WordPressを使うメリットとホームページ制作の重要性
企業の規模や業種にかかわらず、いまやホームページはマーケティングやブランディング、顧客との接点を持つための不可欠なツールといえます。とりわけ中小企業にとっては、限られたリソースで効率よく自社の強みを訴求できる手段として、ホームページの重要性は年々高まっています。その際、多くの企業が採用しているのがWordPressというCMS(コンテンツ管理システム)です。
WordPressは無料で利用できるオープンソースのCMSであり、世界中のホームページやブログサイトで圧倒的に高いシェアを誇っています。拡張性や汎用性が高く、プラグインを活用することで機能を柔軟に追加できるため、事業規模に合わせた成長も見込めるのが大きな利点です。
一方で、WordPressを使ったホームページ制作には専門的な知識やデザイン、コーディングのスキルが求められるため、完全に自社だけで完結させるのは難しい場合もあります。そこで多くの企業が、制作会社やフリーランスに依頼を検討することになるでしょう。本記事では「WordPress ホームページ 制作 依頼 方法」というテーマで、失敗を防ぎながら効果的なホームページを作り上げるための一連の流れやノウハウを詳しく解説します。
依頼前に整理すべき事項
1. ホームページの目的・目標を明確化する
WordPressを使ってホームページを制作するとき、最初にしっかりと考えておきたいのが「ホームページを通して何を達成したいのか」という目的と目標です。たとえば、新規顧客の獲得や問い合わせの増加、自社のブランドイメージ向上など、さまざまなゴール設定が考えられます。
- 新規顧客獲得
サービスや商品の詳細をわかりやすく伝え、問い合わせや注文につなげる。 - 認知度向上
コーポレートサイトとして企業の信頼性を高めたり、競合他社との差別化を図る。 - 情報発信
ニュースやコラム、ブログ記事を発信し、顧客と継続的な関係を築く。
こうした明確な目的があれば、制作会社に依頼するときもサイト構成やコンテンツ設計がスムーズになります。また目標値として、月の問い合わせ数やアクセス数など定量的な指標が設定できると、ホームページの効果測定もしやすくなるでしょう。
2. 予算とスケジュールの概要を把握する
ホームページの制作には多かれ少なかれ費用が発生します。WordPress自体は無料で利用できますが、以下のコストが代表的です。
- ドメイン取得費用
- サーバーのレンタル費用
- デザイン・コーディング費用
- プラグインの有料版利用料(必要な場合)
- アフターフォローや保守費用
また、サイトの制作期間は、内容のボリュームや機能の複雑さ、デザインのこだわり度合いによって変動します。小規模のコーポレートサイトであっても、要件定義から公開までには通常1〜3ヶ月程度はかかることが多いです。大まかな予算感や公開時期の希望を早めに把握しておくと、依頼先の候補を絞りやすくなります。
3. 既存のブランドイメージやデザイン方針
ホームページは企業のブランディングを担う重要な役割を持ちます。名刺やパンフレットなど、すでに使用しているツールがある場合は、そこに合わせたデザインテイストを意識するとブランディングの一貫性が保たれます。
- ロゴやシンボルカラーの有無
- 企業が大切にしている価値観・理念
- すでに使用している写真やイラスト素材
こうした情報をあらかじめ整理しておけば、制作会社がデザインコンセプトを固める際の参考資料になります。
4. 更新や運用の体制を想定しておく
WordPressを選択する主な理由の一つは、公開後の更新作業が比較的簡単に行えることです。しかし、実際に記事を更新したり写真を差し替えたりする人が決まっていないと、サイトを立ち上げて終わりになってしまうケースがあります。更新頻度や更新担当者、どのくらいのタイミングでどんな情報を発信していくか、といった運用プランを事前に考えておきましょう。
特に、中小企業の場合は広報担当者が専任でいないケースもあり、総務や経理などが兼務することも珍しくありません。WordPressの管理画面操作が負担にならないよう、制作会社に運用のレクチャーや簡易マニュアル作成を依頼するケースも多いです。
制作会社・フリーランス選定のポイント
1. 依頼先の種類と特徴
ホームページ制作の依頼先には、大きく分けて「Web制作会社」と「フリーランス」があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、プロジェクトの規模や求めるクオリティ、予算などに応じて適切に選択するとよいでしょう。
依頼先 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
Web制作会社 | 複数のデザイナー、エンジニア、ディレクターが在籍する組織。 | チーム体制で専門分野をカバー可能。 サポートや保守体制が整っていることが多い。 | 個人に比べ費用が高くなる傾向。 やりとりが複数人を経由するため時間がかかる場合も。 |
フリーランス | 個人で活動しているデザイナー、コーダー、エンジニア等。 | 直接コミュニケーションを取りやすい。 費用も比較的リーズナブルなケースが多い。 | 得意領域が偏っている場合があり、 総合的なサポートが難しい場合がある。 |
2. 実績と得意分野のチェック
WordPressでの開発経験が豊富かどうかを確認するために、これまでに手がけたサイトの実績をチェックしましょう。同じ業種や同じような目的(ECサイト、コーポレートサイト、採用サイトなど)の制作実績があると、ノウハウが蓄積されている可能性が高まります。また、制作会社やフリーランスごとに得意とするデザインのテイストや機能開発の方向性が異なるため、自社のイメージや必要機能と合致しているかを見極めることが大切です。
3. コミュニケーションの取りやすさ
制作をスムーズに進めるためには、連絡手段や対応スピードも重要なポイントです。特に初期段階では要件定義がしっかり行われていないと、完成後に「思っていたのと違う」というトラブルに陥りやすくなります。メールやチャットツール、オンライン会議など、どのような手段でやり取りが可能なのか、制作会社やフリーランスのワークスタイルを事前に確認しておきましょう。
- レスポンスの速さ
