
ECサイトを移すとき、購入者の名前やメールアドレスを新しい店へ登録できても、同じパスワードでログインできるとは限りません。会員の情報を移すことと、本人確認の方法を引き継ぐことは別の作業です。移行元から何を取り出せるか、移行先が何を受け入れるか、新しい会員画面はどうログインするかを順に確かめ、購入者への案内を用意します。
会員情報とログイン方法を別の欄で確認する
移行表を作るなら、会員のメールアドレス、氏名、配送先、注文履歴と、ログインに使う認証情報を分けます。「会員データを移行」と書かれた見積りだけでは、前のパスワードが使えるか分かりません。注文履歴も、顧客一覧のファイルとは別の移行手順になる場合があります。たとえばShopifyの顧客CSV資料は、顧客情報を取り込めても、他店のパスワードと注文情報は同じCSVでは移せないと説明しています。
パスワードの元の文字列を運営者が取り出して移せばよい、と考えないことも大切です。OWASPのパスワード保存指針は、パスワードを平文で保存せず、一方向のハッシュで扱うことを示しています。購入者に旧パスワードをメールで送ってもらったり、一覧表へ書き出したりする方法は採りません。

新旧サービスの組み合わせで、引継ぎの可否を確かめる
「パスワードは絶対に移せない」とも、「会員を移せばそのまま使える」とも一律には言えません。WooCommerceの公式資料には、WooCommerce同士の移行で対応する拡張を使い、ハッシュ化されたパスワードを保持する方法が記されています。一方、先のShopifyの顧客CSV取込みでは他店のパスワードを移せません。どの拡張やファイル形式を使うか、旧店の認証方式と新店の対応範囲を、実際の組み合わせで確認します。
新しい店がパスワードを使わない会員方式なら、再設定の案内自体が合いません。Shopifyの現在の会員アカウント資料には、メールで届く一回限りの確認コードを使い、パスワードを必要としないログイン方法が示されています。Shopifyでも設定する会員方式によって案内は異なるため、採用する画面を確定してから購入者向けの説明を書きます。

購入者へは、公開後の最初のログインを具体的に案内する
再設定が必要なら、いつから旧サイトへ入れなくなるか、新サイトのどこから手続きを始めるか、メールが届かない場合はどこへ連絡するかを用意します。確認コード方式なら「旧パスワードを再設定してください」ではなく、登録済みメールアドレスでコードを受け取る手順を示します。同じメールアドレスを別の会員が使っている、受信先が古いなど、案内だけでは進めない場合の窓口も決めます。
告知前にはテスト用の会員で、移行後の初回ログイン、再設定や確認コードの受信、配送先などの表示、注文履歴が移る契約ならその表示を確かめます。購入者の実パスワードを確認に使いません。会員だけ移り注文履歴は対象外なら、その違いも案内に書きます。移行当日の切替と案内メールの時期を合わせると、まだ使えない新しい入口へ購入者を送らずに済みます。
Bämの通販・ECサイト制作では、会員・商品・注文データの量と形式を確認して移行を個別に見積もり、パスワードなどそのまま移せない情報があれば先に伝える方針です。現在のサービスと移行先の候補、採用する会員方式が分かれば、ログインの引継ぎと購入者への案内を制作範囲として具体的に決められます。
参考資料
- OWASP:Password Storage Cheat Sheet
- Shopify Help Center:Importing and exporting customer lists
- WooCommerce:Preparing WooCommerce Content For Migration
- Shopify Help Center:Customer accounts
- Bäm:通販・ECサイト制作
資料確認日:2026年9月26日。パスワードの移行可否と初回ログイン方法は、新旧サービスと採用する会員方式の仕様で確認してください。
