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事例集をカテゴリー分けしターゲット別に見せやすくする方法

はじめに
自社の実績や導入事例をまとめた「事例集」は、見込み客や新たな取引先にとって強力な情報源です。しかし、ひと口に「事例集」と言っても、業種や取り扱い商品・サービスが増えるほど、掲載数は膨大になりがちです。雑多に並べただけでは、ユーザーにとってどこから見ればいいか分からず、興味をそそられない可能性があります。
そこで重要になるのが、事例をどのようにカテゴリー分けしていくかという点です。加えてタグを活用し、多角的な切り口で複数の事例へスムーズにアクセスできるよう整備することで、「自分にも当てはまるかも」「この企業に依頼すれば同じような成果が得られそうだ」と感じてもらいやすくなります。本記事では、事例集のカテゴリー分けとターゲットへの見せ方について、具体的な方法を解説していきます。
事例集をカテゴリー分けする意義
はじめに、なぜ事例集をカテゴリー分けする必要があるのかを確認します。
- ユーザビリティ向上
カテゴリー分けをしないと、ただ情報を並べただけの「情報の山」になってしまいがちです。ユーザーが「自分と近い事例はどこにあるのだろう」「自社に役立ちそうな業種の事例はどれだろう」と感じても、適切に探すことができないと、離脱につながる可能性があります。整理されたカテゴリーがあれば、興味・関心の高い事例へ迷うことなく進んでもらいやすくなります。 - サイトの信頼感向上
カテゴリーが整然としていると、閲覧者にとって「この会社はきちんと情報をまとめている」という印象を与えます。とりわけ、事例紹介は信頼獲得のための重要なコンテンツです。信頼を得るためには、閲覧しやすく分かりやすい構成が不可欠です。 - ターゲット別提案のしやすさ
業種や用途、企業規模、課題などでカテゴリーを分ければ、閲覧者自身の立場や課題を想定した具体例を即座に確認できます。その結果、「この事例なら自社に近い」「似たような課題を抱えていた事例がある」などの共感が生まれやすくなり、問い合わせや商談の可能性が高まるメリットがあります。
カテゴリー分けの具体的手順
カテゴリー分けする際に、どのようなステップで進めればよいかを具体的に解説します。
1. 現在ある事例の棚卸し
まずは自社サイトに掲載している事例をリストアップし、内容を把握します。どんな特徴があるのか、主な業種は何か、どのような課題解決を行ったのかなど、一つひとつの事例が持つ要素を洗い出してみましょう。
2. カテゴリーを定義する切り口の検討
棚卸しを行ったら、どの切り口がユーザーにとって意味があるかを考えます。典型的には以下のような切り口が考えられます。
- 業種別:製造、飲食、小売、ITなど
- 課題・ニーズ別:売上拡大、集客強化、新商品・サービス導入など
- サービス・製品カテゴリー別:コンサルティング、広告運用、商品A・商品Bなど
- 導入の成果別:コスト削減、作業効率向上、リピート率増加など
これらの切り口から、自社のターゲットや自社製品・サービスの特徴に合致する内容を選定し、ざっくりと大分類を考えます。
3. カテゴリーの数を調整する
切り口が決まったら、カテゴリーにどのくらいの数を設けるか検討します。カテゴリーが多すぎると、ユーザーが迷ってしまい、本末転倒になってしまいます。逆に少なすぎると各カテゴリーに事例が集中してしまい、閲覧しづらくなる可能性もあります。
下記のような目安を考えながら、ユーザーが混乱しない程度に調整すると良いでしょう。
カテゴリー数 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
1~3個程度 | 大分類のみ | シンプルで迷いにくい | カテゴリー内の事例が多すぎて探しにくい可能性 |
4~6個程度 | 大分類+中分類程度 | バランスよく細分化でき、使いやすい | 多少カテゴリーを意識して選択する手間が必要 |