急ぎの連絡に対応してくれるかどうか。 - 質問・相談への柔軟な対応
専門用語を噛み砕いて説明してくれるか。 - プロジェクト管理ツールの有無
スケジュールやタスク管理を見える化できるか。
4. 契約形態・料金体系の理解
ホームページ制作の料金体系は、基本的に「固定価格制」と「時間(工数)ベース」の二つが考えられます。WordPressサイト制作では、具体的なページ数や機能数で見積もりを行うケースが多いです。追加機能や修正回数によっては費用が増える可能性もあるため、契約内容を細かく確認しておきましょう。
- 固定価格制
事前に制作範囲と料金が明確になりやすい。追加要望がある場合は都度見積もり。 - 工数ベース
作業時間に応じて費用が増減するため、柔軟な対応が可能だが、最終的なコストが読みにくい。
また、納品後の運用・保守を継続的にお願いする場合は、月額や年額でのサポートプランがあることが多いです。更新頻度やサーバー監視などのオプションも含め、検討してみると良いでしょう。
依頼内容の伝え方と見積もり確認
1. 要件定義書・RFPの作成
複数の制作会社に相見積もりを取る場合や、より正確な見積もりを希望する場合、要件定義書やRFP(Request For Proposal)の形で依頼内容をまとめるとスムーズです。具体的には以下のような項目を網羅するとよいでしょう。
- サイトの概要・目的
- ターゲットユーザー像
- 希望するデザインの方向性(参考サイトなど)
- 必要な機能(問い合わせフォーム、会員機能、予約システムなど)
- ページ構成案とおおまかなコンテンツ内容
- 予算と希望納期
- 運用・保守の範囲
要件定義書やRFPがしっかりしていると、制作会社も具体的な工数と料金を試算しやすくなり、こちらにとっても比較検討がしやすくなります。
2. 見積もり項目のチェックポイント
見積もりを受け取った際は、金額だけでなく、その内訳にも注目しましょう。デザイン費、コーディング費、WordPressのテーマ開発費、プラグインの導入・カスタマイズ費など、細かな項目が明記されているかを確認することで、制作範囲と作業内容が明確になります。
- デザイン関連費用: トップページや下層ページ、レスポンシブ対応など。
- WordPress構築費用: テーマ作成、プラグイン導入、PHPカスタマイズなど。
- ディレクション費用: 要件定義やスケジュール管理、打ち合わせ調整などのマネジメント料金。
- サーバー・ドメイン費用: 初年度の登録や設定代行費用が含まれるか。
- 運用保守費用: 納品後の更新サポートや障害対応など。
また、値段が高い・安いというだけで判断するのではなく、自社の制作意図や目標を実現するうえで十分な内容が含まれているかに重きを置いて選定することが重要です。
3. 見積もりの比較ポイント
複数社から見積もりを取り寄せる場合、それぞれの料金や納期を比較するのは当然として、以下のような観点でも見比べてみましょう。
- 企画提案力: 単に言われたことを形にするだけでなく、より良い提案をしてくれるか。
- 実績・ポートフォリオ: 過去の制作物のクオリティや特徴。
- 専門性・経験値: WordPressのカスタマイズ実績やセキュリティ対応のノウハウ。
- 保守・運用サポート体制: リリース後の継続サポートの充実度。
このように金額だけではない「質」の部分も加味して総合的に評価することで、自社に最適なパートナーを選ぶことが可能になります。
制作スケジュールと進行管理の方法
ホームページ制作は、要件定義や設計、デザイン、コーディングなど複数の工程から成り立ちます。特にWordPressを活用する場合はテーマ選定やプラグイン導入、各種カスタマイズなどが加わるため、全体のタスクや役割分担を明確にし、計画的に進めることが大切です。以下では、制作スケジュールの立て方や進行管理のポイントを解説します。
1. 制作工程の大まかな流れ
- 要件定義・サイト設計
サイトのゴール設定やターゲット、ページ構成、必要機能をまとめるフェーズです。依頼主(クライアント)と制作会社・フリーランスとの間で認識のズレがないよう、頻繁にコミュニケーションを取りながら要件定義を進めます。 - デザイン作成
ワイヤーフレーム(画面構成図)を基に、トップページや主要下層ページのデザイン案を制作していきます。配色やフォント、レイアウトなど、ブランドイメージやユーザーの使いやすさを考慮してデザインを固めます。 - コーディング・WordPress実装
デザインが決定したら、HTMLやCSS、JavaScriptなどを用いたコーディング作業が始まります。並行してWordPressのテーマ化やプラグインの設定・カスタマイズを行うことで、実際に動くサイトへと仕上げていきます。 - テスト・調整
本番公開前にテスト環境で動作確認を行い、不具合や表示崩れなどを修正します。スマートフォンやタブレットなどのデバイスごとに見え方を検証し、レスポンシブ対応が適切かどうかをチェックします。 - 本番公開・納品
テストが完了したら、いよいよサイトを本番環境に公開します。公開後に微細な修正や設定変更が必要になる場合もあるため、一定期間のフォローが想定されます。 - 運用・保守
サイトを継続的に活用するため、更新作業やバックアップ、セキュリティ対策などの保守業務が始まります。公開時点で終わりではなく、ここからが本当のスタートといえるでしょう。
2. スケジュールを組む際の留意点
- 余裕を持った要件定義期間
ホームページに求める機能やイメージを明確にしないまま突き進むと、後工程での修正が膨大になり、結果として納期が延びたりコストが増加する恐れがあります。最初の段階で要件をしっかり固めることが、スケジュール全体を円滑に進める秘訣です。 - 検証・修正に充てるバッファ期間
デザイン案のレビューやテスト環境での検証など、想定外の調整作業は少なからず発生します。そのため、ギリギリのスケジュールではなく、途中で適切にバッファを設定しておくと安心です。 - 社内稟議や承認のタイミング
中小企業の場合、経営者や決裁者のスケジュールを考慮し、デザインや予算の了承を得るための期間が必要になることがあります。社内チェックが遅れると制作全体の進行にも影響が出るため、あらかじめ承認フローを整理しておきましょう。
3. プロジェクト管理ツール・方法の活用
