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制作・技術

ホームページ制作のRFPに何を書く?提案を比較できる依頼書の作り方

同じ条件資料を基準に複数のホームページ制作提案を机上で比較するイメージ

複数の制作会社へホームページ制作を依頼するとき、各社へ同じタイトルの資料を送っただけでは、提案条件がそろうとは限りません。一社は文章作成まで含め、別の会社は完成原稿の支給を前提にする。公開後の更新も、月々の保守に含む会社と別契約にする会社があります。前提が違うままでは、提案書も見積書も横に並べて比べられません。

RFP(Request for Proposal、提案依頼書)に書くのは、完成した仕様ではなく、各社に同じ条件で考えてもらうための出発点です。最低限そろえたいのは、背景・目的・現状課題、対象、予算、希望時期、社内体制、必須条件、提案してほしいこと、提出物と期限、評価軸です。まだ決められない項目は空欄にせず、「未定」「この点を提案してほしい」と役割を明記します。

大切なのは、全社から同じ答えを集めることではありません。同じ問いと制約を渡したうえで、解決方法の違いが見えるようにすることです。ここからは、小規模なチームでも作りやすく、提案を受け取ったあとに比較へつなげやすいRFPの組み立て方を説明します。

RFPの役割は、仕様を決め切ることではなく「同じ問い」を渡すこと

ホームページ制作の相談では、「何ページ必要か」「どの機能を付けるか」を先に決めなければならないと思いがちです。しかし、ページ構成や機能の選び方そのものを制作会社に提案してほしい場合、発注側がすべて固定すると、提案の余地を消してしまいます。反対に、「いい感じにお願いします」だけでは、制作会社ごとに想定する範囲が広がり、価格差の理由が分からなくなります。

そこでRFPでは、事実・制約・問いを分けます。事実は「なぜ作るのか」「今どこで困っているか」。制約は「この日までに必要」「既存ドメインを使う」「社内で更新したい」など、提案に影響する前提です。問いは「対象へ伝わるページ構成を提案してほしい」「公開後の更新方法を複数案で示してほしい」といった、制作会社の考えを見たい部分です。この三つを混ぜないだけで、提案書の読み方が変わります。

RFPと要件定義は、使う時点と決める細かさが違う

RFPと要件定義は似ていますが、同じ資料ではありません。RFPは、候補会社へ目的や条件を伝え、どのような進め方を提案するかを比較する段階で使います。一方、要件定義は、選んだ制作会社と一緒に利用者のニーズや課題を掘り下げ、必要な機能・情報・運用方法などを合意していく工程です。IPAの解説でも、要件定義は企画のあと、基本設計の前に位置し、利用者の要求を抽出して関係者と合意する工程と整理されています。

実際のホームページ制作では、RFPの時点で一部の要件が決まっていることもあれば、提案後の打ち合わせで初めて決めることもあります。境界を厳密に分けるより、「この資料で発注先を比較したいのか」「契約後の制作条件を確定したいのか」を明確にしてください。比較用のRFPに詳細な画面仕様まで詰め込むと、発注側の仮説が正解である前提になり、別の解決案が出にくくなります。

RFPの中身は、次の三つの領域に分けると整理しやすくなります。

ホームページ制作のRFPを、決定事項・必須条件・提案希望に分け、提出形式と評価軸をそろえる図

RFPでは、決まっていること、譲れないこと、提案してほしいことを分け、最後に提出形式と評価軸をそろえます。

「決まっていること」と「譲れないこと」は似ていますが、役割が違います。たとえば、現在の問い合わせ方法は事実です。その方法を必ず残すなら必須条件ですが、もっと使いやすい方法を提案してよいなら提案希望です。同じ項目でも、発注側がどこまで固定するかによって書く場所が変わります。