7個以上 | 大分類をさらに細かく分割 | 特定の事例を詳しく探しやすくなる | カテゴリー一覧が長くなり、全体的に見づらくなる |
4. カテゴリー名の付け方
カテゴリー名は、ユーザーが直感的に内容をイメージできるものが望ましいです。たとえば、「製造業」「IT企業」など業種がひと目で分かるワードや、「売上拡大」「知名度向上」などのニーズをわかりやすく表現したワードを使うと、事例を探しているユーザーにとって見やすい表示が実現できます。
5. 実装とテスト
カテゴリー構成を決定したら、CMS(コンテンツ管理システム)などにカテゴリーページを設定し、実際に事例を振り分けます。ユーザーがスムーズに探せるか、サイト内検索との兼ね合いは大丈夫かなど、テストを行いながら調整すると安心です。
タグ活用と柔軟な切り口
カテゴリー分けだけでは、どうしても単一視点の区分になりがちです。しかし、さまざまな属性を持つ事例が存在する場合、それを多角的に整理するために「タグ」を活用すると便利です。
タグの役割
- 複数の視点から探せる
たとえば業種が「飲食業」の事例があり、同時にその事例が「新サービス導入」で成果を出している場合、カテゴリーでは「業種:飲食業」で分類し、タグでは「新商品」「集客強化」などを付与できます。結果的に、同じタグが付いた事例を一覧で見られるようになり、ユーザーにとって探しやすさが向上します。 - 検索エンジンへの情報提供
タグの存在は、サイト内部の構造を豊かにし、多様なキーワードでの検索流入を得やすくする可能性があります。単なる「飲食業の事例」だけでなく、「新サービス導入 成功事例」など複合的なキーワードで調べるユーザーもフォローしやすくなります。
タグ活用のポイント
タグはカテゴリーよりも柔軟かつ細分化した利用が可能です。ただし、過剰にタグを作りすぎると、管理が煩雑になるので注意が必要です。おすすめなのは、事例ごとに必ず2~3個程度のタグを付けるルールを定め、全体としても頻出のタグに絞ることです。
以下はタグ設定例です。
事例タイトル | カテゴリー | 付与するタグ |
---|---|---|
飲食業で新サービスを導入した事例 | 飲食業 | 新商品, 集客強化, 効率化 |
製造業でコスト削減に成功した事例 | 製造業 | コスト削減, 生産性向上 |
小売業で集客イベントを活用した事例 | 小売業 | イベント活用, プロモーション, 売上拡大 |
IT系の企業が自社メディアで成果を出した事例 | IT企業 | メディア運用, SNS連動, 認知度向上 |
このように、カテゴリーとタグを併用することで、それぞれの事例の特徴を多方面から整理して提示できます。
ターゲット別に事例を見せる工夫
事例集の閲覧者は、自社と似たような業種・規模・課題を抱えている場合に、より強い関心を示すことが多いです。そのため、ターゲット視点を意識した見せ方を取り入れると効果的です。
1. ペルソナ(ターゲット像)の明確化
まずは、どのような閲覧者に向けた事例集なのかを想定します。企業の課題や目的、業種など、いわゆる「ペルソナ」を定義することで、そのペルソナが「興味を持ちそうな事例」や「抱えていそうな課題」を浮き彫りにでき、見せ方が具体的になります。
2. ターゲット別のセクション作成
Webサイト上で「業種別」「目的別」などのセクションを作り、そのセクション内で該当する事例をまとめて提示します。たとえば、「飲食業向け事例集」や「コスト削減に関する事例集」という形で、閲覧者が興味を引く導入文を添えておくと、より引き込みやすい流れを作れます。
3. ターゲットへのメッセージを挿入
事例概要だけを列挙するのではなく、ターゲットに向けて「飲食業の方にはこの事例がおすすめです」「コスト削減策を検討中の方は、こちらの事例が参考になります」といった案内を入れることで、ユーザーが「自分の状況に当てはまる」と認識しやすくなります。
以下の表は、ターゲット別にセクションを作り、どのような訴求を行うかの例です。
ターゲット像 | セクションタイトル | 訴求のポイント |
