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制作・技術

ホームページデザインは何から決める?目的・情報・印象の順で整理

目的・情報・印象を表す資料を机上で並べ、ホームページデザインの方針を整理する場面

ホームページのデザインを何から決めるか迷ったら、好きな色や参考サイトを探す前に、目的と最優先の行動、読者が判断するために必要な情報、伝えたい印象、写真・色・書体・余白の順で整理してください。見た目を先に固定すると、載せたい情報が増えた段階でレイアウトを作り直したり、担当者ごとの好みで判断が揺れたりしがちですが、誰に何を伝え、次に何をしてほしいかが定まっていれば、デザイン案を「好きか嫌いか」ではなく、目的に合うかどうかで比べられます。

初めて制作する段階で、完成形を自社だけで決め切る必要はありません。発注者が用意したいのは完成したデザイン案ではなく、制作会社が提案を組み立てるための判断材料――目的から表現までの順序と、迷っている項目を示したメモです。この記事では、その作り方を順にたどりましょう。

ホームページデザインは目的・情報・印象・表現の順で決める

ホームページのデザインは、色や装飾だけを指すものではなく、訪れた人が「自分に関係するサイトだ」と理解し、必要な情報を読み、問い合わせや予約へ進めるように情報の順番と見せ方を整える仕事です。したがって最初に考えるのは「何色にするか」ではありません。問いは一つ――「誰に、何を理解してもらい、次に何をしてほしいか」。

決定の順番は4段階。サイトの目的と最優先行動を定め、読者の判断に必要な情報を洗い出し、伝えたい印象を言葉にした後で、最後に写真、色、書体、余白へ落とし込みます。前の段階が次の選択基準になるため、修正が生じたときも戻る場所を見失いません。

ホームページデザインを、目的と最優先行動、読者と必要情報、伝えたい印象、表現の順に決める工程

たとえば「緑を使いたい」という希望だけで、明るく親しみやすい緑か、深く落ち着いた緑か、どこに使うかまで決められるでしょうか。一方、「初めて相談する人の緊張を和らげたい」「専門性は保ちつつ堅すぎない印象にしたい」と目的と印象が言葉になっていれば、色の明るさ、写真の距離感、余白の取り方まで一貫して検討できます。好みを否定するのではありません。好みが機能する条件を先に作る――ここが順序を守る意味です。

最初に決めるのは、サイトの目的と一番してほしい行動

「会社を知ってもらう」「売上を増やす」といった事業上の目的は大切でも、そのままでは画面設計に使いにくいもの。ホームページ上で訪問者に取ってほしい行動へ置き換えると、必要な情報と強調すべき場所が見えてきます。問い合わせを増やすなら、ボタンを目立たせる前に、対象となる相談、対応範囲、判断材料、相談後の流れがそろっているかを確かめてください。

最優先の行動は、サイト全体で一つに絞るのが基本です。電話とフォーム、資料請求と相談予約など複数の入口を用意する場合も、同じ強さで並べず、最初に選んでほしい入口と補助の入口に分けます。そうすればボタンの色や位置を「目立つか」ではなく、「読者が判断を終えた場所にあるか」で評価できるでしょう。

サイトの主な目的最優先の行動行動前に必要になりやすい情報
新しい相談を受ける問い合わせ・相談予約対象、対応範囲、選ばれる理由、相談の流れ
採用応募を増やす募集要項の確認・応募仕事内容、働く人、条件、選考の流れ
店舗への来店を促す予約・アクセス確認メニュー、価格、場所、営業時間、予約方法

社内で大切にしていることと、初めて見る人が最初に知りたいことは、必ずしも一致しません。企業理念や沿革が重要でも、サービスを探す人が先に確かめるのは「自分の相談に対応できるか」です。目的を決める作業で明らかにしたいのは、情報の取捨選択よりも、読者に示す順番。

読者は属性より「判断の途中にいる人」として捉える

ターゲットを決めるとき、年齢、性別、地域、業種などの属性だけを並べても、デザインの判断材料は十分に増えません。同じ経営者でも、初めてホームページを作る人と古いサイトを作り直したい人では、知りたいことも不安も異なるからです。読者像には「どのような人か」に加え、「何をきっかけに訪れ、何が分からず、何を比較している途中か」まで含めてください。

たとえば初回制作を検討する小規模事業者なら、「参考サイトはあるが、なぜ良いと思うのか説明できない」「原稿や写真がないと相談できないと思っている」「制作会社へ希望をうまく伝えられるか不安」といった状態が想定されます。この人に必要なのは、華やかな完成例の多さではなく、制作の順序、準備が未完成でも進められる範囲、相談時に決めることです。これらが見えれば次の行動を判断しやすくなるため、実務では次の4点を一枚に書き出しておきましょう。

  • どのようなきっかけでページへ来るか
  • すでに知っていることと、まだ分からないことは何か
  • 行動を止めている不安や比較条件は何か
  • 読了後または閲覧後に、どの行動へ進めればよいか

属性は写真の人物像や言葉の難しさを調整するときに役立ち、判断の途中にいる状態は見出しの順番、説明の深さ、ボタンの位置を決める手がかりになります。デザインへ直結しやすいのは後者。両者を混同しなければ、誰向けかだけでなく、何をどの順に見せるかまで決められます。

