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投稿日:2025.03.13  最終更新日:2025.7.23
制作・技術

会社紹介動画撮影を自分で行うときのポイント

1. なぜ今「セルフ動画制作」なのか

  • 広告費を抑えながら信頼感を高めたい
  • 求人市場で“働く雰囲気”を映像で届けたい
  • 展示会・営業先で「30秒で自社がわかる素材」が欲しい

こうした声は、制作会社の見積もり(30万~150万円)を見た瞬間に頓挫しがちです。しかし 2025年現在、スマートフォンの4K撮影性能とクラウド編集アプリの進化 により、社内だけで“十分実用レベル”の紹介動画を作るハードルは劇的に下がりました

本稿では 「外注ゼロでも90点以上」 をゴールに、企画づくりから公開後の活用までを“手順書形式”でまとめました。

2. 内製 vs 外注 ─ 6 指標で徹底比較

評価軸内製(セルフ制作)外注(動画制作会社)
コストスマホ+無料ツールで実質ゼロ~5万円30万~150万円が一般的
制作期間1週間~1か月1か月~3か月
企画自由度撮り直し・方向転換が即日可能契約範囲外は追加費用
クオリティ上限機材・経験に依存(70~90点止まり)撮影・照明・編集がプロ基準(95点以上)
社内学習効果ノウハウが残り、次回以降コスト減社員スキルは伸びにくい
運用/更新バージョン違いを即日制作可追加修正で日数+費用発生

結論: まずは“最小構成”で内製し、反応を見て外注アップグレードが鉄板。

3. ゴール設計 ― “誰に”“何を”伝え、どう行動してほしいか

  1. 目的を 1 文で書く
    • 例)「トップページでの滞在時間を10秒伸ばし、資料請求率を3%→5%にする」
  2. 視聴ターゲットを 1 ペルソナに絞る
    • 例)「地方で製造業を探す30代購買担当」
  3. KPI を 2 段階で設定
    • 一次:再生完了率60%以上
    • 二次:動画経由フォーム送信50件/月
  4. コアメッセージを 15 字で決める
    • 例)「100年技術を未来へ」

ここまでがブレると、撮影・編集に入った後で迷走→長期化→挫折になります。

4. 構成テンプレート ― 90秒版・3分版の両対応

4‑1. 90秒ダイジェスト(SNS/展示会ループ再生向け)

内容目的
0‑05秒ロゴ+キャッチコピー認知獲得
5‑25秒事業シーン 3 カット強み訴求
25‑50秒インタビュー(代表 10 秒+社員 15 秒)親近感
50‑70秒実績・数字のテロップ信頼構築
70‑90秒ビジョン+CTA(URL)行動誘導

4‑2. 3分ストーリー(採用・営業資料埋め込み向け)

  1. 課題提示(業界の現状)
  2. 自社の歴史・技術
  3. お客様事例/インタビュー
  4. 社員や職場風景
  5. 将来ビジョン+問い合わせ導線

5. 撮影準備 ― 機材・ロケーション・台本

5‑1. 必要最低限の機材チェックリスト

機材推奨品備考・価格感
スマホiPhone 12 以降/Android 11 以降4K30fps 設定必須
三脚+スマホホルダー2,000〜5,000円ブレ防止の最重要アイテム
ピンマイク(有線可)3,000〜8,000円インタビュー音質向上
LED ライト(2灯)4,000〜15,000円/灯室内影消し+色温度調整
反射板2,000円窓際撮影時の顔明るさ補正

Tip: 機材は“レンタル 1 週間セット”も選択肢(1.5万円前後)。

5‑2. ロケーション選定 3 つのルール

  1. 十分な自然光+静けさ
  2. 会社らしさが伝わる背景(製造ライン・ショールームなど)
  3. 撮影許可の掲示/安全確認(工場内は特に)