---|---|---|
飲食業の経営者 | 飲食業向け導入事例集 | 新商品導入、集客強化、SNSを活用した販促の実例を紹介 |
製造業の現場担当者 | 製造業向け改善事例集 | コスト削減、生産性向上、品質改善の実例をまとめる |
小売業の店舗オーナー | 小売業向け売上拡大事例集 | イベント活用、プロモーション、新規顧客獲得の実例 |
情報システム部門やIT企業の担当 | IT企業のサービス活用事例集 | メディア運用、SNS拡散、マーケティングオートメーションなど |
事例を効果的にアピールするためのポイント
カテゴリーやタグで整理できたとしても、事例そのものの魅力が十分に伝わらないと意味がありません。以下の点に留意しながら、ユーザーが「この事例、詳しく見てみたい」と感じるようにアピールしましょう。
- 成果を数字ではなく具体性で表現する
事例の成果を、説得力のある具体例で示すことは大切です。例えば、「〇〇が改善した」「新たな課題を乗り越えた」など、ビフォーアフターを想像しやすい言葉や状況を添えると効果的です。 - 視覚的なビジュアルを添える
製品画像や導入のビフォーアフターを写真や図解で示すと、理解を助けます。業種によっては店舗の外観写真や、サービス利用前後のワークフロー図などが有効です。 - 簡潔なサマリーを掲載する
記事タイトルやカテゴリーから事例ページに遷移してきたユーザーは、まずは概要を素早く知りたいはずです。3行程度の要約を目立つ位置に置き、その事例で得られる学びやメリットを手短に示すことで、詳細を読む動機づけが生まれます。 - 読みやすいレイアウトを意識する
見出し、箇条書き、画像、適度な余白などを使い、メリハリを付けます。文章だけが詰まったレイアウトでは、最後まで目を通してもらいにくくなります。
継続的な運用と改善のコツ
事例集は作って終わりではありません。定期的に見直しと更新を繰り返しながら、常に新しい事例を取り入れることが大切です。
- 定期的な棚卸しとカテゴリー見直し
事業領域が拡大して新サービスを開始したり、新たな業種の取引実績が増えたりすることはよくあります。その際に、既存カテゴリーが実情と合わなくなっていないかチェックし、必要に応じてカテゴリーを増やしたり、タグを新しく作ったりして柔軟に対応しましょう。 - 事例の追加タイミングを明確にする
新たな実績が出たタイミングでしっかり事例化することが重要です。社内ルールとして「新規案件が終了したら◯日以内に成果をまとめる」「担当者が事例の素案を作り、広報・マーケティング担当が仕上げる」といった流れを確立しておくと、事例を継続的に増やせます。 - ユーザーの反応を確認しながら最適化
アクセス解析で、どのカテゴリーやタグの事例に人気が集まっているのか、どのページで離脱しているのかを調べます。もし人気のないカテゴリーがある場合は、掲載事例の内容や見せ方を改善する必要があるかもしれません。
加えて、問い合わせフォームへの流入や、問い合わせ時に「どの事例を見て興味を持ったか」などを聞くことができれば、より具体的な改善点を洗い出せます。 - 事例の古さに注意する
時代に合わなくなった事例や、すでに提供していないサービスの事例をそのまま掲載していると、かえって混乱を招く可能性があります。適宜「掲載を取り下げる」または「補足を入れる」などの対応を行い、最新情報との整合性を取ることが大切です。
まとめ
事例集をカテゴリー分けし、ターゲット別に見せやすくすることは、ただ単に情報を整理するだけでなく、ユーザーに「自分ごと」として捉えてもらうための重要なステップです。業種・ニーズ・目的などの観点から大まかなカテゴリーを設定し、さらにタグを活用して柔軟な検索を可能にすることで、ユーザーは探したい事例をスムーズに見つけられます。
また、ターゲットの悩みや興味を念頭に置き、セクション分けや見せ方の工夫をすることで、一層訴求力の高い事例集となるでしょう。継続的な運用と更新を怠らず、常に新しく魅力的な事例を提示し続けることが、閲覧者の信頼を獲得し、引き込むためのポイントです。