海外向け発信に英語サイトは作らないとダメ?

海外向け発信に英語サイトを作る必要性

近年、中小企業が提供するサービスや製品に対して、海外からの問い合わせが少しずつ増えている例は珍しくありません。インターネット経由で日本国内だけでなく、世界中のユーザーが簡単に検索し、アクセスできるようになったためです。しかし、「国内顧客だけでも対応に手一杯なのに、わざわざ英語サイトまで作る必要があるのか?」と疑問に思う方も少なくないでしょう。

結論から言えば、海外からの問い合わせがある場合は、できるかぎり英語での情報発信を整備したほうが良いと考えられます。なぜなら、英語は世界的に最も利用者が多い言語のひとつであり、ビジネスコミュニケーションや検索の主要言語となっているからです。英語ページがないと、興味を持ってくれた海外ユーザーが十分な情報を得られず、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性が高まります。

以下では、英語サイトを作る必要性や得られるメリット、翻訳方法の選び方、さらに制作から運用までのポイントを詳しく解説していきます。

英語サイト制作のメリット・デメリット

英語サイトを作るといっても、中小企業にとっては手間もコストもかかるもの。ここではメリットとデメリットを整理してみましょう。

英語サイト制作の主なメリット

  1. 海外顧客への情報提供が円滑になる
    海外のユーザーが知りたい情報を英語でまとめておけば、問い合わせ内容を減らせる可能性があります。結果的に社内の問い合わせ対応の負荷を下げる効果も期待できます。
  2. 海外市場への信用度が高まる
    企業情報や製品情報を英語で提供しているだけで、「海外顧客にも対応している企業」という印象を与えられ、信頼性が上がります。
  3. SEO効果が見込める
    英語サイトを整備し、海外向けの検索エンジン最適化(SEO)を意識すれば、英語圏のユーザーが「海外から日本製品を探す際のキーワード」で検索したときに見つけてもらいやすくなります。
  4. 国内の外国人ユーザーにも対応しやすい
    インバウンド需要がある業種や、多国籍の従業員が働く職場などで重宝するケースもあります。

英語サイト制作の主なデメリット

  1. 初期コストと運用コストが発生する
    新しく英語ページを作成するには制作費や翻訳費がかかり、公開後もアップデートや運用に手間がかかります。
  2. 翻訳の質や表現に気を遣う必要がある
    自動翻訳を使うにしても、専門用語の表現が正しく伝わるかどうかチェックが欠かせません。ニュアンスの違いや誤訳があると、信用を損なうリスクがあります。
  3. 文化的な背景や法制度への考慮が必要
    国や地域によって文化や商習慣が異なる場合があります。そのまま日本語の情報を英訳しても、内容が伝わりづらいことがあります。

こうしたメリットとデメリットを理解したうえで、自社にとってどれだけの価値があるかを検討することが重要です。

翻訳方法(自動翻訳 vs プロ翻訳)の選択肢

英語サイトを作る際、問題となるのが「どう翻訳するか」という点です。大きく分けて、自動翻訳ツールを活用するか、専門家に依頼するかの2択が考えられます。

以下の表では、代表的な翻訳方法の選択肢を整理してみました。

翻訳手段特徴コスト感品質
自動翻訳ツール無料または低コストで手軽に始められる
短時間で大まかな意味をつかめる
低〜中誤訳・不自然な表現が残る可能性高
プロ翻訳会社(人力)分野に精通した翻訳者が担当
品質チェックや校正がしっかり行われる
中〜高正確で自然な表現を得やすい
ハイブリッドまず自動翻訳でラフに訳し、翻訳者がチェック・リライトを行う中程度誤訳が減り比較的自然な仕上がり
社内担当者自社製品・サービスの理解が深い
社内のリソース次第で翻訳費用を抑えられる
変動(工数次第)社員の英語スキルに左右される

自動翻訳ツールの精度は以前より向上しているとはいえ、専門用語やニュアンスの問題を考慮すると、チェックと修正が必要になるケースが多いです。特に海外の取引先や顧客に対して正式な情報を提供する場合、誤訳が大きな問題を引き起こす可能性もあるため、最終的な品質を担保する工夫が必要です。

コストを抑えるには、社内担当者が下訳を作成し、その後プロに監修してもらう「ハイブリッド方式」が活用しやすい方法のひとつです。まず社内である程度翻訳しておくことで、プロに丸ごと依頼するより翻訳ボリュームを減らし、コストをおさえつつも一定の品質を担保できます。

