なぜホームページの問題点を確認する必要があるのか
中小企業が運営するホームページは、ビジネスの窓口として非常に重要です。ところが、思うようにアクセスが増えなかったり、問い合わせや購入といった成果につながらなかったりすることも多くあります。こうした状況が続くと、せっかく作成・運用しているホームページが持つ本来の役割を十分に発揮できません。
そこで大切なのが、定期的に問題点を洗い出し、改善していくことです。ホームページの状況を客観的な数値やユーザー視点で把握すれば、効率的かつ的確な改善策を打ち出すことができます。特に初心者や担当になったばかりの方にとっては、何をどの順番でチェックすればよいか分からないケースもあるでしょう。本記事では、具体的な調べ方やチェック手順をわかりやすく解説します。
問題点を調べるための基本ステップ
ホームページの問題点を調べるためには、いくつかの基本ステップがあります。単純にアクセス数が低い、デザインが古いなどの表面的な要因だけでなく、深層的な課題を見つけることが大切です。ここでは初心者からでも始めやすい4つのステップを紹介します。
- 目的の再確認
ホームページを作成した目的は何か、誰に何を伝えたいのかなど、基本の方向性を明確にします。もし目的があいまいであれば、問題点を洗い出す前に目的を定義し直すことが重要です。 - アクセス解析データの確認
アクセス数や直帰率、滞在時間、流入経路など、サイトの状況を数値で把握します。数値の推移をチェックすることで、どこに問題が潜んでいるのかが見えやすくなります。 - ユーザー行動の把握
ホームページ上でユーザーがどのような行動を取っているかを確認します。重要ページを見ずに離脱しているのか、あるいは問い合わせフォームまでたどり着けていないのか。これを知ると、改善の方向性がはっきりします。 - デザイン・コンテンツ・技術面のチェック
ホームページのデザインやレイアウトが古くなっていないか、文章がわかりづらくないか、サイト表示速度に問題がないかなどを総合的に点検します。
以下に、全体の基本ステップをまとめた簡易表を用意しました。
ステップ | 内容 | 目的 |
---|---|---|
1 | 目的の再確認 | サイト改善の基準を明確にする |
2 | アクセス解析データの確認 | 数値から現状把握と問題抽出を行う |
3 | ユーザー行動の把握 | 離脱ポイントや行動パターンを把握する |
4 | デザイン・コンテンツ・技術面 | 視認性・読みやすさ・機能面を最適化する |
このように段階的に進めることで、漠然とした「問題がある」状態から、具体的な「どこにどんな問題があるか」を見極められるようになります。
チェックポイントと具体例
次に、具体的なチェックポイントを見ていきましょう。初心者でも取り組みやすいよう、サイト全体の構造・コンテンツ・デザイン・技術面に分けて解説します。
1. サイト全体の構造
- ページ階層は適切か
情報を探しやすい階層構造になっているか、ユーザーが求める情報に素早くアクセスできるかを確認します。 - リンク切れや表示エラーがないか
リンクが機能せずエラーになると、ユーザーの信頼を損ないます。ツールやCMSの機能を使って定期的にチェックしましょう。 - スマートフォン・タブレット対応
近年、スマートフォンからのアクセスが増えています。レスポンシブデザインになっていないと、機会損失につながりやすいです。
2. コンテンツ
- 内容は最新情報を反映しているか
更新されていない情報や古い実績ばかりでは、信頼性を損ねる場合があります。 - 読者の悩みや疑問に答えているか
サイトを訪れるユーザーの疑問を的確に解決できるような記事やFAQを用意しているかをチェックしてください。 - 分かりやすい文章・構成か
一文が長すぎないか、専門用語ばかりで読みづらくないかを確認し、必要に応じて見出しや箇条書きを使用します。
3. デザイン
- 色使いやレイアウトが見やすいか
色のコントラストや文字の大きさ・行間など、ユーザーの視認性を妨げていないかを意識します。 - 統一感があるか
ページ間でフォントや色、画像のテイストが大きく異なると、サイト全体のブランドイメージが不安定になります。 - 画像サイズや容量
大きな画像を多数使用している場合、読み込み速度に影響し、ユーザー離脱の原因となることがあります。
4. 技術面
- ページ表示速度
ページが表示されるまで数秒かかるようであれば、改善余地があります。キャッシュ設定や画像圧縮などを検討しましょう。 - セキュリティ対策
HTTPS化は当然として、CMSのバージョンアップやプラグインの更新をこまめに行わないと脆弱性が発生しやすくなります。 - 問い合わせフォームの動作
簡易テストをして、想定通りに送信できるか、確認メールが届くか、担当者へ通知されるかをチェックしましょう。