最初の1ページには、会社紹介より先に背景・目的・現状課題を書く

RFPの冒頭で制作会社が知りたいのは、立派な沿革ではなく、「なぜ今このプロジェクトが必要なのか」です。会社・事業の説明は、提案に必要な範囲へ絞ります。誰へ何を提供している事業か、問い合わせや採用などホームページがどの業務に関わるかが分かれば、詳細な会社案内は別資料でも構いません。

背景は、プロジェクトが始まったきっかけを時系列で書く

背景には、ホームページを作ることになった経緯を書きます。「古くなったから」だけで終わらせず、古さがどの業務に影響しているかまでつなげます。たとえば、「サービスが増えたが、既存サイトでは違いを説明できていない」「営業担当が毎回同じ説明資料をメールで送っている」「採用情報が部署ごとに分散し、応募者が仕事内容をつかみにくい」といった状況です。原因を断定できない場合は、観察している事実と担当者が感じている問題を分けて書きます。

ここでの目的は、制作会社に原因分析を先回りしてもらうための材料を出すことです。「問い合わせが少ないのはデザインが古いから」と決めつけるより、「問い合わせが少ない。サービスページの閲覧後に何が起きているかは把握できていない」と書く方が、アクセス計測、情報設計、問い合わせ方法など複数の観点から提案を受けられます。

目的は「サイトを作る」ではなく、公開後に変えたい状態を書く

「ホームページをリニューアルする」「スマートフォン対応にする」は手段です。目的には、公開後に誰の何が変わってほしいかを書きます。数値目標がある場合はその根拠と計測方法も添えますが、根拠のない目標を作る必要はありません。「初めて知った担当者が、サービスの対象と相談方法を理解できる」「営業担当が個別説明する前に、基本条件をサイトで共有できる」「採用候補者が仕事内容と選考の流れを確認できる」といった状態でも、提案の方向は十分に定まります。

目的が複数あるときは、優先順位を付けます。問い合わせ、採用、既存顧客への案内、社内更新のしやすさをすべて同じ重さで並べると、制作会社はどこへ予算や時間を集中すべきか判断できません。「第一目的」「同時に改善したいこと」「今回は対象外」を分けると、提案の範囲が見えます。対象外は、将来行わないという意味ではなく、今回の見積もりから外す境界です。

背景・目的・課題の書き分け例

  • 背景:事業内容が増え、営業資料とホームページの説明が一致しなくなっている。
  • 現状課題:初めて見る人がサービスの違いを判断しにくく、問い合わせ前の説明負担も大きい。
  • 第一目的:対象とする相談内容、各サービスの違い、相談までの流れをWeb上で理解できる状態にする。
  • 今回は対象外:会員向け機能の開発は別プロジェクトとして扱う。

対象読者・必要ページ・素材は、確定事項ではなく仮説として置ける

RFPに対象読者を書く理由は、細かな人物像を作るためではありません。どの状況にいる人へ、何を理解してもらい、次にどの行動へ進んでほしいかを共有するためです。「30代の会社員」のような属性だけでは、必要な情報は決まりません。「初めて外注先を探しており、社内説明のために対応範囲と進め方を確認したい担当者」のように、閲覧のきっかけと判断内容まで書くと、ページの役割を考えやすくなります。

対象が複数いる場合も、全員分の人物像を作る必要はありません。主な対象、重要だが利用場面が異なる対象、優先しない対象を分けます。法人向けサービスなら、情報収集をする担当者と最終決裁者が別の場合があります。担当者には比較しやすい情報、決裁者には事業上の必要性や契約条件が必要かもしれません。この違いを伝えるだけでも、制作会社は導線とコンテンツの役割を提案できます。

ページ一覧は「現時点の想定」と「提案してほしい範囲」を分ける

ページ数を先に固定すると、各社の見積もりはそろいやすく見えます。ただし、同じ10ページでも、1ページに載せる情報量や文章作成の範囲は異なります。RFPでは、必要だと考えている情報を列挙し、そのまとまり方は提案対象にできます。たとえば「会社情報、サービス3種類、導入までの流れ、よくある質問、問い合わせ方法は必要。ページの分け方と優先順位は提案してほしい」と書けば、必要情報を落とさずに構成力を比較できます。

