スマホ撮影の商品写真をプロっぽく見せるテクニック

スマホ撮影で商品写真を活かす意義

ネットショップなどで商品を販売していると、画像は文章以上に強い訴求力を持ちます。特に中小企業が限られたリソースの中で商品をアピールする場合、プロのカメラマンやスタジオを借りるコストをかけるのは難しいこともあるでしょう。そこで役立つのが、日常的に使っているスマートフォンです。

スマートフォンのカメラ性能は年々向上しており、工夫次第で一眼レフに近いクオリティの写真を撮影できます。実際、撮影前の準備やちょっとしたテクニックを押さえるだけで、商品の魅力をしっかりと伝える写真を作り出せます。スマホ撮影の最大のメリットは「いつでもどこでも手軽に撮影ができる」点です。たとえスタジオや専門機材がなくても、基本の知識を知っておけば十分にプロっぽいクオリティに仕上げられます。

ここでは、スマホ撮影ならではの簡便さを活かしながらも商品写真の質をグッと引き上げるためのコツを順番に解説していきます。どれも特別なお金をかけなくても実践しやすい内容なので、ぜひ試してみてください。

スマホカメラの基本設定と特性

スマートフォンのカメラは一眼レフと異なる仕組みで作られています。基本的にはオートフォーカス、オート露出が主体ですが、機種によってはマニュアルモードに近い設定が可能な場合もあります。撮影前に一度カメラアプリの設定画面を確認し、最低限調整できる項目を把握しておきましょう。

スマホカメラの主要な設定項目

設定項目内容ポイント
ホワイトバランス写真の色味を調整する機能照明の種類によって自動で変わりやすい
露出補正明るさの度合いを上下させる機能被写体が明るすぎる、暗すぎる時に微調整
フォーカスピントを合わせる商品の中心部分をタップしてフォーカス固定
解像度(画質)写真のサイズや画素数を設定最高画質で撮影し、編集でサイズを調整する

1. ホワイトバランス

スマホではオートホワイトバランスが主流ですが、照明環境によっては色が偏ることがあります。商品の色味が正確に伝わるように、特に白い背景や商品の多い撮影ではホワイトバランスをこまめにチェックしましょう。

2. 露出補正

明るい場所で商品のディテールを写し込みたいなら露出補正を少しマイナスに、逆に暗い場所で商品が沈んでしまうならプラスにするなど、状況に応じて微調整を行います。オート撮影に頼りすぎず、被写体をしっかり見ながら調整を加えるだけで写真の見映えはぐっと変わります。

3. フォーカス固定

撮影時は商品の一番魅せたい部分にフォーカスを合わせましょう。たとえばラベルに特徴がある商品であれば、ラベルの文字がしっかり読めるようにタップし、焦点を固定するのが鉄則です。

4. 解像度(画質)

ネットショップに載せる写真だからといって最初から小さなサイズで撮影してしまうと、拡大表示したときに画像が粗くなる原因となります。基本的にはスマホが対応する最高画質で撮影し、必要に応じて編集やアップロード段階でサイズを変更するとよいでしょう。

背景と照明の工夫

本格的な撮影スタジオがなくても、背景と照明の工夫次第で驚くほど印象を変えることができます。大切なのは「商品の魅力を邪魔しない」シンプルさと「色や輪郭を際立たせる」明るさです。

背景の選び方

  1. 無地(白や淡い色)
    商品のシルエットや色味をはっきり見せたい場合は、無地背景が基本です。白や淡いグレーを使うことで、商品の特徴を引き立てられます。
  2. ウッドテーブルや布
    温かみのある雰囲気を演出したいなら、木目調のテーブルやファブリックを背景にしてみましょう。ナチュラルな印象を与えたい商品に向いています。
  3. 反射板や背景紙を利用
    完全に背景を白にして影を極力抑えたい場合には、白い紙を使ったり、安価な背景紙やレフ板を利用するのも効果的です。