ホームページ制作プロジェクトは、複数のステークホルダーが関わります。メールや電話のみでやり取りを行うと、内容の錯綜や見落としが起きやすいため、以下のようなプロジェクト管理ツールを活用して進行管理を行うケースが増えています。
- チャットツール(例:Slack、Microsoft Teamsなど)
リアルタイムで短いメッセージをやり取りできるため、レスポンスが早くなりやすい。 - タスク管理ツール(例:Trello、Asana、Backlogなど)
各工程のタスクや期限、担当者を可視化し、進捗を共有しやすくする。 - オンライン会議システム(例:Zoom、Google Meetなど)
オンラインでデザイン案を画面共有したり、遠方との打ち合わせをスムーズに行う。
特にWordPressサイトの制作では、要件定義やデザインのレビューなど、都度細かい確認事項が生じます。チャットツールとタスク管理ツールを併用することで、依頼・修正の履歴がわかりやすく残り、担当者の混乱を最小限に抑えられます。
4. 進行管理で気をつけたいトラブル事例
- 要望変更が頻発してスケジュールが大幅に遅延
「やはり別のプラグインが必要」「デザインを全面的に変えたい」など、後出しでの仕様変更が繰り返されると、そのたびに工数と納期が膨らみます。依頼者側も制作会社側も、初期段階での要件定義を丁寧に行い、必要に応じた追加費用やスケジュール変更について明確に合意を取ることが大切です。 - 担当者が不在になり確認が進まない
担当者が急に退職したり、長期休暇に入るなどしてやり取りがストップしてしまうケースは珍しくありません。その際は、社内でサブ担当を設定しておいたり、制作側に早めに事情を伝え、スケジュールを調整する工夫が必要です。 - サーバーやドメイン関連の手続きが遅れる
サーバー契約やドメイン取得が遅れると、テスト環境の構築に支障をきたします。こうした契約周りは依頼主が行う場合も多いため、計画的に進められるよう早めの段取りを意識しましょう。
納品後の運用・保守体制の整え方
WordPressを導入したホームページは、公開して終わりではありません。むしろ公開後に定期的な更新を行い、常に新鮮で有益な情報を発信し続けることがサイトの価値を高めるカギとなります。また、セキュリティやトラブル対応の面からも、しっかりとした運用・保守体制を整えておく必要があります。
1. 運用体制のポイント
- 更新担当者・ルールの明確化
誰が、どのタイミングで、どんな内容を更新・投稿するのかを決めておきましょう。製品情報の更新、プレスリリースの掲載、ブログ記事の執筆など、担当業務を明確にすることでサイト運営がスムーズになります。 - コンテンツマーケティングの視点
ホームページを活用して顧客や見込み客に役立つ情報を発信することで、検索エンジンからの流入が期待できます。単なるお知らせに終わらず、専門的なコラムや事例紹介などコンテンツを充実させることで、企業の信頼度やブランド力を高められるでしょう。 - SNSとの連携
FacebookやTwitter、Instagram、LinkedInなどを適切に使い分け、ホームページの更新情報を拡散することも効果的です。プラグインや外部ツールを活用して、WordPressからSNSへの投稿を自動化する方法もあります。
2. 保守・セキュリティ対策
WordPressは世界的に利用されているCMSであるがゆえ、脆弱性を狙った攻撃も多いのが現実です。そのため、以下のような保守・セキュリティ対策を定期的に行う必要があります。
- バージョンアップ
WordPress本体やプラグイン、テーマのアップデートを怠ると、セキュリティホールを放置するリスクが生じます。定期的に管理画面をチェックし、更新作業を行いましょう。 - バックアップの取得
サイトが何らかの障害や攻撃を受けてデータが消失しても、バックアップがあれば復旧が可能です。サーバー側でバックアップ機能が用意されているケースもあれば、WordPressのプラグインで定期的にバックアップを取得する方法もあります。 - 不要プラグインの削除
使用しないプラグインを放置すると、セキュリティリスクやパフォーマンスの低下につながることがあります。定期的にプラグインリストを見直し、不要なものをアンインストールしましょう。 - 管理画面へのアクセス制限
WordPressの管理画面URLを推測されにくくしたり、特定IPアドレス以外からのアクセスを制限する方法があります。また、強固なパスワード設定や二段階認証の導入を検討することで、リスクを大きく減らせます。
3. 運用・保守を外部に委託するメリット
WordPressは基本的にユーザー自身が更新や管理をしやすい設計ですが、セキュリティ対策や専門的なトラブルシューティングまでを内製化するのは難しい場合もあります。そうしたときには、制作を依頼した会社や専門の保守サービスなどに運用・保守を委託する選択肢も考えられます。
- 専門知識を活用できる
サイトの不具合やバージョンアップに伴うトラブルなど、専門家が素早く対応してくれるため安心感があります。 - 最新のセキュリティ情報にアクセス
セキュリティリスクは日々変化しており、常に最新の情報をキャッチアップするのは大変です。外部に委託することで、新しい脆弱性や対策がすぐに適用される可能性が高まります。 - 社内リソースの有効活用
ホームページ運営を任せることで、社内の担当者はコア業務(営業活動やサービス開発など)に集中できるメリットがあります。
4. トラブルシューティングの基本
運用中にトラブルが発生した場合、以下のような初歩的な確認を行うことで原因究明をスピードアップできます。
- プラグインの競合を疑う
新規プラグインの導入やアップデート直後にエラーが起きた場合、プラグイン同士の競合が原因である可能性があります。一時的にすべてのプラグインを停止し、一つずつ有効化しながら問題が再現するかを検証してみましょう。 - テーマの不具合をチェック
テーマファイルのバージョンアップやカスタマイズが原因でレイアウト崩れや機能不全が起きることもあります。デフォルトテーマに切り替えて問題が発生しない場合は、テーマ側のコード修正を要検討です。 - サーバー障害の可能性
全くアクセスができない、管理画面にも入れないといった場合は、まずはサーバー会社側に障害が発生していないかを確認します。 - バックアップからの復元
