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ショッピングカート選びで迷わない! ネットショップ初心者が今日からできるシンプル判断法

はじめに
「ネットショップを始めたいけれど、ショッピングカート(ECカート)が多すぎて選べない」――そんな声を毎日のように耳にします。月額0円からハイエンドまで幅広いプラン、クラウド型・オープンソース型・パッケージ型という提供形態、さらには決済手数料や追加アプリ料金など費用体系もまちまち。
筆者が支援した中小企業でも「安いから」と飛びついたサービスが半年後には容量不足で乗り換え**、あるいは「高機能すぎて操作が難しい」と放置されるケースが後を絶ちません。こうした“選定疲れ”を防ぐには「自社が何を優先したいか」を先に言語化し、そこに合うカートを逆算で探すのが近道です。
本記事では専門用語を極力避けながら、最新のカート事情と具体的な判断フローを紹介します。途中には実際にあった小さなお店のエピソードも織り交ぜるので、ぜひ“自分ゴト”として読み進めてください。
カート選定が難しく感じる主な理由
- サービス数が年々増加している
2025年1月時点で国内外の主要カートは30社以上。比較記事だけでも数百本がヒットし、「結局どこが違うの?」と混乱しやすい。 - 費用構造が複雑
初期費、月額、決済手数料、アプリ課金など項目が多く、総コストをイメージしづらい。 - 機能と操作性のトレードオフ
機能を増やすほど画面は複雑になりがちで、初心者ほど「宝の持ち腐れ」になりやすい。 - “口コミ万能説”の落とし穴
他社の成功事例が自社にマッチするとは限らず、鵜吞みにすると失敗する。
失敗しかけた“街の焼き菓子店”の例
兵庫県で焼き菓子を販売する「ココロブレッド」さんは、SNSで評判の某ASPカートを導入したものの、デザイン変更にはHTML/CSSの知識が必要と判明。結局、業務時間の多くを改修に奪われ、肝心の商品アップが後回しになったそうです。事前に「デザインを自力で触るか」「外注するか」を決めていれば、別の選択肢もあったはず――という典型例です。
まずはカートの“タイプ”をざっくり理解しよう
クラウド(ASP)型
- サーバー不要で登録したその日から販売開始できる手軽さ
- 自動アップデートでセキュリティも最新
- ただし細かいカスタマイズは制限されがちで、機能追加はアプリ課金になるケースが多い
オープンソース型
- ソースコードを自在に編集でき、独自機能やデザインをとことん追求できる
- 運用コストはサーバーや保守を外部委託するとやや高騰
- エンジニア不在の企業にはハードル高め
パッケージ型
- 必要機能が最初から揃っており、短納期でスタート
- サポートが手厚い分、初期費用が高額になりやすい
- ベンダー依存が強く、大幅改修には追加費用がかさむ
選ぶ前に決めたい五つのこと
「機能が多い=良いカート」ではありません。以下の五つを先に決めると、候補は一気に絞れます。
- 費用上限(初期+月額+手数料)
例:初期10万円以内/月額5千円以内/手数料3.5%以下 - 必要最低限の機能
例:クレジット決済・在庫連携・スマホ対応 - 将来追加したい機能
例:定期購入、海外販売、ポイントシステム - デザイン自由度へのこだわり度合い
例:ブランドイメージを優先→HTML/CSS編集可が必須 - 運用体制とサポート希望
例:EC担当が1人→チャット/電話サポートがあるサービス
この“五角形”のバランスを先に描いておくと、「費用は安いが機能が足りない」「高機能だがサポートが薄い」といったギャップが可視化できます。
主要カートサービスの特徴をサクッと把握
サービス名 | 初期費 | 月額めやす | 強み | 向いている企業規模 |
---|---|---|---|---|
Shopify | 0円 | 3,650円〜 | 世界標準の豊富なアプリ、越境ECに強い | 中規模〜大規模 |
BASE | 0円 | 0円〜 | とにかく簡単、SNS連携◎ | 個人〜小規模 |
STORES | 0円 | 2,980円〜 | テンプレ充実、スマホ完結 | 個人〜小規模 |
カラーミーショップ | 3,300円〜 | 4,950円〜 | コスパ高、HTML/CSS編集も可 | 小〜中規模 |
