はじめに
中小企業がホームページに自社の地図を載せようとしたとき、「HTMLを編集しなければいけない」と聞くと構えてしまうことが多いかもしれません。検索すると「タグ」「コード」「APIキー」などの専門用語が並んでおり、気持ちが萎えてしまう方もいるでしょう。しかし、実はGoogleマップの埋め込み作業は、ポイントさえ押さえれば初心者の方でも比較的簡単に行えます。
本記事では、HTMLに馴染みがない方や、コピー&ペーストする場所に不安を感じる方でも理解しやすい形で手順を解説していきます。さらに、埋め込み時に注意したいポイントや、デザイン面での工夫、トラブルシュートなどについても詳しく説明します。実際に作業をイメージしながら読み進めていただければ、ホームページのどこに地図を載せると良いか、どうデザインすれば見やすいかなどのヒントも得られるはずです。
Googleマップを埋め込むメリット
はじめに、なぜGoogleマップをサイトに埋め込む必要があるのか、そのメリットを整理しておきましょう。以下のメリットを理解することで、「本当に地図は必要かな?」という疑問に対しても明確な答えが得られます。
- 来店経路がわかりやすい
テキストや住所だけでは把握しづらい来店ルートを、ひと目で示すことができます。 - 信頼感の向上
実際の地図を掲載しておくことで、実在するお店やオフィスだという信頼感を読者に与えられます。 - 時間短縮につながる
初めて訪れるお客さまにも、行き先を容易に説明でき、道に迷うリスクを減らせます。 - 視覚的に情報を整理
テキスト中心のホームページよりも、地図を組み合わせることで読み手の理解を助けます。
地図を埋め込むことの意味合いをあらかじめ理解しておけば、少しの手間をかけてでも実装すべき理由が見えてくるでしょう。
メリットとデメリットの比較表
以下の表で、Googleマップを埋め込む際のメリットとデメリットを簡単に比較してみましょう。
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
表示のわかりやすさ | 実際の地図を表示でき、視覚的に理解しやすい | ページの読み込み速度に影響する可能性がある |
信頼感 | Googleの地図サービスなので、多くの人にとって安心感がある | 埋め込みコードの取得手順がやや面倒に感じることがある |
更新の手間 | 店舗の位置や周辺情報をGoogleマップ側が自動で更新してくれる | 自社独自の地図デザインを反映しにくい |
拡張性 | ストリートビューやルート案内、営業時間情報との連動など、豊富な機能を活用できる | 追加の機能を利用する場合、設定が複雑になる(例:高度なカスタマイズにはAPIの知識が必要になる場合がある) |
これらを総合的に判断すれば、多少の設定手間があっても、地図を埋め込む価値は十分にあると言えます。
Googleマップ埋め込みの基本ステップ
ここでは、初心者の方でもわかりやすいように、Googleマップ埋め込みの基本的な流れを大まかに紹介します。大事なのは、「専門的な知識がなくても、手順さえ追えば地図が表示できる」ということです。
- Googleマップで店舗・オフィスを検索
まずはGoogleマップを開き、埋め込みたい住所や店舗名を検索して、目的の場所を表示します。 - 共有メニューから埋め込みコードをコピー
Googleマップ画面右上の「共有」ボタンをクリックし、「地図を埋め込む」タブからHTMLコードを取得します。 - ウェブサイトの編集画面を開く
WordPressなどのCMSを利用している場合は、ページ編集画面でHTMLを編集できるモードに切り替えます。静的なHTMLサイトなら、対象ページのHTMLファイルを開きます。 - 適切な場所に埋め込みコードを貼り付け
「ここに地図を表示したい」と思う箇所にコピーした埋め込みコードを貼り付けます。 - デザインや幅・高さを調整する
コード内に記載されているwidth
やheight
などを調整し、ページのデザインに合わせます。
これだけ見ると難しそうに感じるかもしれませんが、基本は「検索 → コードをコピー → コードを貼り付け → 必要に応じて調整」という流れです。一度やってみると意外にシンプルな手順だと気づくはずです。
埋め込み手順のまとめ表
初心者の方が迷わないように、もう少し詳しくステップごとに整理した表を用意しました。WordPressを例に挙げていますが、別のCMSや静的サイトでも基本的な流れは似ています。
ステップ | 作業内容 | ポイント |
---|---|---|
1. 検索 | Googleマップを開き、店舗名や住所を入力して目的地を表示 | 正確な店舗名・住所で検索し、マーカーが表示されるか確認 |
2. コード取得 | 「共有」→「地図を埋め込む」→表示されたHTMLコードをコピー | コードはすべてコピーする(<iframe>...</iframe> の部分) |
3. ページ編集 | WordPressの「投稿」または「固定ページ」で対象ページを開き、HTML編集モードに切り替え | ブロックエディタの場合は「カスタムHTML」ブロックを使う |
4. 貼り付け | コピペしたコードを貼り付ける | 余計なスペースや改行を入れないように注意 |
5. 調整 | 幅や高さ、枠線などを調整 | iframeタグ内のwidthやheight属性を好みに変更する |
この表を参考にすれば、どの画面でどの操作をすればいいのかがイメージしやすくなるでしょう。