どうしても原因が特定できない場合、動作していた時点のバックアップデータを復元することで解決できることがあります。ただし、復元すると最新の投稿や設定が失われる可能性があるため注意が必要です。
依頼時に検討したい追加ポイント:費用構成・契約形態の詳細
ホームページ制作の依頼をする際、費用や契約形態についてより深く理解しておくことは、後々のトラブル防止にも役立ちます。ここでは、WordPressを活用した制作に特有の費用項目や、契約段階で確認しておきたい事項をさらに掘り下げて解説します。
1. 初期費用と月額費用の区分
WordPressサイトの制作費用は、大きく「初期制作費用」と「運用・保守を含む月額費用」に分けられるケースが多いです。
- 初期制作費用
ディレクション・サイト設計・デザイン作成・コーディング・WordPressのセットアップ・カスタマイズなど、サイト公開に至るまでの作業が対象です。見積もりに「○○ページ分のデザイン・コーディング」が何ページ分含まれているか、追加ページが発生した場合にどうなるかを確認しておくと安心です。 - 月額費用(保守・運用費など)
納品後、サイト運営をスムーズに進めるためのサポートや、バージョンアップ・セキュリティ管理、更新代行などの運用業務にかかるコストを月額で徴収する形態です。依頼先によっては、サポートの範囲(更新代行が含まれるかどうかなど)に大きな違いがあるため、契約前に「どこまでカバーされるか」を必ず確認しましょう。
2. ランニングコストを意識する
WordPressサイトでは、サーバー料金やドメイン更新費用が継続的にかかります。さらに、プラグインの有料版を使う場合、ライセンス更新費用が毎年必要になるケースもあります。制作会社やフリーランスに依頼する際は、以下のようなランニングコストの概算をあらかじめ尋ねておくとよいでしょう。
- サーバー・ドメイン料金
一般的なレンタルサーバーなら月額数千円程度~。ドメイン料金は年間1,000円~数千円程度が相場。 - 有料テーマ・プラグインの更新費用
利用するテーマやプラグインによっては、年単位で更新料が発生する。 - 保守・運用委託費用
月額固定、または作業に応じて都度請求など形態はさまざま。
3. 制作範囲と著作権・使用権
契約内容を詰める段階では、著作権や使用権についても確認しておくことが大切です。通常、制作会社やフリーランスに依頼したデザイン・コードの著作権は依頼主に譲渡される場合が多いですが、部分的に別途料金を支払うことでライセンスが移転されるケースもあります。イラストや写真など、外部素材を使っている場合は、その利用範囲や再配布の可否などを明確にしておきましょう。
- テーマやプラグインのライセンス
WordPressテーマやプラグインにはGPLなどのライセンス形態があるため、カスタマイズ部分を含めてどう取り扱うか確認する必要があります。 - 二次利用の可否
依頼したデザインの一部をパンフレットや名刺に転用したい場合、契約上問題ないかどうかをあらかじめチェックしておくとスムーズです。
4. 成果物の納品形式
WordPressサイトを完成させる際、最終的にどういう形で納品されるのかも重要なポイントです。以下のような方法が考えられます。
- サーバー上への本番公開
完成したWordPressサイトを依頼主のサーバーにアップし、ドメインに紐づけて稼働状態にする。 - ローカルや開発環境でのファイル一式納品
依頼主にて公開を行う場合、制作会社はWordPressのテーマファイルやデータベースのダンプファイルなどを一式で渡して納品とする。
納品後に仕様変更や機能追加を行いたい場合、どのタイミングまで依頼先が対応してくれるのか(追加料金が発生するのか含め)も契約時にすり合わせておくと安心です。
SEOの視点から見るWordPress制作の依頼方法
WordPressを使ったホームページ制作では、検索エンジン最適化(SEO)の取り組みが成果を左右するといっても過言ではありません。特に、中小企業が新規顧客を獲得するためには、狙ったキーワードで上位表示を目指すことが大切です。ここでは、制作段階で押さえておきたいSEO観点をまとめます。
1. SEOを考慮したサイト構造
検索エンジンはサイトの構造やページ同士の関連性を重視します。以下のような構成が望ましいでしょう。
- シンプルで論理的なディレクトリ構造
カテゴリーやタグを適切に活用し、情報が整理されたサイト階層を作る。 - URL設計
日本語URLの使用や、長すぎるパラメータを含むURLは避け、できるだけ簡潔にする。 - 内部リンクの最適化
関連する記事やコンテンツ間をリンクで結び、ユーザーが回遊しやすい環境を整える。
2. コンテンツSEOとキーワード選定
WordPressサイトの強みは、投稿機能を使って継続的に記事を追加しやすい点にあります。単に企業情報を掲載するだけでなく、潜在顧客が求める情報を丁寧にまとめたコンテンツを発信することで、検索エンジンからの評価を得やすくなります。
- キーワード選定
業界・商品・サービスに関連するキーワードをリサーチし、適度な競合度や検索ボリュームのあるものを狙っていく。 - 見出し(Hタグ)の最適化
記事タイトル(H1)や小見出し(H2、H3など)にキーワードを自然に含めると、検索エンジンがコンテンツ内容を理解しやすくなる。 - メタディスクリプション・スニペット対策
ページごとのメタディスクリプションを適切に設定し、検索結果でのクリック率向上を狙う。
3. 表示速度とモバイル対応
近年のSEOでは、ページ表示速度やモバイル端末での閲覧が快適かどうかといった指標が重視されています。WordPressはプラグインによる拡張が容易ですが、その分サイトが重くなりやすいというデメリットも。
- キャッシュプラグインの活用
ページをキャッシュ化して高速化を図る。定番プラグインとしては「W3 Total Cache」や「WP Super Cache」など。 - 画像の最適化
大きな画像は適切に圧縮・リサイズし、読み込み時間を短縮。 - レスポンシブデザイン
モバイルファーストを意識したデザインを取り入れ、どのデバイスでも使いやすいインターフェースを構築。
4. セキュリティ強化と信頼性向上
セキュリティ問題は検索エンジンにも悪影響を及ぼしかねません。サイトがハッキングされたり、マルウェアを仕込まれたりすると検索結果から除外されるリスクもあります。