既存サイトがある場合は、残したいページ、統合してよいページ、削除候補、URLを維持したいページを分けます。検索流入や外部リンクがあるページを一律に消すと影響が出るため、判断に必要なアクセスデータやSearch Consoleの閲覧可否も伝えます。ただし、RFPの段階で削除・維持をすべて確定できないなら、「現状調査のうえ移行方針を提案」とします。

素材は、有無だけでなく「誰がいつ用意するか」まで書く

ロゴ、写真、原稿、会社案内、商品資料、動画、既存サイトのデータなど、使えそうな素材を一覧にします。素材があることと、そのまま公開に使えることは別です。写真の利用許可が確認できているか、原稿が最新か、元データがあるか、社内の誰が確認できるかを書きます。撮影や文章作成を提案してほしい場合は、制作範囲へ含めるのか、別案として出してほしいのかも明記します。

素材準備はスケジュールを左右します。「原稿は自社で用意」とだけ書くと、制作会社は完成原稿が決まった日に届く前提で工程を組むかもしれません。実際には、担当者が取材メモを出し、制作会社がたたき台を作り、決裁者が確認する進め方もあります。自社でできる作業、支援してほしい作業、まだ決めていない作業に分けると、見積もりの差が説明しやすくなります。

予算・希望時期・社内体制は、提案の前提として早めに伝える

予算とスケジュールを後まで伏せると、制作会社は想定規模を決められません。同じ目的でも、最小限の公開を優先する案、文章や撮影まで含める案、公開後の改善まで含める案では、必要な費用と期間が変わります。金額を確定できない場合も、「社内で検討できる上限」「想定している幅」「初期費用と継続費を分けて提示してほしい」など、判断可能な情報を出します。

予算未定のまま提案を受けたいなら、白紙にするのではなく、比較方法を指定します。たとえば「目的を満たす最小構成と、効果を高める推奨構成の二案」「優先項目を残し、追加項目をオプション表示」「初期制作、外部サービス、公開後運用を分ける」と依頼します。これなら、各社が違う規模を提案しても、どこが増減したかを追えます。

希望時期は、日付だけでなく理由と柔軟性を書きます。新サービス開始、採用活動、展示会、既存契約の終了など外せない事情があるなら「必須」。社内希望であり調整できるなら「目標」とします。公開日だけでなく、内容確定、撮影、社内確認、テスト、移行に使える期間も提案してもらいます。「できるだけ早く」では、品質・範囲・費用のどれを優先するかが分かりません。

社内体制は、制作会社へ渡せる時間を見積もる情報になる

ホームページ制作は、発注後も社内確認が続きます。RFPには、窓口、内容を決める人、最終承認者、原稿や写真を集める人、ドメイン・サーバーを確認できる人を書きます。一人が兼任していても構いません。重要なのは、誰がどの判断をし、通常どれくらいで確認できるかです。会議が月1回しかない、複数部署の承認が必要、繁忙期は確認が止まりやすいなどの事情は、制作工程に反映してもらいます。

項目 RFPに書く内容 まだ決まっていないとき
予算上限、想定幅、初期費用と継続費の扱い最小構成・推奨構成・オプションを分けて提案依頼
希望時期公開希望日、その理由、必須か目標か条件別の現実的な工程を提案依頼
社内体制窓口、決裁者、素材担当、技術確認者必要な役割と確認頻度を提案依頼
素材既存資料、利用可否、更新状況、担当者制作会社が支援する範囲を別途提示依頼
公開後自社更新したい範囲、保守・改善の希望運用負担が異なる複数案を提案依頼

