検索ボックスをサイトに付けたい中小企業が押さえるべきポイント

検索機能を強化する重要性

中小企業のウェブサイトでは、最初は商品やサービス案内、会社概要など、比較的少ないページ数からスタートするケースが多いものです。ところが、事業拡大やサービス追加に伴いコンテンツ量が増えるにつれ、利用者が求める情報をスムーズに見つけられない状況が発生しやすくなります。特に新着情報やブログコンテンツなどを定期的に更新している場合、古い情報から新しい情報までサイト内に分散し、適切な導線を用意しないと、ユーザーがページを探し当てるのに苦労する可能性が高まります。

こうした問題を解決する有効な方法が、サイトに検索ボックスを設置して、ユーザーが入力したキーワードをもとに必要なページへ案内する仕組みを整えることです。検索機能を充実させることで、以下のようなメリットが期待できます。

  • ユーザビリティの向上
    知りたい情報をキーワード検索で素早く見つけられるため、ユーザーのストレスを軽減します。
  • サイト滞在時間の向上
    必要なページを見つけやすいサイトは利用者に好まれ、結果的に直帰率が下がり、滞在時間が伸びやすくなります。
  • リピーターの増加
    「このサイトは検索しやすい」と好印象を抱くユーザーは再訪しやすくなり、ファンやリピーターの獲得につながります。
  • SEO的な効果の期待
    内部リンク構造をユーザー自身が活用しやすくなることで、結果的にサイト全体の回遊性が高まり、検索エンジンからの評価向上に寄与する可能性があります。

特に中小企業では、限られたリソースの中でコンテンツの拡充を行うケースが多いでしょう。その際、ユーザビリティやサイト内の導線設計が後回しになりがちです。検索ボックスを導入・強化することは、こうした抜け漏れを補ううえで大きな役割を果たします。

WordPress標準検索の特徴と課題

WordPressを使って企業サイトを構築している場合、標準機能として検索ボックスのウィジェットが用意されています。しかし、標準検索機能には以下のような課題も指摘されています。

  1. 検索結果の精度が低い
    タイトルや本文テキストからキーワードを単純照合するだけのため、意図したページが上位に表示されにくい場合があります。
  2. フィルタリング機能の不足
    特定のカテゴリーのみを検索対象にする、特定の投稿タイプだけを絞り込むといった詳細な検索条件を設定しづらいです。
  3. UIのカスタマイズの難易度
    検索結果ページのデザインや表示項目を細かくカスタマイズしたい場合、テーマファイルの編集が必要となり、初心者にはハードルが高く感じられます。
  4. 追加機能の拡張性が限定的
    サジェスト機能(入力途中で候補が出る機能)やリアルタイム検索など、高度な検索を求める場合、標準機能では不十分です。

中小企業においては、余計なコストや時間をかけずにサイト運用を行いたいという思いが強いでしょう。WordPress標準機能は導入が簡単で初期コストがかからない反面、検索制度や機能面が限定的であり、コンテンツ量が増えた段階では不便が生じることも多いです。このため、早めにサードパーティ製の検索プラグイン導入を検討する企業も増えています。

サードパーティ製プラグインの検討ポイント

WordPress向けにはさまざまな検索プラグインが存在し、それぞれ特徴や価格形態が異なります。導入する際の検討ポイントは以下の通りです。

検索精度・アルゴリズム

製品によっては文章中のキーワードに対するシノニム(同義語)検索や曖昧検索機能を持つもの、タグやカスタムフィールドを含めて検索できるものなど、多彩な機能があります。どの程度の精度と柔軟性が必要かを事前に把握しましょう。

パフォーマンスへの影響

高度な検索プラグインは検索インデックスをサイト内部に構築したり、外部サービスと連携して検索結果を高速化したりする場合があります。ただし、プラグインによってはサーバー負荷が高くなるケースもあるため、サイト速度を低下させない設計かどうかを確認することが大切です。

カスタマイズ性

検索結果ページや検索ボックスの見た目を自由に変更したい場合、プラグイン側がテンプレートを提供しているか、管理画面で設定を容易に行えるかをチェックする必要があります。企業イメージに合わせたデザインや表示項目の変更が簡単に行えると、管理コストを抑えつつブランドイメージを守れます。