- SSL証明書の導入
サイト全体をHTTPS化し、ブラウザや検索エンジンから安全なサイトであると認識してもらう。 - プラグインの定期アップデート
セキュリティ脆弱性は古いバージョンに残りやすいため、常に最新の状態を保つ。 - 不正アクセス対策
二段階認証やログイン試行回数制限などのプラグインを導入して、管理画面を守る。
成功事例から学ぶ依頼方法のポイント
具体的な事例をイメージすることで、WordPress制作を依頼するときの重要ポイントが見えてきます。実際に多くの企業が抱える課題と、それに対してどのように解決策を実施したかを踏まえてみましょう。以下は仮のケーススタディではありますが、依頼の流れや工夫点を整理するうえで参考になります。
ケーススタディ:製造業B社のホームページリニューアル
背景・課題
- 既存ホームページは静的HTMLで制作されており、更新には外部制作会社の手を借りる必要があった。
- 自社の新製品情報や導入事例などをタイムリーに発信できず、問い合わせ数が伸び悩んでいた。
- スマートフォンからの閲覧を想定しておらず、ユーザビリティが低かった。
依頼内容のポイント
- CMS導入(WordPress)による内製更新の実現
マーケティング担当者が更新を行いやすい仕組みにすることで、情報発信のスピードを向上させる。 - レスポンシブ対応とデザイン刷新
製造業らしい信頼感と最新テクノロジーへの対応をイメージさせるデザインを採用。スマートフォンやタブレットからの閲覧にも最適化する。 - コンテンツ強化とSEO対策
自社の強みや製品の詳細、導入事例などをブログ形式で追加しやすくし、定期的に新コンテンツを公開する運用体制を整えた。
制作・運用フロー
- 要件定義: ディレクターとマーケティング担当者が複数回打ち合わせし、サイトのゴールとページ構成を策定。
- デザイン制作: 現行パンフレットやロゴのカラーに合わせ、落ち着きのあるカラーリングと現代的なレイアウトを検討。
- WordPress実装: 使用するプラグイン(SEO用、セキュリティ強化用、フォーム作成用など)を選定し、カスタマイズ。
- テスト公開: テストサーバーで表示崩れやセキュリティリスクをチェック。ブラウザやモバイル端末での動作確認を行う。
- 本番リリース: 旧サイトからリダイレクト設定を行い、URLの変更に伴うSEO影響を最小限に抑える。
- 運用レクチャー: WordPressの管理画面操作やプラグインのアップデート方法を社内担当者に指導。
成果
- 自社での更新が容易になり、新製品のニュースや導入事例を即時に発信できるようになった。
- サイトリニューアル後、問い合わせフォームからの相談件数が増加。特にスマートフォンからのアクセスが大きく伸びた。
- 運用開始後、SEO観点からコラムを定期配信し、見込み客との接点が拡大。
トラブル・失敗を防ぐための注意点
- 依頼内容を曖昧にしない
「大まかにこんな感じで」といった抽象的な指示だけでは、完成したサイトが期待と大きく食い違うリスクが高まります。コンテンツの方向性やサイト構造、必要機能はなるべく具体的に伝えましょう。 - 進捗共有を怠らない
制作会社やフリーランスと定期的にコミュニケーションを取り、デザイン案や構築状況を確認していくことが大切です。問題が早期に発見できれば修正コストも抑えられます。 - デザインとSEOを同時に意識する
デザインにこだわりすぎてサイトが重くなり、SEO上の評価を下げる例もあります。デザインの美しさと使いやすさを両立させながら、検索エンジンへの対策も適切に盛り込みましょう。 - セキュリティ対策は手を抜かない
WordPressの利便性の裏には、サイバー攻撃のリスクもつきものです。公開後も定期的にバージョンアップやプラグイン管理を行い、万全の態勢を整えてください。 - 公開後の更新計画を立てる
運用体制を決めないままサイトを公開すると、せっかくのWordPressの強みを活かしきれません。誰がどのような頻度でコンテンツを追加・更新していくのか、スケジュールと担当者を明確にしておきましょう。
WordPress制作を円滑に進めるための追加ノウハウ
前セクションでは、依頼時の注意点や成功事例を概観しました。ここでは、WordPress制作をより円滑に進めるために役立つ追加ノウハウをさらに詳しく掘り下げて解説します。制作会社やフリーランスに依頼する際、あるいは実際の進行中に参考になるポイントを押さえておきましょう。
1. テーマ選定とカスタマイズ戦略
WordPressには、公式ディレクトリや有料マーケットプレイスなど、数え切れないほど多くのテーマが存在します。以下の観点でテーマを選定し、必要に応じてカスタマイズを行うと、効率的かつ高品質なサイトを制作しやすくなります。
- デザイン性とユーザビリティのバランス
美しいデザインかつ使い勝手の良いテーマを選ぶことが理想です。デザインにこだわるあまり複雑になりすぎたり、逆にシンプルすぎて企業イメージが伝わらないなどの極端な事例もあるため、複数の候補を比較検討するとよいでしょう。 - 日本語対応・サポート体制
テーマによっては日本語化が十分になされていなかったり、問い合わせ先が海外のみで対応に時間がかかる場合があります。日本語ドキュメントや日本語でのサポートが充実しているテーマは、実務上扱いやすいです。 - 機能性と拡張性
あらかじめレスポンシブデザインやSEO対策機能、ページビルダーが備わっているテーマを選ぶことで、制作工程を省力化できます。ただし、機能が多すぎると逆にサイトが重くなる可能性もあるため、必要最低限の機能と拡張性のバランスを見極めましょう。 - カスタマイズ計画
既存テーマをベースに、デザインや機能を自社仕様に合わせてカスタマイズする方が、一からフルスクラッチで制作するよりコストを抑えやすいケースが多いです。一方、独自のブランディングを最大限に表現したい場合や、非常に高度な機能を必要とする場合は、オリジナルテーマの開発も視野に入れましょう。
2. ページビルダーとカスタムフィールド
WordPressの強みの一つは、豊富なプラグインや拡張機能を使ってビジュアル編集やデータ管理を柔軟に行える点です。特に以下のようなツールを活用することで、開発・運用が効率化しやすくなります。