照明のポイント

商品の質感を際立たせるためには、光源の位置や明るさに注意します。自然光を取り込めるなら窓際で撮影すると、柔らかい光を使って商品の立体感を出せます。さらに、白いレフ板(または大きめの白い紙)を商品の反対側に置くことで、影を軽減できます。

もし自然光が取りにくい環境であれば、手持ちのLEDライトやデスクライトを活用しましょう。直接ライトを当てると影が強く出る場合があるため、光を拡散させる工夫が必要です。トレーシングペーパーや薄い布でライトを覆い、柔らかい光を作ると、商品の表面にきれいなハイライトが乗ります。

下記の表は、一般的に使いやすい照明例とその特徴をまとめたものです。

照明タイプ特徴注意点
自然光柔らかく自然な色味を再現しやすい天候・時間帯で光量が安定しにくい
LEDライト光量を確保しやすく色温度調節可能直射すると影が強くなるので必ず拡散が必要
デスクライト手軽に導入できる光源が小さいため、影がくっきり出やすい
リングライト近距離撮影で影を抑えやすい光が正面から当たるので平面的に見えやすい可能性

プロっぽい構図とアングルのコツ

スマホ撮影では、構図とアングル次第で商品の見え方が大きく変わります。初心者が陥りがちなのは「商品の全体像だけを真っ正面から撮る」パターンです。確かに正面からの写真も必要ですが、それだけでは商品の魅力が十分に伝わらないかもしれません。

構図の基本パターン

  1. 三分割法
    画面を縦横に三等分した線の交点に商品の見どころを配置するだけで、バランスの良い写真になりやすいという手法です。多くのスマホカメラアプリで「グリッド表示」をオンにできるので、積極的に活用しましょう。
  2. 余白を大胆に使う
    商品の周りにスペース(ネガティブスペース)を作ることで、商品そのものを強調する手法です。シンプルな背景を用いれば、より商品の存在感が際立ちます。
  3. パースペクティブを活かす
    やや斜め上から撮るなど、少し角度をつけると商品の立体感が強調され、見る人の興味を引きやすくなります。特に高さのある商品や独特な形状を持つ商品に効果的です。

アングルを変えるメリット

  • 正面アングル: 全体の形を正確に見せられるが、平面的になりがち
  • 斜めアングル: 商品の奥行きや厚み、質感が伝わりやすい
  • 俯瞰(真上)アングル: 食品や複数アイテムを並べたシーンに適しており、雰囲気をまとめて伝えられる
  • 低い位置(ローアングル): 高さがある商品をより大きく、迫力を持って見せたいときに有効

複数アングルの写真を組み合わせて掲載すれば、ユーザーは商品を多角的にイメージしやすくなります。

アプリや編集ソフトを活用した後加工

撮影後の後加工は、写真のクオリティをさらに高めるための大事な工程です。簡単な明るさ調整や色味補正だけで、見た目が劇的に良くなることも珍しくありません。ただし、商品の実物とかけ離れたレタッチをすると、実際に届いた商品とのギャップを生む原因になるので注意が必要です。

代表的な編集項目

  1. 明るさ・コントラスト
    暗く写ってしまった写真は明るさを上げ、商品の輪郭をはっきり見せたいときはコントラストを少し高めると効果的です。
  2. 色温度・色調
    写真が黄ばんだり、青っぽくなった場合には色温度を調整し、商品の実際の色に近づけます。極端に寒色・暖色に振り切らないよう注意しましょう。
  3. トリミング・回転
    構図や水平がずれている写真は、編集ソフトでトリミングや回転を加えて修正します。商品の中心がしっかりと画面の要所に収まるようにしましょう。
  4. フィルター
    SNS向けに印象的な画像を作りたいなら、フィルターを使用するのも有効です。ただし、ネットショップの商品写真として使う場合は、実物の色と乖離しすぎないように微調整に留めるのがおすすめです。