必須条件と「提案してほしいこと」を同じ一覧に混ぜない

RFPで最も比較しやすさを左右するのが、必須条件と提案希望の分離です。すべてを必須にすると、制作会社は指定どおり実装する見積もりを作るだけになります。すべてを提案任せにすると、前提がそろいません。「守らなければ候補にならない条件」と「考え方の違いを見たい問い」を別の章にします。

必須条件には、手段ではなく必要な結果を書けないか検討する

必須条件になりやすいのは、既存ドメインの利用、法令や社内規程への対応、指定された公開期限、利用中システムとの連携、社内更新の必要性、情報管理上の制約などです。ただし、特定のCMS名やプラグイン名を指定する前に、それが本当に外せない理由を確認します。「担当者が専門知識なしでお知らせを更新できること」が必要なのか、「現在のCMSを必ず継続すること」が必要なのかでは、提案の幅が変わります。

必須条件には確認方法も添えます。「スマートフォン対応」とだけ書くより、「主要な閲覧環境を提案書で示し、公開前に実機または検証環境で確認する」とした方が、作業範囲が見えます。「セキュリティに配慮」ではなく、扱う個人情報、管理画面の利用者、バックアップや更新の担当を示し、必要な対策を提案してもらいます。専門的な方式が分からないときは、目的と制約までを書けば十分です。

提案希望は、答えてほしい問いと判断材料をセットにする

「自由に提案してください」では、何を評価するかが曖昧です。提案してほしい項目には、問い、背景、回答に含めてほしい内容を書きます。たとえば「初めて見る人が三つのサービスを比較できるページ構成を提案してください。各ページの役割、必要な素材、制作後に自社で更新できる範囲も示してください」とします。これなら、ページ数だけでなく、提案の理由と運用負担を比較できます。

  • 情報設計:対象が迷わず必要情報へ進むために、どのページ・順序が必要か。
  • コンテンツ制作:ヒアリング、構成、原稿、写真を誰がどこまで担当するか。
  • デザイン:事業の印象と読みやすさをどう両立し、どの段階で確認するか。
  • 機能:目的に対して必要な機能、外部サービス、将来の拡張をどう選ぶか。
  • 移行:既存ページ、URL、画像、計測設定をどう調査し、何を引き継ぐか。
  • 公開後:更新、保守、改善、問い合わせ時の担当をどのように分けるか。

参考サイトを挙げる場合も、「この見た目にする」と指定するのではなく、参考にした理由を書きます。「サービスの違いを一画面で理解しやすい」「問い合わせ前の不安を順番に解消している」「写真の使い方が自社の雰囲気に近い」などです。同時に避けたい印象も伝えます。制作会社は、表面をまねるのではなく、参考にした評価軸を自社の目的へ置き換えやすくなります。

提出物・質疑・期限・評価軸までそろえると、比較が実務になる

RFP本体が同じでも、A社は企画書と詳細見積、B社は数枚の概要、C社は口頭説明だけという状態では、社内比較が難しくなります。提案の中身を同じにする必要はありませんが、最低限含めてほしい項目と提出方法をそろえます。制作会社の表現力を見たい部分まで型にはめず、「どこに何が書かれているか分かる」程度の共通枠を作ります。

提案書と見積書に含めてほしい項目を指定する

  • RFPに記載した背景・目的・課題を、どのように理解したか。
  • 提案するサイト構成、進め方、主要な機能と、その理由。
  • 発注側と制作会社の担当範囲。原稿、写真、データ移行、設定作業の分担。
  • 初期費用、継続費、外部サービス費、オプション、見積もりの前提と対象外。
  • 契約後の要件整理から公開までの工程、確認回数、双方の作業時期。
  • 制作体制、主な担当者、連絡方法、公開後に相談できる範囲。
  • RFPだけでは判断できず、契約前または契約後に確認が必要な事項。