英語サイト制作・運用の流れ

英語ページを新規に立ち上げる際、基本的には以下のようなステップを踏むことが多いです。運用後の更新作業も含めて、一連の流れを把握しておくとスムーズに進められます。

ステップ主な内容ポイント
目的・ターゲットの明確化海外のどの地域・業種を主なターゲットとするのか決定
サイトの目的を整理
ターゲットに応じた言語・表現を検討
コンテンツの選定どの情報を翻訳・公開するか整理
必要なら追加コンテンツを用意
全ページを訳すか、一部だけにするか方針を決める
翻訳・校正自動翻訳かプロ翻訳か、あるいはハイブリッドか選択
専門用語やニュアンスをチェック
品質重視ならプロ翻訳への予算検討を
レイアウト・デザイン英語での文字量に合わせたデザイン調整
写真やアイコンも必要に応じて差し替え
英語圏ユーザーに合うUI/UXを意識
テスト・公開表記揺れやリンク切れ、動作確認
公開タイミングを調整
社内外からフィードバックをもらうと効果的
運用・更新新商品・サービスの情報を適宜追加
問い合わせ内容からサイト改善を図る
更新頻度に応じた運用体制の確保

多くの中小企業では、日本語サイトを運用するだけでも手一杯かもしれません。しかし、英語サイトを公開して終わりではなく、問い合わせを受けて回答を充実させたり、新しい製品・サービス情報をアップデートしたりする必要があるため、無理なく運用できる仕組みを整えるのがポイントです。

文化・ユーザビリティの考慮ポイント

言語の翻訳が完了しても、英語圏をはじめとする海外市場では文化や商習慣が異なることがあり、デザインやコンテンツの見せ方も工夫が必要です。以下の表は、具体的にどのような点に配慮すると良いかをまとめたものです。

考慮項目内容注意点
デザイン・配色色使いやレイアウトが国によって好みが異なる文字量が増えるとレイアウトが崩れやすい
文化的背景ユーモアや例え話が通じにくい場合がある日本特有の表現をそのまま使うと誤解を招く恐れあり
ユーザビリティ英語圏で一般的なメニュー構造・ナビゲーション大項目の言語表現を分かりやすくする
通貨・法律表記金額表記や契約条件、保証条件などの扱い国ごとに規定が違う場合は注釈が必要
現地のSNS活用日本ではメジャーでないSNSが海外では主流なケースも連携するSNSの種類や更新頻度を検討

たとえば、海外顧客向けに商品を販売する場合は、配送先の国や送料、決済方法の違いをしっかり明記する必要があります。英語であっても米国と英国では表現やスペルが違うケースもあるため、ターゲット国に合わせた表記を使うか、できるだけ汎用的な英語表記を使うか検討するのも重要です。

まとめ

海外からの問い合わせがある中小企業にとって、英語サイトを用意するかどうかは大きな判断になります。確かに英語コンテンツを作成するには、制作費や翻訳費用、運用の手間がかかります。しかし、英語ページを用意することで得られるビジネスチャンスや海外顧客からの信頼感を考慮すると、そのメリットは決して小さくはありません。

また、近年は自動翻訳ツールの活用やハイブリッド方式の翻訳など、コストを抑えながら一定品質を確保できる方法も増えています。まずは「どの国や地域をターゲットにするのか」「どの程度の品質と予算を見込むのか」を明確にしたうえで、必要最低限からでも英語サイトを整備していくのが得策でしょう。完璧な多言語対応を目指さなくても、英語サイトを公開することで海外ユーザーへの初動対応が格段にスムーズになります。

もし国内対応だけで手一杯な状況でも、英語サイトや海外向け情報を整備しておくことで、問い合わせの度に長い英語メールを書く手間を削減できたり、必要な情報をまとめておけたりと、結果的に負担を軽減できる可能性があります。継続的に運用を続けるなかで、海外ユーザーの反応を見つつ少しずつコンテンツを充実させていけば、自然と新たな販路やビジネスパートナーとのつながりが生まれることも期待できます。

英語サイトを作るかどうかで迷っているなら、まずは現状の問い合わせ数や海外顧客が必要としている情報の整理から始めてみましょう。必要なページが把握できれば、優先度をつけて翻訳を進めたり、予算に合わせて段階的にサイトを拡充したりすることができます。焦らず、しかし確実に海外向けの土台を作っていくことが、今後のビジネス展開のチャンスを広げる鍵となるでしょう。

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