採用サイトを作る際、今ある会社案内や企業サイトの原稿を使えれば、準備の負担を減らせます。ただ、会社案内をそのまま移すだけでは、何をしている会社かは分かっても、入社後に自分がどんな仕事をするかまでは伝わらないことがあります。
まず、会社の事実として共通に使う情報、応募者向けに説明し直す情報、追加で聞く情報に分けます。会社概要から作り直す必要はありません。一方、仕事内容や働く条件は、現在の募集に合わせて確かめます。この分け方から、原稿作成・取材・撮影の範囲を決められます。
会社概要は、現在の情報を確認して引き継ぐ
会社名、所在地、設立、事業内容、拠点などは、会社案内と採用サイトで共通に使える情報です。使う前に、資料の発行時期と現在の状態を確認します。住所や代表者が変わっていなくても、従業員数や拠点、事業の範囲が変わっている場合があります。
数字を載せるときは、対象と時点も引き継ぎます。グループ全体の人数を、募集している会社の人数のように載せないことが一例です。会社の規模を伝える数字と、配属予定の部署の人数は、それぞれ別の情報として扱います。
沿革や理念も材料になります。ただし、長い社史をすべて転載するより、現在の仕事や会社の考え方が分かる部分を選びます。事実は共通に保ち、掲載量や読む順番は応募する方に合わせて整理できます。
事業紹介は、働く人の役割が見える説明へ変える
取引先向けの会社案内には、商品やサービスの特徴、品質、対応できる範囲が載っています。採用では、そこに「その仕事のどの部分を、募集する職種が担当するか」を足します。
例えば、設備の点検を行う会社を架空の例にします。会社案内に「施設の設備点検と報告書の作成」とあっても、新しく入る方が最初から一人で訪問するのか、先輩と点検を行うのかは分かりません。点検する場面、担当する作業、社内へ戻って行うことを聞くと、職種紹介へ展開できます。
会社案内の「丁寧な対応」を、そのまま「丁寧に働ける方を募集」に変えるだけでは情報は増えません。顧客へ何を説明する場面があるか、判断に迷ったとき誰へ相談するかを聞きます。事業の強みと、社員が日々行う行動がつながる説明になります。
厚生労働省の「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」は、求職者が求める情報や、提供する際の課題・対応策を整理しています。事業の紹介だけでなく、応募する方の判断に必要な職場の情報を考える際の参考にできます。
追加取材は、会社案内で答えられない疑問から決める
既存の資料を読んだうえで、まだ分からないことを質問にします。社員取材を行うこと自体を目的にせず、仕事内容、仕事の覚え方、働く場面のどこが不足しているかを先に見ます。
先ほどの設備点検会社なら、「入社後、最初に覚える作業は何か」「現場へは誰と行くか」「点検後は何を記録するか」といった質問が考えられます。経験者の採用なら、入社時に任せたい範囲と、社内で新たに覚えることを確かめます。未経験者向けの説明を、すべての募集にそのまま使う必要はありません。
実務を知る社員には具体的な場面を、教育担当には教え方と確認の進め方を聞きます。取材した一人の経験を、全員が同じ経路で成長する制度として書かないことも大切です。本人の経験談と会社としての制度を分け、制度は担当者に確認します。

写真は、使えるかと、伝わるかを別々に確かめる
会社案内用に撮影した外観や設備の写真は、今の状態と合っていれば活用候補になります。元の画像データがあるか、サイトの大きさで表示できる画質か、今回の用途で使えるかを確認します。紙面を切り抜いた画像だけでは、必要な大きさで使いにくいことがあります。
そのうえで、応募する方に何を伝える写真かを考えます。設備の全景は会社の事業を示せても、社員がどの場所で、誰と、どんな作業をしているかを説明するには足りない場合があります。その場面だけを追加撮影の候補にできます。
人物が写る写真や社員紹介は、現在の所属・仕事内容と掲載の了承を確かめます。顧客の現場や資料が写るものも、公開できる範囲を確認します。使える写真を一律に撮り直すのではなく、現状と用途を確かめて、不足する場面を補います。
働く条件は、会社案内から推測せず現在の募集で確認する
会社の営業時間が、そのまま募集職種の勤務時間とは限りません。本社所在地と勤務地が違う場合もあります。給与、勤務時間、休日、勤務地などは、現在の募集要項と照合し、採用担当者が確認した情報を使います。
会社全体の制度を紹介する場合も、対象となる雇用形態や職種などの条件を確認します。「制度がある」という説明と、今回の募集で利用できる条件が食い違わないようにします。採用サイトと求人媒体で異なる条件が残っている場合は、どちらかをそのまま写すのではなく、現在の正しい内容を確かめてそろえます。
見積りには、素材の有無だけでなく使い方を伝える
制作会社へ「会社案内があります」と伝えるだけでは、原稿をほぼ引き継げるのか、素材をもとに取材して書き直すのかが決まりません。例えば「会社概要は確認後に使用、事業紹介は職種向けに編集、点検の仕事と教育は追加取材、現場写真は不足分を撮影」と伝えると、必要な仕事が見えます。
会社案内があることを理由に、原稿作成や確認の作業がすべて不要になるわけではありません。反対に、すべてを新規制作として考える必要もありません。使う情報、編集する情報、新しく用意する情報を分け、確認する担当者も添えて相談します。
Bämの求人・採用サイトでは、今の求人票や面接で聞かれることをもとに、仕事内容、社員、職場、条件、応募の流れを整理します。会社案内も一緒に拝見し、引き継げる事実と、採用向けに取材して補う内容から制作範囲を考えます。