サポート体制

プラグインの使い方や不具合時に相談できるサポート体制があるか、ドキュメントが充実しているかを確認しましょう。万が一のトラブルでサイトが停止するリスクを考えると、安心して利用できるサポート窓口の有無は大きな要素となります。

コスト

無料プラグイン、買い切り型、有料サブスクリプションなど、さまざまな料金形態があります。初期費用だけでなく、将来的なバージョンアップやサポート費用を含めたトータルコストで比較しましょう。

下記の表は、WordPress標準検索とサードパーティ製プラグインをおおまかに比較した例です。

項目WordPress標準検索サードパーティ製プラグイン
導入コスト0円 (標準装備)無料/有料さまざま
検索精度単純照合のみ同義語検索や曖昧検索など多機能なものも
カスタマイズ性低い高い (プラグインによる)
パフォーマンス比較的軽い選択プラグインによって異なる
サポートWordPress公式開発元のサポートやコミュニティ

導入手順と運用のコツ

導入前の準備

  1. 要件の洗い出し
    自社サイトでどのような検索機能を提供したいのか明確にします。検索対象は投稿のみか、カスタム投稿タイプまで含めるか、カテゴリー絞り込みやタグ検索が必要かなど、具体的に考えておきましょう。
  2. プラグインの選定
    要件に合うプラグインを複数ピックアップし、レビューや導入実績、アップデート頻度などを比較検討します。
  3. バックアップの実施
    新しいプラグインを導入するときは、万一に備えてサイト全体のバックアップを取っておくと安心です。

インストールと初期設定

  1. プラグインのダウンロード・インストール
    WordPress管理画面から「プラグイン」→「新規追加」を選択し、目的のプラグインを検索してインストールします。もしくはプラグイン提供元のサイトからダウンロードして手動インストールも可能です。
  2. 基本的な設定
    有効化後、プラグイン専用の設定画面で検索対象の投稿タイプや表示形式、言語の設定などを行います。
  3. 表示位置やスタイルの調整
    プラグインによっては検索ボックスのウィジェットやショートコードが用意されており、サイトの任意の場所に貼り付けできます。デザインのカスタマイズ方法はプラグインごとに異なるので、管理画面のオプションやテーマのCSSを確認しましょう。

運用のポイント

  • 定期的なキャッシュクリア
    プラグインが独自にインデックスやキャッシュを作成する場合、定期的に更新しないと古い情報が残ってしまい、検索結果に反映されない恐れがあります。
  • 機能追加・アップデートのチェック
    プラグイン側で新機能がリリースされたら、サイトのニーズに合うかどうか確認しましょう。アップデートによりバグ修正やセキュリティ強化が行われることも多いです。
  • デザインと使い勝手の見直し
    検索ボックスの配置や、検索結果の表示形式がユーザーにとってわかりやすいかを定期的にチェックして改善することが大切です。

下記は、検索プラグイン導入のメリットとデメリットを簡単にまとめた表です。

メリットデメリット
ユーザビリティが向上し、サイト内回遊率が高まるプラグインによってはサーバー負荷が増え、表示速度に影響が出る
検索結果の精度向上により、求める情報に素早く到達できる無料プラグインの機能に限界があり、有料版へ移行が必要な場合も
サジェスト機能など高度な検索オプションが使える設定やデザインカスタマイズに時間がかかることがある
ブランドイメージやサイト設計に合わせて自由に調整可能プラグイン間の競合が発生すると、互換性問題が起きるリスクがある

実装事例や活用アイデア

検索ボックスを活用する方法は単に記事を探すだけにとどまりません。以下のような実装アイデアがあります。

商品検索・フィルタリング機能を強化

ネットショップを運営している中小企業であれば、商品カテゴリーや価格帯、サイズなど複数の条件で絞り込み検索を可能にすることで、購買意欲の高いユーザーを迅速に目的の商品へ誘導できます。WordPressのカスタム投稿タイプと連携する検索プラグインを活用すれば、より細かい条件検索を実装することが可能です。