ここまでの項目を一覧にした表を作成します。サイト全体を見渡すために活用してください。
チェックポイント | 具体例 | 重要度 |
---|---|---|
サイト構造 | 階層構造の適切さ、リンク切れ、スマホ対応 | 高 |
コンテンツ | 最新情報の反映度、ユーザーの疑問解決、読みやすさ | 高 |
デザイン | 視認性(文字サイズ、色)、レイアウト統一感、画像容量 | 中 |
技術面 | ページ表示速度、セキュリティ、フォーム動作チェック | 高 |
上記のなかで「技術面」はどうしても専門的になりがちですが、専門家に依頼する前段階としても、まずは自社(自分)で確認できる範囲を整理することが大切です。
問題発見に役立つツールの活用
実際に問題点を調べる際、さまざまなツールを利用することで効率的にデータを収集できます。代表的な機能と特徴を以下の表にまとめました。無料で使えるツールも多くありますので、必要に応じて試してみましょう。
ツール種別 | 主な機能 | 利用のメリット |
---|---|---|
アクセス解析ツール | PV、UU、滞在時間、直帰率、ページ別の閲覧数など | データでユーザー行動や流入経路を把握し、問題点の特定がしやすい |
サイト表示速度測定 | ページ読み込み速度、改善点の提案 | 具体的な遅延要因を確認し、表示速度向上の優先度を判断できる |
ヒートマップツール | マウスの動き、クリック位置、スクロール深度 | ユーザーがよく見る箇所や無視されている箇所を可視化し、改善材料に |
リンクチェックツール | リンク切れ、リダイレクトの確認 | サイト内の不備を一括確認し、修正漏れを防げる |
ツールを活用する際のポイントは、あらかじめ「何を把握したいか」を明確にすることです。たとえば「アクセス数の推移を見て、どのページから離脱しているかを確認したい」「表示速度の遅れがアクセス減の原因かどうかを判断したい」といった目標を定めておくと、ツールの機能を効果的に使えます。
発見した問題点の改善方法
実際に問題点を発見したら、次は改善に着手します。ここからはいくつかの代表的な問題の改善策を紹介します。
1. アクセスが少ない場合
アクセス数が少ない原因は多岐にわたります。検索エンジンの評価が低い、SNSなどからの誘導が足りない、ニーズを満たすコンテンツが不足しているなどが考えられます。改善策としては、検索エンジン対策(サイト構造の見直し、キーワードの最適化)、SNS活用、継続的なブログ更新などが有効です。
2. 直帰率が高い場合
直帰率とは、サイトに訪れたユーザーが最初のページだけを見て離脱する割合です。ユーザーが求める情報とサイトの内容が合っていない、ページの読み込みが遅い、デザインが見づらいなどの理由が考えられます。ページ上部で適切に情報を提示する、読み込み速度を改善する、関連情報へのリンクを配置するなどを試みましょう。
3. 問い合わせが少ない場合
製品・サービスに興味を持ったユーザーが問い合わせフォームに到達しない場合、フォームの導線や必要情報がわかりにくいケースが多いです。フォームまでの誘導ボタンが視認しやすい位置にあるか、必要項目が多すぎて途中離脱していないかなどを確認し、改善が必要ならばフォームの簡易化や案内の強化を検討します。
4. デザインやコンテンツが古い場合
デザインやコンテンツが数年前のままで放置されているサイトは、訪問ユーザーに「更新されていない=信頼性が低い」と感じさせる恐れがあります。最新の事例やニュース、コラムなどを定期的に更新し、デザインはブランドイメージを維持しながらも見やすいレイアウトを追求することが大切です。
5. 技術的なトラブルがある場合
ページ表示速度が遅い、リンク切れが多い、セキュリティ対策が不十分などの技術面の課題は、専門家に相談するほうが確実な場合もあります。ただし、まずは社内で対処可能な範囲を明確にし、対応策を検討しましょう。小さなトラブルを放置していると、後々大きなダメージにつながることもあります。
まとめ
中小企業のホームページにおいてアクセスや問い合わせが伸び悩む原因は、サイト構造やコンテンツ、デザイン、技術面など多岐にわたります。まずは目的を再確認し、アクセス解析やユーザー行動分析を通じて問題点を洗い出すことが重要です。データや実際のユーザーの動きから見えてくる課題をもとに、デザイン面や情報設計、問い合わせフォームの動線などを具体的に改善していきましょう。
問題点を調査し、改善を重ねるプロセスは、一度で完了するわけではありません。定期的にチェックし、ユーザーの反応やアクセス解析データを見ながらアップデートを続けることが、ホームページをビジネスにしっかり貢献させるポイントです。
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