2-1. ページビルダープラグイン
「Elementor」「Visual Composer」「Gutenberg(ブロックエディタ)」などのビジュアルページビルダーを使うと、ドラッグ&ドロップ操作でページレイアウトを構築できます。デザインの自由度が高い一方、以下の点に注意が必要です。
- サイト速度への影響
ページビルダーは多機能ゆえにコードが肥大化しやすく、ページ表示速度が遅くなる可能性があります。キャッシュプラグインや画像最適化などと組み合わせて対策しましょう。 - 学習コスト
ページビルダーによって操作性が異なるため、担当者が慣れるまで多少の時間やトレーニングが必要です。
2-2. Advanced Custom Fields(ACF)などのカスタムフィールド
投稿画面に独自の項目(フィールド)を追加し、データを構造的に管理できるのがカスタムフィールドのメリットです。会社概要ページや製品情報ページなど、複雑なレイアウトや情報量が多いページを運用しやすくなります。以下のようなケースに便利です。
- 製品リスト・スタッフ紹介・よくある質問(FAQ)など
あらかじめ入力項目を定義しておき、担当者が迷わず情報を登録できるようにする。 - レイアウトの再利用
カスタムフィールドでデータを一元管理し、テンプレートで呼び出すことで、デザインとコンテンツを分離しやすい。
3. ステージング環境の構築と運用
WordPressのバージョンアップやプラグインの導入をいきなり本番サイトに適用すると、不具合が生じた場合にサイトが一時ダウンしたり表示が崩れたりするリスクがあります。そこで、制作会社やフリーランスに依頼する際には「ステージング環境」を用意し、テストを行ってから本番反映する仕組みを確立してもらうと安心です。
- ステージング環境の用意
クラウド型のホスティングサービスやレンタルサーバーのプランによっては、ワンクリックでステージング環境が作れる機能があることも。自動で本番環境からステージング環境へデータをコピーできるサービスも存在します。 - 変更内容の確認と承認
新しい機能を追加したりデザインを変更した場合、ステージング環境で十分に動作確認をしたうえでクライアント側の承認を得てから本番サイトに反映する流れが理想です。 - トラブルシューティングの迅速化
ステージング環境でエラーが再現するかどうか確認することで、本番サイトに影響を及ぼすことなく問題解析が進められます。
4. 多言語展開の可能性
グローバル展開を視野に入れている企業の場合、WordPressの多言語プラグイン(例:WPML、Polylangなど)を活用し、外国語ページを用意するケースがあります。多言語対応を念頭に置く場合は、制作の初期段階で以下のポイントを検討しておきましょう。
- URL構造
/en/ や /de/ のようにサブディレクトリを分けるのか、サブドメインを使うのか、ドメイン自体を変えるのか。 - 翻訳手法
専門の翻訳会社や翻訳者を手配するのか、機械翻訳をベースにチェックを行うのか。 - 言語スイッチの導線
ユーザーが日本語から英語へ、英語から日本語へスムーズに切り替えられるUI設計。
多言語対応の範囲が広いと、制作コストや運用コストも増えるため、優先度を見極めたうえで段階的に拡張していくと良いでしょう。
5. ECサイト・予約システムの導入
WordPressはブログやコーポレートサイトだけでなく、ECサイトや予約システムなど多様な用途に応用できます。WooCommerceなどのプラグインを活用すると、商品販売やオンライン決済に対応したEC機能を比較的容易に追加できます。また、ホテルやイベント向けの予約システムプラグインを組み込めば、予約フォームや空き状況の管理機能を導入することも可能です。
- WooCommerceによるECサイト
世界的に利用されているWordPress向けECプラグインで、拡張機能が豊富。日本向けの決済や配送オプションを設定する際は、対応するプラグインを入れる必要がある。 - 予約・スケジュール管理プラグイン
カレンダー表示や自動返信メール、顧客情報管理など、予約業務に必要な機能をプラグインでカバー。 - セキュリティ・SSL強化
ECサイトや予約システムではクレジットカード情報や個人情報を扱うため、セキュリティ対策は一層重要。万全を期すために、外部の専門サービスや制作会社のサポートを活用するケースが多い。
6. パフォーマンス最適化の具体策
WordPressが抱えやすい問題の一つとして、プラグイン過多や大量のデータにより表示速度が低下する点が挙げられます。ユーザー満足度とSEO評価を高めるためにも、以下の施策を検討しましょう。
- 不要プラグインの整理
使っていないプラグインをアンインストールするだけで、読み込むコード量やデータベースへの負荷が減り、サイトが軽くなる可能性があります。 - 画像最適化
画像が高解像度すぎると読み込みに時間がかかるため、Web用途に合わせたサイズにリサイズし、圧縮率を調整します。 - キャッシュの活用
サーバー側のキャッシュ機能や「WP Super Cache」「W3 Total Cache」などを利用し、HTMLやCSS、JavaScriptファイルをブラウザにキャッシュさせて高速化を図る。 - CDN(Content Delivery Network)の導入
世界各地に分散配置されたサーバーを介して、ユーザーが地理的に近い拠点からコンテンツを取得できるようにする。大量アクセスや海外ユーザーが多い場合に効果的。 - PHPのバージョンアップ
WordPressの動作するPHPのバージョンを最新安定版にすることで、パフォーマンスとセキュリティの向上が期待できます。ただし、テーマやプラグインの互換性を確認したうえで実施しましょう。
7. アクセス解析とPDCAサイクル
せっかくWordPressでホームページを構築しても、アクセス解析を行わなければサイト運営の現状把握や改善策の立案ができません。GoogleアナリティクスやSearch Consoleなどのツールを導入し、以下の項目を定期的にチェックしましょう。
- アクセス数(PV、セッション)
全体的なサイト訪問のボリュームを把握し、増減があれば要因を分析する。 - 流入経路
オーガニック検索・SNS・広告・リファラルなど、どこからユーザーが流入しているかを見極めることで、集客施策の方向性が分かる。 - コンバージョン率