カスタムフィールドを活用

サービス情報を細かい項目ごとに登録している場合、各ページのカスタムフィールドを検索対象に含めると、ユーザーが詳細条件で検索できるようになります。たとえば「サービス対応地域」や「導入事例の業種」など、一般的にはタグではなくカスタムフィールドに登録されがちな情報でも、検索結果に反映させられます。

FAQ検索

問い合わせが多いFAQページを設けている中小企業であれば、FAQのカテゴリだけを対象に検索できる仕組みを作ると顧客サポートの負担軽減につながります。よくある質問への回答を迅速に探せることで、ユーザーの満足度も高まるでしょう。

トラブルシューティングや改善策

プラグイン同士の競合

WordPressサイトでは多くのプラグインを組み合わせていることが珍しくありません。検索プラグインとキャッシュ系プラグイン、セキュリティプラグインなどが干渉すると、検索結果が表示されなくなったり、設定が反映されなかったりする場合があります。競合が疑われる場合は、一時的に該当プラグインを無効化して問題の切り分けを行いましょう。

サイト表示速度の低下

サーバーのスペックやプラグインの動作方式によっては、検索処理が重くなりサイト表示速度が落ちることがあります。検索機能によって利用するリソース量が増えた場合は、以下の対策を検討してください。

  • サーバーのスペックを向上
    レスポンスが遅いと感じる場合、上位プランへの移行やより性能の高いサーバーへの引っ越しを検討します。
  • キャッシュの活用
    ダイナミック検索以外のページはキャッシュを活用することで、全体のパフォーマンス低下を最小限に抑えることができます。
  • 外部検索サービスの利用
    インデックス作成や検索プロセスを外部サーバーで処理するプラグインやサービスもあります。自社サーバーの負荷を抑えられる反面、利用料金が発生するケースもあるので慎重に検討してください。

検索結果の精度に関する改善

  • シノニムの登録
    プラグインによっては、同義語リストを管理画面で登録できる機能があります。ユーザーが入力するキーワードが少し違っても結果を拾えるようにすると、満足度が上がります。
  • 不要ページの除外
    検索結果として表示する必要のないページ(テストページやプライバシーポリシーなど)が紛れ込むと、ユーザーの混乱を招く恐れがあります。プラグイン設定で除外設定を活用して、ノイズを減らしましょう。
  • アナリティクスとの連携
    どのようなキーワードで検索されているのかを把握するために、アクセス解析ツールやプラグインと連携して、ユーザーが入力する検索キーワードを分析するのも有効です。人気のある検索ワードがわかれば、コンテンツ強化のヒントになります。

下記の表に、検索機能導入・運用時の主なチェック項目をまとめます。

チェック項目内容
プラグイン同士の競合検索プラグインを導入する前に他のプラグインとの相性を確認
サイト速度ページ表示速度が大きく落ちないかサーバーと環境を見直す
検索精度設定やシノニム登録によってユーザーニーズに応えられているか
除外ページ・ノイズ対策プライバシーポリシーなど不要ページが結果に混ざらないよう設定
管理画面の使いやすさ担当者の知識レベルでも運用可能な設定・サポート体制があるか
アップデートと保守プラグインやWordPress本体のバージョンアップに常に対応できるか
アナリティクスとの連携ユーザーの検索キーワードを分析し、コンテンツ改善につなげているか

まとめ

中小企業において、サイト内コンテンツを増やすことは新規顧客の獲得やブランド認知の向上に効果的です。しかし、その一方で「情報が多すぎて検索しづらい」となれば、せっかくの情報もユーザーに届きにくくなってしまいます。検索機能の充実はユーザビリティを高めるだけでなく、長期的に見ればサイト全体の評価や売上向上にもつながる可能性を秘めています。

WordPress標準の検索機能が物足りないと感じたら、サードパーティ製プラグインの導入を検討することも十分選択肢となります。要件定義からプラグイン選定、導入後の保守運用に至るまでを一貫して見直すことで、ユーザーがより快適に情報を閲覧できるサイトを実現できるでしょう。

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