見積書には、総額だけでなく前提条件を記載してもらいます。たとえば、想定ページ数、原稿の状態、撮影の有無、データ移行件数、外部サービス契約、修正範囲、公開後対応です。同じ名称の作業でも含まれる内容は会社ごとに違うため、「一式」を禁止するより、その一式が何を前提にしているかを説明してもらう方が実務的です。

質問の受付方法と、回答を全社へ共有するルールを決める

RFPを読んだ制作会社から質問が出るのは、資料の失敗ではありません。むしろ、提案の前提を確かめるために必要です。質問期限、送付先、回答予定日を決めます。ある会社からの質問によって条件が明確になった場合は、会社名を伏せて他の候補にも同じ回答を共有します。途中で一社だけへ追加情報を渡すと、同じRFPを使っていても提案の出発点が変わります。

面談やプレゼンテーションを行うなら、持ち時間、参加者、説明してほしいテーマ、質疑時間もそろえます。デザイン案の提出を求める場合は、その案だけで完成品質を判断しないよう注意が必要です。短期間の案は、調査や要件整理前の仮説です。目的理解、考え方、条件の説明、制作後の進め方と合わせて見ます。

評価軸は、価格以外を先に言葉にする

評価軸は、制作会社に採点表を公開するためだけのものではありません。社内で「何をもって良い提案とするか」をそろえるために作ります。価格、目的理解、提案の妥当性、実現可能性、担当範囲の明確さ、進行体制、公開後の運用、コミュニケーションなどから、今回重要なものを選びます。数値配点を付けなくても、優先順位と確認する質問が決まっていれば機能します。

評価する観点 提案書で確認すること 面談で確かめる質問
目的理解課題を言い換えただけでなく、提案へ反映しているかこの提案で最初に改善する点は何か
提案の理由ページ・機能・進め方を選んだ理由があるか別案を採らなかった理由は何か
範囲の明確さ自社作業、制作会社作業、対象外が分かるか追加費用になりやすい条件は何か
実行可能性工程と体制が自社の確認速度に合うか遅れやすい工程をどう管理するか
公開後の運用更新・保守・改善の担当と費用が分かるか自社で更新できる範囲はどこか
費用同じ前提で初期・継続・外部費用を比較できるか価格が変わる条件は何か

評価軸を作るときは、会社規模や実績件数だけで自動的に順位を決めないようにします。近い課題の経験があるか、説明が具体的か、担当者がプロジェクトの条件を理解しているかを見ます。実績を確認する場合は、見た目だけでなく、どの課題に対して何を担当したかを質問します。

小さなチーム向けRFPは、10項目のひな型から始めればよい

RFPはページ数が多いほど良いわけではありません。小規模なプロジェクトなら、次の10項目を数ページにまとめ、別資料を添付する形から始められます。書けない欄があっても削除せず、「未定」「調査して提案」「契約後に決定」のどれかを記します。未定の種類が分かれば、制作会社は調査や打ち合わせの工数を見積もれます。

  1. プロジェクト概要:新規制作かリニューアルか、対象サイト、依頼の目的を一文で記載。
  2. 事業と背景:誰へ何を提供する事業か、今回の相談が始まった経緯。
  3. 現状課題と目的:観察している問題、公開後に変えたい状態、優先順位。
  4. 対象と行動:主な閲覧者、閲覧のきっかけ、理解してほしいこと、次の行動。
  5. 現状資産:既存サイト、ドメイン、サーバー、CMS、計測、原稿、写真、ロゴ、資料。
  6. 想定範囲:必要な情報・ページ・機能の仮置きと、今回の対象外。
  7. 必須条件:期限、利用環境、連携、社内規程、更新方法など、外せない条件。
  8. 提案依頼:構成、コンテンツ、デザイン、機能、移行、公開後について答えてほしい問い。
  9. 予算・時期・体制:予算の考え方、希望日と理由、社内の役割、確認可能な頻度。
  10. 提出・選定:提出物、形式、質問期限、提案期限、面談、評価軸、結果連絡の予定。