問い合わせフォーム送信や商品購入など、サイトにおけるゴールを設定し、その達成率を追いかける。 - 検索キーワードの傾向
Search Consoleなどで、ユーザーがどんなキーワードでサイトを訪れているかを分析し、新たなコンテンツ制作やSEO強化につなげる。
アクセス解析の結果を基に定期的にサイトやコンテンツを改善し、PDCAサイクルを回していくことで、WordPressサイトの価値を着実に高めることができます。
WordPress導入後の効果測定と改善施策
WordPressによるホームページが完成しても、運用を継続する中でさまざまな問題や改善点が浮かび上がってきます。ここでは、公開後のサイトをより効果的に育てていくための施策を詳しく解説します。
1. 定期的なサイト監査(サイトヘルスチェック)
WordPressは常に進化しており、テーマやプラグインも更新され続けます。そのため、半年や1年といったスパンで「サイト監査」を行い、機能面・デザイン面・コンテンツ面のチェックをすることが推奨されます。
- 機能面
- プラグインの互換性: アップデートにより動作しなくなった機能がないか、エラーログを確認する。
- PHPやサーバーのバージョン: 最新バージョンに対応していないとパフォーマンスやセキュリティで不利になる。
- デザイン面
- ブラウザ互換性: 新しいバージョンのブラウザやOSでレイアウト崩れが起きていないか。
- ユーザビリティ: フォントの読みやすさやボタン配置など、UI/UXを継続的に見直す。
- コンテンツ面
- 情報の鮮度: 製品リストやメンバー紹介など、古くなった情報を更新する。
- 内部リンクの再点検: 関連するページや記事をしっかりリンクし合い、SEOとユーザー利便性を向上させる。
サイト監査結果の活用
監査によって洗い出された課題は、タスク管理ツールなどで共有し、優先度を付けて対処していくとスムーズです。重要度や緊急度が低いものは次回アップデート時の対応に回すなど、計画的に運用すれば無理なくサイト改善を進められます。
2. コンテンツマーケティングの強化
WordPressが得意とするブログやお知らせの投稿機能は、コンテンツマーケティングに最適なプラットフォームでもあります。中小企業が大手と差別化を図るには、自社独自の専門知識やノウハウを活かし、読者にとって価値のある記事を継続的に発信することが効果的です。
2-1. コンテンツテーマの設定
読者の興味・ニーズを考え、以下のようなテーマを軸に記事を作成します。
- 業界の最新トレンド・ニュース解説
業界専門誌や学会、展示会などで得られる情報を自社の見解とともに発信する。 - 事例紹介や活用事例
自社商品・サービスが顧客の課題をどのように解決したか、具体的なエピソードを盛り込む。 - 社員や経営者の声
企業文化や理念を伝えるストーリー性の高いコンテンツは、信頼感や共感を生みやすい。
2-2. 記事執筆のコツ
- 見出し構成: タイトル(H1)から段階的にH2、H3と設計し、読みやすさを高める。
- 導入部分の要約: 冒頭で内容を要約し、読者が得られるメリットを端的に示す。
- 具体例の活用: 理論だけでなく、実例や数字を交えて説得力を高める。
- オリジナル画像や図表: 表やイラスト、写真などを用いて視覚的に理解しやすい記事づくりを心がける。
2-3. 継続的な運用体制
コンテンツマーケティングは一朝一夕には成果が出にくい取り組みです。週1回や月2回など、無理のない更新頻度を設定し、定期的に投稿を続けることで、検索エンジンからの評価が徐々に高まります。また、定期的に過去記事をアップデートし、古い情報をリフレッシュすることも効果的です。
3. ソーシャルメディアとの連携強化
WordPressサイトで発信した情報を、SNSなどの外部プラットフォームでも拡散することで、より多くのユーザーにリーチできます。SNSとWordPressを連携させる具体的な方法を見ていきましょう。
3-1. 投稿の自動共有プラグイン
「Jetpack」や「Nelio Content」など、投稿した記事を自動的にFacebookやTwitter、LinkedInなどにシェアしてくれるプラグインがあります。特に運用担当者が少ない企業にとって、自動連携は手間を減らすうえで有効です。
3-2. SNS用メタデータの設定
SNSに記事URLを投稿した際、適切なサムネイル画像とタイトル、概要が表示されるよう「Open Graph」や「Twitter Cards」の設定を整えておきましょう。SEOプラグインとして有名な「Yoast SEO」や「All in One SEO Pack」などでは、SNS向けのメタ情報を手軽に管理できます。
3-3. SNSでのコミュニケーション
SNSアカウントを開設するだけでなく、ユーザーからのコメントやメッセージに対してこまめに返信することで信頼感が高まります。ホームページで行う情報発信との相乗効果を生むために、SNS運用の担当者やポリシーを決めておくとよいでしょう。
4. フォーム最適化とコンバージョン向上
問い合わせフォームや資料請求フォームなど、企業サイトではユーザーがアクションを起こしやすいフォーム設計が重要です。WordPressでは「Contact Form 7」や「Gravity Forms」など、機能豊富なフォームプラグインを活用できますが、以下の点に注意が必要です。
- 入力項目の絞り込み
フォームが長すぎたり、不要な情報を求めたりすると、ユーザーは途中で離脱してしまいます。最低限の情報だけを求め、簡潔にまとめましょう。 - 必須項目と任意項目の明確化
氏名や連絡先など必須にすべき項目と、用途によっては任意でもよい項目を分け、ユーザーの負担を減らします。 - 入力支援機能
住所の自動補完やリアルタイムバリデーション、電話番号やメールアドレスの形式チェックなどを導入し、ユーザーの入力ミスを防ぎやすくします。 - 確認画面の有無
ユーザーに誤入力をさせないため、送信前に確認画面を設けるかどうか検討します。スピード重視のフォームでは確認画面を省略するケースもありますが、重要な問い合わせ内容の場合は確認画面があったほうが安心です。
フォームの送信率を向上させるには、実際にどれだけのユーザーがフォームにアクセスし、送信完了に至ったかといったデータを解析しながら、継続的に改善していくことが欠かせません。
