介を書こうとすると、創業までの経験や支えてくださった方への感謝など、残したい話がたくさん出てくることがあります。その一方で、初めてホームページを読む方が知りたいのは、「今、この会社に何を相談できるか」ということです。

創業者の思いを生かすには、話を短くするだけでなく、個人として経験したこと、会社を始めた理由、現在提供している仕事を分けてからつなぐ方法が役立ちます。創業前の経験を会社の実績に見せず、今の担当者も実行できる案内へ整えます。

豊中市で会社紹介を見直したい方へ、印刷会社の原稿を例に、創業者への聞き取りから掲載文とサービス案内までまとめる手順をご紹介します。

創業時の資料を、今のお客様への説明に使い直す

豊中市のとよなか起業・チャレンジセンターは、市と豊中商工会議所が連携して運営する支援拠点です。2023年4月4日更新の紹介では、業種や業歴にとらわれない事業者の支援を案内しています。開業時にまとめた事業の説明や、その後の見直しで整理した資料は、会社紹介を考える際の出発点になります。

たとえば、創業計画書、当時の自己紹介、会社案内、現在のサービス表を並べてみます。日本政策金融公庫の創業計画の書き方でも、創業の動機・経営者の略歴と、取扱商品・サービスを分けて案内しています。ホームページの原稿を整理するときも、経験と今の事業を別々に取り出す手掛かりになります。

ただし、創業時に目指していた仕事が、現在すべて提供されているとは限りません。計画書の文章をそのまま載せず、実際に始めたこと、今も続けていること、まだ準備していることを確かめます。会社紹介は、過去の計画を発表する場ではなく、現在の会社を理解していただくためのページです。

長い原稿を用意する必要はありません。まず、なぜ始めたのか、今どんな相談を受けているのか、依頼前に何を確認しているのかを、普段の言葉で話していただきます。制作会社は、その話のどこを紹介文に残し、どこをサービスの説明へ移すかを整理します。

個人の経歴と、会社の創業年を分けて記録する

ここからは、豊中市で2019年に創業した小さな印刷会社の架空例です。創業者は2008年に別の印刷会社へ入社し、注文の受付と原稿の確認を担当していました。その中で、初めて印刷を頼む方が「何を用意すればよいか」に戸惑う場面に接し、手元の資料から相談しやすい会社をつくりたいと考えました。

聞き取りで残したメモには、「2008年から印刷の仕事に携わり、初めてのお客様の相談を大切にしてきた。何でも気軽に相談してもらえる会社にしたい」とあります。このメモは思いを確かめる材料ですが、そのまま「2008年創業」「創業以来すべての印刷に対応」とまとめると、元の話とは違う説明になります。

2008年は創業者個人が仕事を始めた年で、現在の会社の創業は2019年です。代表者の紹介には前職で担当した仕事として記し、会社概要や沿革には会社の創業年を記します。以前の勤務先での経験を、現在の会社が受注した実績へ置き換えないようにします。

2008年の創業者個人の勤務経験と2019年の会社創業、現在のサービスを分けて記録する図

年号が曖昧な場合は、手元の記録で確かめてから掲載します。月日まで必要がなければ、確認できた年と担当業務で説明できます。読みやすく整える過程で、記憶にない転機やお客様の発言を足す必要はありません。大切にしている理由は、確認できる経験の範囲でも十分に伝えられます。

また、創業者が個人でできることと、会社として継続して受けられる仕事も分けます。以前は経験があっても今は設備や担当がいない仕事なら、現在の対応サービスには含めません。思いの紹介を読んだ方が、実際には受けられない仕事まで頼めると感じないかを確認します。

創業理由を、できることと対応外まで含めた原票にする

この会社が現在受けているのは、チラシや案内状の原稿整理、レイアウト、印刷の相談です。お客様が用意した文章や写真を確認し、足りない材料と進め方を案内します。一方、現地での写真撮影やロゴ制作は、現在の受付範囲に含めていません。