makeshop | 11,000円〜 | 12,100円〜 | BtoB・大規模向け機能が豊富 | 中〜大規模 |
豆知識:2025年の国内比較記事では、この5社が“検討リストの常連”として必ずランクイン。まずはここから触ってみると全体像がつかめます。
事例で学ぶ“規模別”おすすめシナリオ
個人クリエイター・副業レベル
- BASE/STORES フリープラン
- 初期ゼロ・月額ゼロで始められる
- 決済手数料はやや高いが、リスクもゼロ
- 例:アクセサリー作家がマルシェイベントに合わせてオンライン販売を開始
年商1,000万〜5,000万円規模
- カラーミーショップ+HTML/CSS編集
- 月額約1万円以内でテンプレ&独自デザインを両立
- サブスク拡張アプリで定期購入にも対応
- 例:地元ベーカリーがパンの定期便を開始しリピーター売上が1.3倍に
年商1億円超、越境ECあり
- Shopify Standard以上/makeshop エンタープライズ
- 複数言語・多通貨・ERP連携など拡張が容易
- 外部パートナーと組めば、D2Cブランドのグローバル展開も可能
- 例:国産アパレルが海外向けラインをShopifyで開設し、全売上の25%を海外が占めるように
乗り換えを検討するときの注意点
- 商品情報の移行はCSVフォーマットが合うか事前確認
- SEO評価の引き継ぎには301リダイレクト設定が必須
- 決済契約の再審査で数週間かかる場合があるため、繁忙期は避ける
- 外部連携ツール(会計・物流)が対応しているか要チェック
導入ステップとチェックリスト
- 目的・優先度を紙に書く(五角形バランス)
- 公式サイトで料金プランを比較
- 口コミや成功事例を複数参照
- 無料トライアルで管理画面を触る
- 総コスト試算を表計算で可視化
- サポート窓口に質問しレスポンスを確認
- 社内外ステークホルダーへ説明・稟議
- 導入&初期設定
- 商品登録/決済テスト
- 公開後は週次で分析→改善
この流れを守るだけで、「なんとなく評判が良さそうだから」という曖昧さはほぼ解消できます。
導入後に伸ばす五つの運用ポイント
- 商品ページのSEO最適化
- タイトルに「商品名+キーワード+型番」を含める
- 画像ALTタグも日本語で入れる
- 決済・送料の定期見直し
- コンビニ後払いなどニーズが高い決済手段を追加
- 一定額以上送料無料でカゴ落ち率を改善
- マーケティング連携
- メルマガやLINE公式でクーポン配布
- SNS連携アプリでUGC(利用者投稿)をサイトに自動表示
- 機能アップデート追従
- ShopifyのAI商品説明生成など新機能は早めに試す
- 分析ツール活用
- カゴ落ち率、購入率、LTVをKPI化し、毎月改善サイクルを回す
よくある質問(FAQ)
Q. 無料カートと有料カート、どちらを選ぶべき?
A. 初期リスクを抑えたい場合は無料 → 売上が月商30万円を超えたら有料プランで手数料を下げるのが一般的。
Q. セキュリティはどう確保すればいい?
A. SSL対応は必須。クラウド型はベンダーが更新してくれるが、オープンソースは自分でパッチ適用が必要。PCI DSS準拠の決済を選べば安心。
Q. 越境ECを考えているが最初から多言語対応すべき?
A. 国内実績が月商100万円を超えてからで十分。まずは国内でオペレーションを固め、越境はShopifyなど多通貨対応が簡単なカートに乗せ換える手も。
まとめ
ショッピングカート選びに迷ったら、まず**「目的・費用・機能・デザイン・サポート」の五角形**を描いてみてください。そこに合うカートは自然と数社に絞れます。
- 個人・副業 → 無料ASP(BASE/STORES)
- 小〜中規模EC → カラーミーショップ、Shopify Basic
- 大規模・越境 → makeshop、Shopify Plus
導入後は商品ページの最適化・決済拡充・分析改善を回し続けることで、売上は必ず伸びます。この記事が「カート選定で立ち止まらない」一助になれば幸いです。
この記事は2025年7月時点の情報を基に執筆しています。サービスの料金・仕様は変更される場合がありますので、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。