5‑3. 台本(絵コンテ)作成

シーン映像音声テロップ
#1外観ドローンショットBGM社名ロゴ
#2代表インタビュー代表 VO「創業70年の××」

A4 1 枚で OK。「秒数」「カット割り」「ナレーション文」を必ず書く。

6. 撮影テクニック ― スマホでも“プロ感”を出す 8 箇条

  1. 解像度 4K/フレームレート 30fps 固定
  2. 手ブレ 0 を目指す:三脚+ゆっくりパン
  3. 光は 45° 斜め前から:顔に陰影を
  4. 背景奥行き 1.5m 以上:被写界深度で高級感
  5. ホワイトバランス固定:色温度 5,500K 付近
  6. 録音は-6dB ピーク:スマホ純正“ボイスメモ”で予備収録
  7. 1 カット 10 秒未満:編集でテンポ良く
  8. 横撮り基本、縦動画は別カメラ:SNS 用バリエーション

7. 編集ワークフロー ― 無料ツールでもここまでできる

7‑1. ツール比較(Windows/Mac/スマホ)

ツール価格特徴
CapCut無料テンプレ豊富・字幕自動生成
iMovie無料(Mac/iOS)操作直感的・4K 書き出し可
DaVinci Resolve無料版あり色調整強力・PC 必須
Canva Video月額1,500円ブラウザ完結・アニメーション簡単

7‑2. 5 ステップ編集

  1. 素材取り込み → タイムライン配置
  2. 不要カット削除 → 3秒ルール(1クリップ最長3秒)
  3. BGM・効果音 → YouTube オーディオライブラリ等で商用可素材
  4. テロップ → メッセージを“15字×2行”以内で
  5. 色補正/音量調整 → 波形-12~-6dB

ワンポイント: 代表インタビューは -24LUFS を基準にラウドネス統一。

8. 著作権・BGM・肖像権 ― 失敗しない法務チェック

項目NG 例対策
BGMSpotify 曲をそのまま使用商用フリー/買切り素材を利用
写真・映像従業員の顔を無許可で公開同意書を Google フォームで取得
ロゴ他社ブランドを無断使用必要なら許諾申請 or モザイク処理
建物・美術公共施設のロビー俯瞰撮影許可を掲示/管理者へ連絡

9. 出力・公開 ─ 最適なファイル設定と配信チャネル

媒体解像度フォーマットビットレートサムネイル比率
自社サイト1920×1080MP4(H.264)8‑10Mbps16:9
YouTube同上同上12Mbps 推奨16:9
Instagram Reels1080×1920MP45‑8Mbps9:16
LinkedIn1920×1080MP48Mbps16:9 or 1:1

サムネイルは「人物の目線+キャッチコピー」でクリック率が平均 1.4 倍。

10. 配信後の効果測定と改善

指標目安改善策
再生完了率50%以上前半10秒に“結論カット”を置く
CTR(サイト遷移率)3%以上終盤CTAを3秒→5秒に延長
視聴者維持率“急降下点”を特定該当カットを差替え or カット
コメント・シェア数競合比 +20%社員が率先して初期コメント

11. よくあるトラブル Q&A

Q1. 撮影したら画面がチラつく。
A. LED 照明のフリッカー。スマホを「50Hz/60Hz」設定に合わせるか、シャッター速度 1/100s 固定。

Q2. BGM とナレーションのバランスが悪い。
A. ナレーションを-6dB、BGM を-24dB 目安。視聴端末で最終確認する。

Q3. 4K は容量が大きすぎる?
A. 編集後に 1080p 20Mbps→8Mbps へ再エンコードで容量半減&画質維持可能。

Q4. 社員がカメラ前で緊張する。
A. スマホを三脚に固定し、スタッフが画面横から質問する「対話形式」を採用すると自然な表情が引き出せる。

12. タスク&スケジュール見本

日程タスク担当
Day1目的設定/台本作成営業MGR
Day2ロケハン/機材チェック総務
Day3撮影(AMインタビュー/PM作業風景)全員
Day4予備撮影/素材整理情報システム
Day5粗編集(カット+BGM)広報
Day6社内試写→修正代表・全社員
Day7最終書き出し→各媒体公開広報

13. まとめ ─ 今すぐ始める 3 ステップ

  1. A4 1 枚の台本を今日書く
  2. 週内にスマホ+三脚を用意し 3 カット試し撮り
  3. 来週頭までに 30 秒版を社内 Slack へ共有しフィードバック

これだけで「動画は無理」と思っていた壁は確実に崩れます。
“まず公開して、あとで磨く”――小さな一歩が、あなたの会社のブランドを大きく動かすはずです。