画像ファイル名とSEOの関係
中小企業のWebサイトでは、商品写真やスタッフ紹介の写真など、さまざまな画像を掲載することが多いでしょう。カメラで撮影した画像が「IMG_0001.jpg」「DSC_1234.png」のような初期設定のままで使われているケースは珍しくありません。
一方で、検索エンジンのアルゴリズムはテキスト情報だけでなく、画像に付与されているファイル名や代替テキスト(alt属性)などの要素も読み取ります。したがって、画像ファイル名をわかりやすく、内容を示すように命名しておけば、検索エンジンに対して「この画像は何を表しているか」が伝わりやすくなります。
では、どれくらいの影響があるのかというと、画像検索結果の表示やページ全体の評価に微細ながらも影響を及ぼす可能性があります。大きな順位変動を招くほどの要素ではないとされる一方、SEOを総合的に考えると小さな積み重ねが成果につながることも事実です。特に商品の写真など、画像検索からの流入を期待する場合、画像ファイル名を適切に整えることが重要となります。
カメラの初期ファイル名をそのまま使うと何が問題なのか
以下のように、カメラ撮影時の自動命名をそのまま使っていると、検索エンジンへの情報提供という観点で不利になることがあります。
カメラの初期ファイル名 | 想定される問題点 |
---|---|
IMG_0001.jpg | 何の画像か分からないため、検索エンジンに伝わりづらい |
DSC_1234.png | 数字とアルファベットのみで、検索キーワードと関連付けが難しい |
20250310_001.jpg | 撮影日と連番だけでは内容が推測できない |
こうした例のように、文字列から画像の内容を想起しづらいファイル名を使っていると、検索エンジンだけでなく自分自身の管理面でも苦労することになります。
画像ファイル名を適切につけるメリット
では、わざわざ画像のファイル名に気を配るメリットは何でしょうか。大きく分けると以下のような点が挙げられます。
- 検索エンジンへの訴求力アップ
画像ファイル名に写真の内容を示すキーワードを入れることで、検索エンジンがその画像をどのように理解するかを補強できます。特に画像検索を狙う場合、画像自体のalt属性や周辺テキストとあわせて大きな武器になるでしょう。 - 社内・チーム内での管理効率向上
ファイル名がきちんと内容に即していれば、時間が経ってからでも「この画像は何だったっけ?」と迷う回数が減ります。ファイル数が多いほど、適切に命名しておくことの価値は高まります。 - リニューアルやサイト移転時のリスク軽減
将来的にサイトをリニューアルしたり、CMSを変更したりする際にも、整理しやすいルールで命名されていると移行作業がスムーズになります。逆に、まったく関連性のないファイル名のままだと、リニューアル時にファイル管理が混乱する恐れがあります。 - ユーザーへの理解促進
直接ファイル名を見るユーザーは限られますが、ファイルのURLがSNSなどでシェアされるときに、URLの一部としてファイル名が見えることがあります。その際に内容がわかる表現だと、ユーザーのクリック意欲につながる場合があります。
画像ファイル名を変更するときのメリット・デメリット
一方で、すでにアップロードしている画像ファイル名を一斉に変更することには、いくつかのデメリットも考えられます。以下のようにメリット・デメリットを整理してみましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
内容に即したファイル名で検索エンジンにアピールしやすい | すでに掲載している大量の画像を一括で変更するには手間と時間がかかる |
管理がしやすくなり、リニューアル時に混乱が少ない | 旧URLから新URLへのリダイレクト設定が必要になる場合がある |
ファイル名を見ても画像の内容がわかる | ファイル名変更の反映にともなうトラブル(表示崩れなど)のリスク |
もし現在のサイトで十分なパフォーマンスが得られている場合や、画像ファイル名の変更が大きな工数になってしまう場合は、一部の重要な画像だけを優先的に見直す方法もあります。
名前をつけるときの具体的なポイント
実際に画像ファイル名をつけるときには、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
- 画像の内容を示すキーワードを含める
たとえば商品の写真であれば「商品名」「色」「サイズ」など、内容を想起しやすい語を入れると検索エンジンにも伝わりやすくなります。 - 単語の区切りはハイフンやアンダースコアで
日本語だけを使うと場合によっては文字化けが生じることがあります。また、英語圏の検索エンジンで認識されにくいケースもゼロではありません。短い英単語で要素を表現し、ハイフン(-)などで区切っておくと見やすく管理もしやすいです。 - できるだけ短く、簡潔に
ファイル名が長すぎるとURLも長くなり、ユーザーにシェアされにくくなる場合や管理画面で見づらくなる場合があります。関連キーワードを詰め込みすぎず、適度な長さを心がけましょう。 - 重複しない命名ルールを設定する
同じ名前のファイルがあると上書きのリスクが生じます。商品ごと、撮影年月日、番号など何らかの一意性を確保できる要素を組み合わせると便利です。
ここでは、いくつかの要素を組み合わせた命名ルールの例を示します。
命名要素 | 例 | ポイント |