編集ソフトやアプリの例

アプリ・ソフト特徴注意点
スマホ内蔵編集機能すぐ使えて簡単高度な調整はできない場合がある
無料系写真編集アプリフィルターやスタンプ機能が豊富過度な装飾にならないよう加減が必要
有料系プロ向けアプリレイヤーやRAW編集などが可能機能が多い分、扱いに慣れが必要
PC用写真編集ソフト高度なレタッチが可能PCが必要なため手軽さはやや劣る

ネットショップに掲載する写真か、SNSで拡散を狙う写真か、用途によって使うアプリを使い分けると効率的です。

シーン別の撮影事例・具体例

ここでは、よくある商品の種類別に、スマホ撮影ならではの工夫と具体例を挙げます。商品ごとに最適な撮り方は異なるため、ぜひ応用してみてください。

1. アパレル商品

アパレル商品の場合は、シルエットや生地感を伝えることが重要です。

  • 背景: 白などの無地背景で、服の形が分かりやすいようにハンガー掛け撮影をする。
  • 構図: 全体図だけでなく、袖口や刺繍部分などディテールのアップも撮影。
  • 照明: 生地のシワが目立ちすぎないように柔らかい光を使う。直射日光は避ける。

2. 小物雑貨

小さな雑貨やアクセサリーは、ピント合わせと配置がポイントです。

  • 背景: シンプルな紙や布の上に商品だけを置き、周囲に余計なものを置かない。
  • 構図: 複数の同系列アイテムを並べる場合は、色ごとにまとまりを持たせる。
  • 照明: 影が強く出ないように、やや斜め上からライトを当てるか、自然光を使う。

3. 食品・飲料

食品写真は色味と「おいしそう」に見せる演出がカギです。

  • 背景: ナチュラルな木目や落ち着いた色味の背景で撮ると、食材の色が引き立つ。
  • 構図: 断面がある場合は断面を見せる。トッピングや盛り付けをきれいに整える。
  • 照明: バランスよく光を回す。反射やテカリをうまく利用して瑞々しさを演出。

4. 家電・ガジェット

機械的なフォルムやボタンの配置など、機能性を伝えやすく撮る必要があります。

  • 背景: 無機質な白背景、または黒背景で商品が引き立つように。
  • 構図: ボタン部分や端子部分などユーザーが気になる箇所をアップで撮影。
  • 照明: 反射を抑えるために角度を工夫し、必要であれば拡散光を使う。

まとめ

スマホ撮影で商品写真をプロっぽく見せるためには、以下のポイントが重要です。

  1. スマホカメラの特性と設定を理解する
    オート撮影に頼るだけでなく、ホワイトバランスや露出補正、フォーカスを状況に応じて調整することで、商品をより魅力的に写し出せます。最高解像度で撮影して編集時にサイズを調整するなどのひと手間も大切です。
  2. 背景や照明を工夫する
    白や淡い色の背景で商品の色を引き立てたり、木目や布で温かみを演出するなど、商品にあった背景を選びます。照明は自然光やLEDライト、デスクライトなどを活用し、光の拡散や角度調整で影の出方を制御しましょう。
  3. 構図とアングルで魅力を引き出す
    ただ真っ正面から撮るだけでは平面的に映りがちです。三分割法を意識したり、やや斜めから撮って奥行きを強調するなど、多様なアングルから商品を捉えることで、多面的な魅力を伝えられます。
  4. 適切な編集で仕上げる
    撮影後に明るさ・コントラスト、色温度などを微調整するだけで写真のクオリティが向上します。ただし過度なレタッチは、実際の商品とのギャップを生みかねないので注意してください。
  5. 商品の種類や用途に合わせた撮影プランを立てる
    アパレル、食品、家電など、それぞれ商品の特性に応じて背景や構図、照明の当て方が異なります。事前にどう見せたいかをイメージしながら撮影準備をすることが、プロっぽい仕上がりへの近道です。

スマホの手軽さを活かしつつ、これらのポイントを押さえれば、十分に質の高い商品写真を撮影できます。地道に撮影・編集を重ねていくうちに、自分ならではのスタイルも確立できるでしょう。ネットショップやSNSで商品の魅力を伝える際に、ぜひ活用してみてください。

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