必要情報を並べ、ページと画面の優先順位を作る

目的と読者が決まったら、いきなりトップページのレイアウトを描くのではなく、読者が判断に使う情報を、自社が伝えたい内容、読者が確かめたい内容、行動に必要な条件の三方向から洗い出します。営業担当への質問、問い合わせ前によく聞かれること、見積もり時に説明していることも候補に加えてください。

集めた情報は、「最初に理解してもらう情報」「比較や判断を助ける情報」「行動に必要な情報」の三層に分けます。トップページは全情報を詳しく載せる場所ではなく、サイト全体の案内役。概要を示し、サービス詳細、事例、会社情報、問い合わせ方法などの下層ページへつなげば、画面を詰め込まずに必要な情報量を確保できます。

トップページの情報を、最初に伝える内容、判断を助ける内容、行動につなぐ内容へ分けた図

第一層で示すのは、何を提供する会社か、誰のどのような課題に対応するか。第二層には、サービスの違い、選ばれる理由、進め方、実績や事例などの比較材料を置きます。第三層は、問い合わせ、予約、購入などの行動と、その前に必要な条件です。この三層は固定のデザインパターンではなく、読者の理解を進める順序なので、ページ分けにも応用できます。

一つのページで答える疑問を一つのまとまりにし、説明が長い内容や検索から直接読まれる内容は独立させる一方、情報量の少ない項目は関連する内容へまとめます。サイトマップをページ数の表ではなく、読者の疑問をどこで解決するかを割り当てる地図と捉えてみてください。

画面内の優先順位は、サイズや色だけでは作れません。上から読む順番、見出しの具体性、文章の長さ、写真と説明の近さ、余白による区切りが一緒に働くからです。すべてを大きく、濃く、目立たせれば優先順位は消えてしまう――「強調しない要素」を決めることもデザインの一部。

伝えたい印象を、デザインに使える言葉へ変換する

必要情報の骨格ができたら、ようやく「どのように感じてほしいか」を言葉にします。ただし「信頼感」「親しみやすさ」「高級感」だけでは受け取り方が分かれるため、場面と対比が欠かせません。たとえば「親しみやすいが子どもっぽくしない」「専門的だが、相談前の人を突き放さない」という組み合わせなら、目指す方向と避けたい方向を同時に共有できるでしょう。

印象を具体化するときは、次の問いを使ってみてください。

抽象的な希望具体化する問い表現へつながる判断例
親しみやすい誰が、どの場面で緊張せず読める状態か自然な人物写真、やわらかな余白、話し言葉に近い見出し
専門性がある何を見て任せられると判断してほしいか手順や根拠を見せる、情報を整列させる、装飾を絞る
上質に見せたい豪華さより何を丁寧に見せたいか写真の質をそろえる、色数を抑える、余白を広く取る

参考サイトは完成イメージをコピーする見本ではなく、印象の言葉を共有する材料です。「このサイトが好き」で終わらせず、「写真が大きく、説明が短いのでサービスを直感的に理解できる」「色数が少なく、落ち着いて見える」「動きが多く、自社には少し華やかすぎる」のように理由を分けてください。一つのサイトを丸ごと正解にせず、写真、情報量、余白、見出し、動きのうち参考にする部分を限定すれば、提案の幅も保てます。

複数人で確認する場合、各自が選んだ参考サイトを多数決で決める必要はありません。まず目的と読者に照らして必要な要素を話し合い、好みの違いは判断基準の違いとして扱ってください。意見の背景まで共有されれば、制作会社も提案へ反映しやすくなるでしょう。

写真・色・書体・余白は、前の判断に合わせて選ぶ

見た目の要素へ進むときは、写真から検討すると全体の方向を決めやすくなります。写真は色よりも具体的に、誰が何をしている会社か、商品や空間がどのような質感かを伝えるもの。実際の人、仕事の場面、商品、設備を見せるのか、抽象的なイラストで仕組みを説明するのかによって、必要な撮影や素材準備も変わります。

写真選びで確認したいのは、きれいさだけでなく「本文のどの説明を補うか」です。トップの大きな写真は第一印象を作りますが、事業との関係が分からない雰囲気写真では、読者に内容を推測させてしまいます。働く人なら視線や距離感、商品なら大きさや使用場面、サービスなら相談や作業の関係が読み取れる構図を選び、複数の写真では明るさ、色温度、背景の密度をそろえてください。これだけでも、ページ全体の印象はまとまりやすくなるはずです。

色は「青なら信頼、赤なら情熱」と一語で決めるのではなく、背景、本文、見出し、ボタン、注意表示へ役割を割り当てます。強調色を使う場所が増えれば、どこも目立たなくなるためです。ブランドカラーが明るく本文に使いにくい場合は、濃い文字色と組み合わせ、面や線、ボタンへ用途を限定するとよいでしょう。