5. セキュリティの先取り施策
前述したようにWordPressは世界中で利用されているため、攻撃の標的になりやすいのも事実です。基本的な対策に加え、今後想定される攻撃手法に対しても先回りして対応を検討することが大切です。
- 強力なWAF(Web Application Firewall)の導入
不審なアクセスを自動的にブロックする仕組み。レンタルサーバー側で提供されている場合もあるため、オプションや設定状況を確認する。 - Two-Factor Authentication(2FA)の活用
通常のID・パスワードに加え、ワンタイムコードを用いてログインする方式。管理画面への不正アクセスを大幅に減らせる。 - 国別IPブロック
サイトのターゲットが日本国内のみの場合、海外からのアクセスを一部制限する方法も考えられる。ただし、正規ユーザーを誤ってブロックするリスクもあるため、慎重な設計が必要。 - 定期的なセキュリティスキャン
ウイルスやマルウェアが仕込まれていないかを専門ツールやプラグインで検査する。何か異変があればすぐに対処できるようにアラート設定を行う。
6. 依頼先との長期的なパートナーシップ
ホームページは「作って終わり」ではなく、長期的に運用しながら育てていく資産です。場合によっては、要望や市場環境の変化に応じて新機能を追加したり、デザインをリニューアルすることもあるでしょう。依頼先と長い付き合いが見込まれるのであれば、以下の点にも注目してパートナーシップを築くことが得策です。
- コミュニケーションの柔軟性
緊急の対応や突発的な修正依頼が発生した場合に、迅速に連絡が取れて柔軟に動いてもらえるかどうか。 - 継続的な改善提案
トレンドや技術が進化する中で、依頼主側が気づいていない改善ポイントを積極的に提案してくれる制作会社やフリーランスは心強い存在です。 - 追加費用・保守契約の明確化
長期運用に伴い、追加機能や改修が発生する場合の費用モデルや、保守契約の範囲について事前にしっかり合意しておくと、後々のトラブルを防ぎやすいです。
7. スキル移転と社内ノウハウ蓄積
運用担当者が交代しても、スムーズにサイト運営を続けられるよう、「社内にWordPress運用のノウハウを蓄積する」仕組みを作っておくと安心です。たとえば、運用マニュアルをまとめた社内Wikiを整備したり、運用担当が定期的に集まって情報共有を行うなどの体制づくりが挙げられます。
- マニュアル作成
基本的な管理画面の使い方や、トラブルが起きたときの対処法をドキュメントや動画で残す。 - 勉強会やトレーニング
フリーランスや制作会社に講師として来てもらい、WordPressの操作方法や最新動向をレクチャーしてもらう。 - ナレッジ共有ツールの活用
社内チャットやプロジェクト管理ツールで、運用に関するQ&Aや解決事例を集積し、ナレッジベースを構築する。
こうした取り組みを行うことで、サイトの運営担当が変わった際もノウハウが途切れず、スムーズに引き継ぎが可能となります。
8. 最新テクノロジーへの対応
Webの世界は日進月歩で、新しい技術やサービスが次々と登場しています。WordPressもプラグインやテーマを通じて新しいテクノロジーへの対応が比較的容易なため、ビジネス拡大やイノベーションに役立つ機能を導入しやすいのが特徴です。
- Webアクセシビリティ対応
すべてのユーザーが快適に情報へアクセスできるよう、色のコントラスト設定やテキスト読み上げへの配慮を行う動きが高まっています。 - PWA(Progressive Web Apps)
WordPressサイトをアプリのように扱えるPWA対応プラグインも存在します。オフライン閲覧やプッシュ通知など、スマートフォン向けの新たな体験を提供できる可能性があります。 - AIやチャットボット連携
近年では問い合わせ対応や商品レコメンドなどにチャットボットを活用するケースが増えています。プラグインの導入やAPI連携で、顧客体験を向上させる試みも実施しやすいです。
新しい技術を取り入れる際は、メリットだけでなく運用コストやリスク(不具合やセキュリティ面)も考慮したうえで、段階的に導入することが望ましいでしょう。
これまで解説してきたように、WordPressを活用したホームページ制作は、依頼方法や進行管理だけでなく、公開後の運用・改善が成功の大きなカギとなります。以下の「まとめ」で、本記事の要点を整理して締めくくりましょう。
まとめ
WordPressは世界的に利用されるCMSであり、中小企業のホームページ制作にも大きなメリットをもたらします。デザインや機能面の柔軟性、運用のしやすさ、情報発信の効率性など、多岐にわたる利点を最大限に引き出すためには、以下のようなポイントを意識することが重要です。
- 制作依頼前の準備: サイトの目的・目標、予算、スケジュール、運用体制などをあらかじめ整理する。
- 適切なパートナー選定: Web制作会社やフリーランスの実績・得意分野をチェックし、コミュニケーションとサポート体制も含めて総合的に判断する。
- 要件定義・見積もりの明確化: 必要な機能やページ構成を具体的に伝え、見積もりの内訳や契約内容をしっかり確認する。
- 進行管理とスケジュール調整: ステージング環境やプロジェクト管理ツールを活用し、定期的なレビューとバッファを確保してトラブルを回避する。
- 運用・保守の充実: 更新担当者の確保、セキュリティ対策、バックアップ、バージョン管理などを継続的に実施する。
- SEO・コンテンツ戦略: キーワード選定やコンテンツ更新、SNS連携などを組み合わせ、継続的にサイトの価値を高める。
- 定期的な監査と改善: アクセス解析やサイト監査を通じて問題点を洗い出し、改善施策を打ってPDCAサイクルを回す。
こうした流れを踏まえてWordPressのホームページ制作を進めれば、企業の魅力を効果的に発信できる頼もしいプラットフォームに育てられるでしょう。ホームページは企業の“顔”であると同時に、見込み顧客を呼び込み、ビジネス機会を創出する大切な資産です。ぜひこの記事を参考に、失敗を防ぎつつ、理想のホームページを形にしてみてください。
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