「何でも気軽に」という言葉には、専門用語や完成した原稿がなくても話を聞きたいという意図があります。その意図を残しつつ、どんな仕事でも受けるという約束にならないよう、会社紹介の元になる記録を作ります。次の原票は、創業者と現在の受付・制作担当が内容を確かめるための例です。

原票の項目 この会社の記入例
創業理由 前職の注文受付で、初めての印刷に必要な材料が分からず戸惑う方に接した。用意できる資料から相談しやすい会社をつくりたいと考え、2019年に創業。
できること チラシ・案内状の原稿整理、レイアウト、印刷の相談。用途、配布予定、手元の文章・写真を確認し、必要な準備と進め方を先に案内する。
対応外 現地での写真撮影とロゴ制作は現在受け付けていない。内容確認前に納期や作業範囲を確約しない。
相談例 催しのA4チラシを作りたいが、文章だけがあり写真は未準備。文章を読み、必要な素材と作業範囲を整理してから、制作方法と日程を相談する。
掲載先 創業理由は会社紹介、前職の経験は代表者紹介、現在の範囲と資料はサービス案内、相談時に伺うことは問い合わせ案内へ。
確認担当 創業者が経歴・動機を確認。受付・制作担当が現在の対応と案内手順を確認。最終文は両方の確認を終えて掲載する。

原票には、話を聞いて初めて分かった未確認事項も残します。たとえば「昔は写真も撮っていた」という話があれば、それが個人の経験か、現在も会社で受けている仕事かを確かめます。確認できるまで公開文へ入れず、担当者への質問として残すと、魅力を足そうとして対応範囲を広げることを防げます。

サービスの一覧がまだ整っていなくても、最近受けた相談を一件たどると確認しやすくなります。どんな資料が届き、何を聞き返し、どこまで作業したのかを担当者から伺います。お客様の名前を公表しなくても、社内で現在の対応を確認する材料にはできます。

聞き取りメモを、お客様に伝わる会社紹介へ書き直す

原票ができたら、最初の掲載文を考えます。先ほどのメモを印象だけで短くすると、次のようになりがちです。

2008年から培った経験で、どんな印刷もお任せいただけます。お客様の思いをすぐに形にする、地域に寄り添う会社です。

この文では、個人の経験と会社の歩みが読み分けにくく、「どんな印刷も」「すぐに」が現在の体制を超えた約束になります。そこで、会社の始まり、今受けられる仕事、相談時に行うことをそろえて書き直します。

私たちは、2019年に豊中市で創業した印刷会社です。初めて印刷を頼む方にも、手元の資料から相談していただけることを大切にしています。チラシや案内状の用途と配布予定、文章や写真の準備状況を伺い、必要な材料と制作の進め方をご案内します。

この文章なら、専門的な知識がなくても相談できるという思いを、実際の受付で行うこととして伝えられます。創業者の2008年からの経験は削除するのではなく、代表者紹介で「前職では注文受付と原稿確認を担当した」と補います。会社紹介の冒頭に、経歴のすべてを背負わせない構成です。

創業者の聞き取りメモを経歴・動機・現在の対応に整理し、会社紹介とサービス案内へ書き分ける図

対応外の内容は、冒頭へ長く並べるより、関連するサービス案内で確認できる位置に置きます。たとえば写真素材の説明の近くに、現地撮影は現在受けていないことを添えます。相談しやすい語りかけを保ちながら、お客様が準備するものも分かるページにします。

会社紹介の言葉は、代表者が読んで自分の思いだと感じられることと、担当者がお客様へ同じ説明をできることの両方を確かめます。普段は使わない大げさな表現より、「何を大切にして、どう進める会社か」が自然に伝わる言葉を選びます。