---|---|---|
カテゴリ名 | shohin- | 何の画像かをカテゴリー名で表す(例:商品→shohin ) |
商品名 | tshirt- | 具体的な商品名(例:Tシャツ→tshirt )を短い英単語や略称で書く |
色やサイズ | red-l | 色やサイズを入れておくと後から見返したときに分かりやすい |
連番やID | 001 | 重複を避けるために番号やIDを入れる |
拡張子 | .jpg | 拡張子は「.jpg」「.png」などで統一感を持たせる |
「shohin-tshirt-red-l-001.jpg」のように、内容が明確にわかるファイル名になれば、検索エンジンだけでなく管理者にとっても一目でどんな画像か理解しやすいものとなります。
リニューアル時に考慮すべきこと
中小企業のWebサイトでも、数年に一度リニューアルを行うケースがあります。その際、画像ファイル名をいっぺんに変更するかどうかは悩ましいところです。
現状の評価を大きく崩さないための対策
すでに検索エンジンである程度評価を得ている画像ファイル名を変更すると、URLが変わる形になるため、リンク切れや評価のリセットが起きる可能性があります。対策としては下記のような手順が考えられます。
- 新しいファイル名で画像をアップロードし、古いファイル名の画像ファイルが必要なくなるタイミングで301リダイレクトを設定する。
- ファイル名だけでなく、alt属性や周辺テキストなども整合性を取る。
- 変更する優先度を決め、リニューアル前後のアクセス状況を確認して慎重に進める。
すべて変更が難しい場合の優先順位
画像の点数が多すぎてすべてリネームするのは現実的ではない、という場合もあるでしょう。そういった場合は、たとえば「主要な商品画像」や「集客効果が高いページの画像」から優先的に取り組むといった工夫が考えられます。サイトの重要度が高い箇所から着手することで、工数を抑えつつリニューアルによるSEO効果を高めることができます。
大量の画像を効率的に管理するための運用術
サイトの規模が大きくなるほど、画像管理は煩雑になりがちです。次のポイントを押さえておけば、リニューアル時だけでなく日常的な更新作業もスムーズになるでしょう。
- ディレクトリ構造を整理する
商品別、ページ別、用途別など、階層構造を作って管理する方法です。たとえば「/images/products/」「/images/blog/」「/images/staff/」のように分けておくと、管理画面やサーバー上で探しやすくなります。 - 命名ルールをあらかじめ決めて共有する
個人単位で異なるルールにしてしまうと、ファイル名がバラバラになり管理が大変です。ルールを文書化して社内全員に周知することで、一貫性が保たれます。 - 更新作業を一括管理できるツールを活用する
画像の一括リサイズやファイル名変更ができるツールを用意しておくと、更新頻度が高い現場でも手間を削減できます。 - ファイル名のバージョン管理を行う
リニューアルのタイミングや撮影時期でファイル名が混乱しないよう、バージョン管理を意識すると便利です。たとえば撮影年や公開年をファイル名の一部に含める、あるいは別のディレクトリに切り替えるなどの方法があります。
以下は、運用面を整理するうえで意識したい項目をまとめたものです。
項目 | おすすめの運用方法 | 理由 |
---|---|---|
ディレクトリ構成 | 用途別・コンテンツ別に整理 | アップロード時や更新時に目的のフォルダをすぐに特定できる |
ファイル名命名ルール | 共通ルールを作成し、ドキュメント化 | 誰が作業してもルールがぶれず、管理が一貫する |
更新ツールの導入 | バッチリネーム、画像最適化ツールなどを検討 | 大量画像を一括で処理でき、作業時間を短縮できる |
バージョン管理の考慮 | 年度やリニューアルのタイミングで区切りをつける | 古い画像と新しい画像が混在しても混乱が少なく、移行作業がスムーズになる |
作業担当者の教育・共有 | ルールを定期的に見直し、社内で周知徹底する | 新人や外部スタッフが作業する際もミスを減らせる |
まとめ
画像ファイル名は、サイト全体のSEOに対して直接的に大きな影響をもつ要素ではありません。しかし、細部までこだわることで画像検索からの流入機会を得たり、管理のしやすさを高めたりする効果があります。特に中小企業においては、限られたリソースを最大限に活用するためにも、小さな工夫を積み重ねることが重要といえます。
画像ファイル名を適切につけるメリットとしては、検索エンジンへのアピールや管理効率の向上、リニューアル時の混乱軽減などが挙げられます。ただし、現在すでに評価を得ているファイル名を変更する際は、移行の計画や優先度の見極めが必要になるでしょう。
今後、サイトを運営していく中で画像点数が増え続ける可能性があるならば、早めに命名ルールやディレクトリ構造を固めておくことがおすすめです。更新作業のたびに頭を悩ませるよりも、あらかじめルールを整備しておけば、社内の誰が対応しても統一された管理体制を維持できます。
画像のファイル名は地味なようでいて、じわじわと効果を発揮する要素です。今のうちに適切な準備と工夫を行うことで、長期的なWeb戦略を強化していきましょう。
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