読みやすさには好みとは別の確認軸があり、WCAG 2.2の達成基準1.4.3は、通常の文字と背景のコントラスト比を少なくとも4.5対1、大きな文字を3対1としています。数値だけで良いデザインが決まるわけではないものの、薄い文字や淡いボタンを採用するときの最低限の基準にはなるため、配色案をパレット画像だけで判断せず、実際の見出し、本文、ボタンに当てて確かめてください。Understanding Success Criterion 1.4.3: Contrast (Minimum)|W3C

書体は、企業らしさを示す役割と、長い文章を読みやすくする役割を分けて考えます。見出しに特徴のある書体を使う場合も本文は読み慣れた書体にし、基本の書体、見出しの太さ、本文の大きさ、行間をルール化すれば、公開後の追加ページにも展開しやすくなるでしょう。

余白は空いた場所ではなく、関係を示す要素です。同じ話題を近づけ、別の話題は間隔を広げると、線や枠を増やさなくても構造が伝わります。情報量が多いサイトほど、すべてを小さく詰めるのではなく、内容をページへ分けて一つひとつのまとまりに呼吸を与えてください。

デザイン案は「好き嫌い」より目的との一致で確認する

制作会社からデザイン案が届くと、最初に色や写真へ目が向きがちです。しかし、確認も見た目から始めると、細部を直した後で「必要な情報が足りない」「問い合わせまでの流れが分かりにくい」と気づきかねません。最初に見るのは、目的、読者、情報の優先順位が画面に反映されているか。その後で、印象と表現の細部へ進みます。

一回目は、初めて訪れた人のつもりで上から読み、何の会社か、誰向けか、何が違うか、次にどこを見ればよいかを確かめます。二回目は伝えたい印象と避けたい印象に照らし、写真、余白、動き、色の強さを確認。三回目で文言や写真の差し替え、細かな間隔を詰めれば、修正の理由もぶれません。

フィードバックで伝えるのは、「もっとおしゃれに」「何となく弱い」ではなく、見た人に起きてほしい変化。たとえば「サービス内容を理解した後に、相談方法へ迷わず進めるようにしたい」と目的を添えると、単にボタンを大きくする修正に寄らず、配置や説明まで検討しやすくなります。「写真が合わない」と感じたときも、「実際の仕事が見えず、初めての人が対応内容を想像しにくい」と背景まで示してください。

スマートフォン表示は、PC版を小さくした見本ではなく、別の閲覧条件です。見出しが折り返されたときに意味が切れないか、写真の主役が見えるか、ボタンの前に判断材料があるか、固定要素が本文を隠さないかを、実機または実際の画面幅で読みながら確認しましょう。スクロールの途中でも情報のまとまりが崩れていないか――最後まで見るべき点です。

制作会社へは完成案ではなく、判断材料を渡す

相談前に用意したいのは、色指定や手描きの完成レイアウトではありません。目的、読者、必要情報、最優先行動、伝えたい印象、使える素材を一枚にまとめ、決まっていない項目には「相談したい理由」を添えてください。決定済みと未決定が分かれていれば、制作会社は守る条件と提案できる範囲を判断できます。

制作会社へ渡す決定事項と、提案を求める相談事項を分けた比較図

判断材料のメモには、次の内容があれば十分。

  • サイトで達成したいことと、訪問者に最優先でしてほしい行動
  • 主な読者が訪れるきっかけ、知りたいこと、不安
  • 最初に必要なページと、公開後に追加してよい内容
  • 伝えたい印象と、避けたい印象
  • 使用できるロゴ、写真、文章、パンフレットなどの素材
  • 参考サイトごとの「参考にしたい部分」と「自社には合わない部分」
  • 社内の確認者、最終判断者、公開後に更新する担当

すべてを埋める必要はありません。「写真がないので撮影と素材選びを相談したい」「落ち着いた印象にしたいが、同業他社と似すぎない方法を提案してほしい」のように迷いの場所が見えていれば、相談の入口になります。反対に、理由のない色指定や参考サイトの全面的な再現を最初から固定すると、読者と情報に合う提案の余地は狭まるでしょう。

Bäm(バム)の公式ページでも、色やレイアウトより先に事業の内容を聞き、最初に載せる情報、初めての人が読みやすい順番、公開後の更新まで考える流れを示しています。原稿や写真が決まっていなくても、分かっていることから次の判断を一緒に整理する方針です。完成案を作ってからでなければ相談できない、ということではありません。Bämについて | 相談から始めるホームページ制作|株式会社みやあじよ

迷ったときは、見た目を決める前の順番へ戻る

ホームページデザインで意見が割れたら、新しい参考サイトを探し続ける前に、どの段階の判断が不足しているかを確かめてください。目的と最優先行動が曖昧なら情報の強弱を決められず、必要情報が整理されていなければレイアウトが詰まり、印象の言葉が抽象的なら色や写真の評価が好みに戻ります。修正点を増やすより、判断の土台へ戻るほうが近道。

まず一枚の紙に、目的、主な読者、必要情報、最優先行動、伝えたい印象、使える素材を書き出しましょう。決まらない項目には空欄だけを残さず、迷っている点を一言添えておけば、その一枚をもとに、制作会社との打ち合わせでも見た目の話だけに偏らず、ホームページ全体の役割からデザインを決められます。

参考資料