
介護・福祉のホームページで、サービスの説明は載っているのに「電話番号が分からなかった」「文字を大きくしたら読めなくなった」と言われる。そんなときは、文章を増やす前に、今ある案内を読んで操作できるかを確かめます。
文字を拡大しても説明が欠けず、背景から文字を見分けられ、押した後の行動がボタンの言葉で分かることを確認します。書体だけを替えるのではなく、利用する方がサービスを調べ、相談先へ進む場面を一続きで見る方法です。
「見学について調べる」場面を一つ選ぶ
最初からサイト全体を一度に点検するより、ご本人やご家族がよく使う案内を一つ選ぶと、問題を具体的に見つけられます。ここでは、架空の通所サービスのサイトで、見学の案内を読み、電話で相談する場面を考えます。
事業所名、見学で分かること、連絡先までを、自分のスマートフォンで順に見ます。担当者が普段使う大きな画面では気づかない、文字の詰まりや隣り合うボタンの押しにくさがないかを確認します。
読む方の困り方を年齢だけで決める必要はありません。小さい文字を拡大して読む人、片手で操作する人、画面を読み上げて確認する人など、使い方は異なります。実際に寄せられた困りごとがあれば、どのページのどの操作だったかを出発点にします。
文字を大きくした後も、案内を最後まで読めるか
本文が小さい場合は、大きさに加えて、行と行の間、段落の区切り、細すぎる文字になっていないかを見ます。「見学について」と「利用開始までの流れ」を一続きの長文にせず、内容に合った見出しで分けると、探している説明へ戻りやすくなります。
そのうえで、ブラウザの拡大や文字サイズの設定を使って確認します。見出しの末尾が切れる、ボタンの文字が枠からはみ出す、説明に別の部品が重なる場合は、通常の大きさだけでは分からなかった表示の問題です。
W3CのWCAG 2.2では、文字のサイズ変更について、字幕と文字画像を除き、内容や機能を失わずに200%まで拡大できることを達成基準として示しています。制作担当者には、本文だけでなく、ボタン内の文字や受付案内も含めて確認してもらいます。
利用条件や受付時間を画像の中だけに入れている場合は、同じ情報をページの文章としても読める形にします。画像を拡大するだけでは文字が粗くなる場合があり、必要な説明を画像に任せきりにしないことが大切です。
柔らかい配色でも、本文の明暗は確保する
親しみやすい雰囲気にしようとして、淡い背景に薄い灰色の文字を置くと、説明を読み取りにくくなることがあります。背景の色味を生かしながら本文を濃くする、写真の上にある重要な案内を無地の部分へ移す、といった調整から考えられます。
文字と背景の明暗差は、印象だけでなくコントラスト比で確かめます。WCAG 2.2の基準では、通常の文字は原則4.5対1以上、大きな文字は3対1以上とされ、ロゴなどには例外があります。実際の文字サイズや背景を含めた判定は制作担当者へ確認します。
また、「緑色の箇所から申し込めます」だけでは、色を頼りに探す必要があります。「見学について電話で相談」と言葉を付け、ボタンの形や余白でも本文と区別します。文章中のリンクも、色の違いだけでなく下線などで分かる表示を検討します。

ボタンの文字と、実際に押せる範囲を確かめる
「詳しくはこちら」が並ぶと、どれが見学の案内で、どれが電話なのかを判断しにくくなります。説明ページへ移動するなら「見学の流れを見る」、電話へ進むなら「見学について電話で相談」のように、行き先と行動に合う言葉を選びます。
電話の案内には、どの事業所へつながるか、いつ受け付けているかも添えます。番号を読める形で載せれば、別の電話機から連絡したい方にも使えます。掲載する受付時間と番号は、事業所の担当者に確認した内容にします。
見た目が大きな枠でも、実際には文字の部分しか押せない場合があります。ボタンの中央だけでなく端に近いところも試し、隣の「採用情報」を誤って押しそうにならないかを見ます。W3Cの操作対象の大きさに関する解説でも、押せる範囲と隣接する対象との間隔が扱われています。
電話ボタンの確認は、まず正しい番号の発信画面へ進むかを見ます。実際の通話まで試す場合は、業務の妨げにならないよう事業所と日時を合わせます。画面下に固定した電話案内が、本文の最後や別の操作を隠していないかも確認しましょう。

直す場所は、ページと困った場面で伝える
制作担当者へは「高齢者向けにしてほしい」だけでなく、「見学案内を拡大すると受付時間が欠ける」「電話と採用のボタンを押し間違えそうになる」と、対象ページと状況を伝えます。使用した端末と画面の画像があれば、同じ状態を確認しやすくなります。
自動の診断ツールは数値や実装上の問題を探す助けになりますが、ボタンの言葉で行き先が分かるか、説明を読んで相談できるかまで、それだけで判断できるわけではありません。この記事の確認項目だけで、アクセシビリティ基準全体への適合を判定することもできません。
Bämの介護・福祉のホームページ制作では、支援の説明を文章や表に整理し、事業所ごとの相談先へ案内する画面を制作しています。今の案内と実際に困っている場面を共有し、文字・配色・ボタンのどこを直すかから相談できます。