「文章しかない」という相談で、紹介文と対応を確かめる

紹介文が整ったら、原票にあるA4チラシの相談で読み直します。お客様は催しの説明文を用意していますが、写真はまだありません。「手元の資料から相談できる」と読んで問い合わせた方へ、写真がないことだけを理由に最初から依頼をやり直していただく案内になっていないかを見ます。

この会社では、文章を受け取り、用途と配布予定を伺います。そのうえで、写真が必要な構成にするか、文字を中心にまとめられるかを相談します。写真を使う場合は、誰が用意するかを決めます。現地撮影まで会社が行うと説明することはしません。

「相談できる」は、原稿が未完成でもすべてを任せれば完成するという意味ではありません。会社が整理する文章、依頼する方に確認していただく内容、追加で必要な素材を示し、作業の範囲と日程を合意してから進めます。この対応が、会社紹介に書いた姿勢の裏付けになります。

問い合わせ案内にも、用意できる文章や写真、用途、配布したい時期を分かる範囲で知らせていただく説明を置きます。まだ決まっていない部分は、そのまま相談できることを伝えます。「完成原稿の添付が必須」という設定が残っているなら、紹介文だけを変えても実際には相談を始められません。

経歴と現在のサービスを、別々の担当で確認する

会社紹介の確認を代表者一人で終えると、創業の話は正しくても、現在の受付や制作の説明が古いまま残ることがあります。経歴と創業理由は創業者へ、日々の作業と対応範囲は実際の担当者へ確認します。

資料にも確認先を付けます。2008年の勤務経験は本人の経歴資料、2019年の創業は会社の記録、現在のサービスは受付案内と担当者の確認を用います。会社の歴史に前職の受注件数を足したり、個人の経験年数を創業年数に言い換えたりしないよう、年号の主語をそろえます。

創業者が経歴と動機を、受付・制作担当が現在の対応を確認し、両方の確認から会社紹介を仕上げる図

写真を選ぶときも、今の事業を説明できるものを中心にします。古い写真を創業の背景として使うなら、いつの何の場面かを確かめます。現在の設備やスタッフの写真と並べる場合も、過去の様子が今の体制と誤解されないよう、必要な説明を添えます。

公開後に担当者やサービスが変わっても、創業理由そのものを書き換える必要があるとは限りません。この会社が将来撮影を受けるようになった場合は、対応開始を確認し、サービス案内と問い合わせの説明を見直します。変わらない思いと、変わる提供内容を分けておけば、どこを更新するか判断できます。

会社紹介の原票から、制作するページを決める

制作会社へは、現在の文章と原票、確認した経歴資料、サービス表、使用できる写真を渡します。原稿がない場合も、創業者の話と一件の相談例があれば、必要な質問を整理できます。すべてを長文にしてから依頼するより、確認できる材料と確認者をそろえると進めやすくなります。

今回なら、会社紹介の冒頭を書き直し、代表者紹介へ前職の経験を分け、サービス案内へ原稿の準備と対応外を追記します。文章とリンクの整理で足りる場合と、サービスを別項目で更新する仕組みや、未完成の原稿でも相談できる入力設定の改修が必要な場合を分けます。

Bämのコーポレートサイト制作の案内には、資料から構成や原稿を整理する作業、更新機能、公開前の表示・フォーム確認が示されています。創業者の言葉を生かしながら、読んだ方が現在の仕事と相談方法を確かめられるページづくりを相談できます。

会社の歩みと今の提供内容を整理したい方は、豊中市のホームページ制作をご検討の際のご案内もご覧ください。創業の話、現在のサービス、相談を受けた後の進め方をもとに、会社紹介と関連ページの制作範囲を具体化できます。

公開前は、初めて会社を知る方の順番で読みます。会社の創業年、相談できる仕事、準備するものが分かるかを確かめ、創業者と受付担当の両方で最終文を確認します。思いの強さを言葉の大きさで示すより、今の仕事へつながる説明を積み重ねていきましょう。

参考資料