そのまま使える、記述式のミニサンプル

RFP記入例(架空の法人向けサービス会社)

  • 背景:サービス追加後も既存サイトの構成を変えておらず、営業資料とWebの説明が一致していない。問い合わせ前に同じ質問を受けることが多い。
  • 目的:初めて見る担当者が、サービスの対象、違い、相談までの流れを理解できる状態にする。営業担当が補足説明に使えるページも整える。
  • 対象:初めて外注先を探す担当者。社内決裁用に対応範囲と進め方を確認したい人。
  • 必要情報:会社概要、サービスの違い、対応範囲、開始までの流れ、よくある質問、問い合わせ方法。ページの分け方は提案希望。
  • 必須条件:既存ドメインを継続し、社内担当者がお知らせを更新できること。公開希望日は新サービス案内の開始前。具体的な移行工程を提示してほしい。
  • 提案希望:サービスを比較しやすい情報設計、原稿作成の分担、既存ページの移行方針、公開後の更新方法を、理由と費用区分付きで提案してほしい。
  • 予算:社内上限の範囲で、最小構成と推奨構成を分ける。初期費用、継続費、外部サービス費を区分する。
  • 提出:提案書、見積書、工程、体制、前提条件、対象外を指定日までに提出。質問への回答は候補会社へ共通共有する。
  • 評価:目的理解、提案理由、範囲の明確さ、社内体制との相性、公開後の運用、費用の順で確認する。

このサンプルでは、ページ数や使用ツールを細かく指定していません。一方で、必要な情報、守りたい運用条件、比較したい提案内容は明確です。制作会社は、同じ目的と制約を前提に、ページ構成や制作方法の違いを出せます。発注側は、提案の差が「条件の読み違い」なのか「考え方の違い」なのかを判断しやすくなります。

送付前は、社内のずれと「曖昧なままにする項目」を確認する

RFPを送る前に、文章をきれいに整えるより先に、社内の認識差を確認します。担当者は問い合わせを増やしたいが、決裁者は採用を優先したい。広報は写真撮影を希望しているが、現場は撮影時間を取れない。公開希望日は決まっているが、原稿を確認する会議は月に一度しかない。このようなずれが残ったままだと、提案を受けた後に評価基準が変わります。

  • 第一目的と今回の対象外を、最終承認者も同じ言葉で説明できるか。
  • 必須条件に、単なる好みや理由のないツール指定が混ざっていないか。
  • 未定項目は、提案で決めたいのか、契約後に調査して決めたいのか。
  • 公開希望日までに、原稿・写真・確認・移行へ使える時間があるか。
  • 候補会社へ同じ版のRFPと、同じ追加回答を渡す運用になっているか。

未定項目を無理に決める必要はありません。ただし、「未定だから制作会社に任せる」と「複数案を比較して決める」は違います。提案してほしいなら、何を判断材料にするかを書きます。契約後に調査して決めるなら、その調査が見積もりに含まれるかを確認します。曖昧さを消すのではなく、曖昧さの扱い方を決めるのがRFPです。

RFPを送った後は、提案書と見積書に書かれた範囲を読み替える段階へ移ります。総額だけでなく、「含む・別途・未確認」をそろえて比較する方法は、ホームページ制作の相見積もり、何をそろえて比べる?で詳しく説明しています。今回のRFPは依頼前の条件整理、関連記事は受け取った提案・見積もりの比較という使い分けです。

ホームページ制作のRFPは、完成仕様書ではありません。背景と目的、現在分かっていること、譲れない条件、制作会社へ考えてほしいことを分け、提出形式と評価軸まで同じにする資料です。すべてを決めてから相談するのではなく、決めたことと決めていないことを同じ条件で伝える。その状態ができれば、金額だけでは見えなかった提案の理由と、自社に合う進め方を比較できます。