実際の埋め込み作業をイメージしよう
ここからは、もう少し具体的にイメージしやすいよう、簡単な例を挙げながら説明します。たとえば、あなたの店舗が「〇〇市の△△商店街」にあるとします。Googleマップで「△△商店街 ○○店」と検索すると、地図上にピンが立つはずです。
- 店舗のピンを確認
ピンが思い通りの場所に立っているか確かめます。もしずれている場合は住所を再入力するなど、正しい場所を再検索してください。 - 「共有」ボタンをクリック
画面左上のメニューからではなく、画面内の共有ボタンを使う方がスムーズです。 - 「地図を埋め込む」を選択
共有ダイアログで「リンクを送る」と「地図を埋め込む」が出てきますが、後者を選択しましょう。 - 表示されるHTMLコードをコピー
<iframe src="..." width="600" height="450" ... ></iframe>
という長いコードが表示されますので、すべてコピーします。 - ホームページに貼り付ける
WordPressなら「固定ページ」や「投稿ページ」で使いたい場所に貼り付けます。静的サイトなら、該当HTMLファイルをテキストエディタで開き、適切な位置にペーストします。
初心者の方がつまずきやすいポイントは、たいてい「コードをコピーし忘れた部分がある」とか「貼り付けたら何も表示されなくなってしまった」というケースです。こうした場合は、余計な改行やスペースが入っていないか、<iframe>
タグが正しく閉じているかをまず確認しましょう。
コードの調整
貼り付けた後、もし地図のサイズが小さすぎたり大きすぎたりするようであれば、HTMLコード内のwidth="600" height="450"
といった数値を変更します。単位がピクセルの場合、width="800" height="600"
などに増やすと地図を大きく表示できます。
- 幅だけ広げたい場合は、
width
の数字を大きくし、height
はそのままでも問題ありません。 - スマートフォン表示にあわせて柔軟にサイズを調整したい場合は、CSSを使って
width: 100%;
などの指定をする方法もあります。
Googleマップ活用の応用事例
通常の地図表示だけで満足していない方に向けて、応用的な活用方法も簡単に紹介します。中小企業が少し工夫するだけで、地図を情報発信の便利なツールとして活用できるはずです。
- 店舗ごとのマップ切り替え
複数の支店や拠点がある場合、タブやボタンでマップを切り替えられるようにするデザインが考えられます。訪問者が自宅に近い店舗を探しやすくなります。 - 特定ルート案内を事前にセット
主要な駅や交差点からのルート案内をあらかじめ作成し、リンクや地図に組み込むことで、お客さまが最寄り駅からの道筋を一目で把握できるようになります。 - ストリートビューの活用
路面店などであれば、店頭の外観写真をストリートビューと組み合わせることで、現地の雰囲気がより伝わりやすくなります。 - 営業時間・混雑状況の表示
Googleビジネス情報と連携させると、マップ上に営業時間や混雑状況が表示される場合があります。初めての来店客にも安心感を与えられます。
地図埋め込みをきっかけに、ほかのオンラインサービスやSNSとも連携すれば、より便利な顧客体験を提供できます。
応用例の比較表
応用的な使い方を、機能や導入難易度の観点でまとめた表を作成しました。自社サイトの方向性や顧客ニーズに合わせて、段階的に取り入れると良いでしょう。
機能 | 導入効果 | 導入難易度 | 具体例 |
---|---|---|---|
店舗一覧の切り替え機能 | ユーザーが必要な店舗情報をすぐ得られる | 中(タブ・ボタン実装が必要) | JavaScriptのタブ切り替えで複数のiframeを表示 |
ルート案内リンクの設置 | 駅や主要道路からのルート案内を明確にできる | 低(リンク設置でOK) | Googleマップの「経路」を生成しURLをコピー |
ストリートビューの埋め込み | 店舗外観や周辺の雰囲気を伝えやすい | 中(埋め込みコード取得) | <iframe> でストリートビューを埋め込む |
営業時間・混雑状況表示 | 来店の計画を立てる際に便利な情報を提供できる | やや高(Googleビジネス情報連携) | Googleビジネスプロフィールと連動する |
「それぞれを全部やるのは大変そう…」と感じる方は、まずは地図の基本埋め込みから始めてみてください。慣れてきたら徐々に追加機能を検討するとスムーズに導入できます。
埋め込み時のトラブルと対処法
実際に地図を埋め込んでみると、思わぬトラブルに遭遇することもあります。以下に、代表的なエラーとその対処法を紹介します。
- 地図が表示されない/真っ白になる
- 埋め込みコードを正しくコピー&ペーストできているか確認する
<iframe>
タグが途切れていないか、閉じタグが入っているかをチェックする- ページ更新後、キャッシュが残っている場合はブラウザをリロードしてみる
- ページのレイアウトが崩れた
- iframeの幅(
width
)や高さ(height
)が大きすぎる、または小さすぎる場合にレイアウトを乱すことがある - レスポンシブ対応のためにCSSを追加し、
width: 100%; height: auto;
のような指定を検討する
- iframeの幅(
- スマートフォンで地図が見切れる
- スマホ表示に対応するには、iframeの幅を相対的にする方法が基本
- 必要に応じてテーマやCSSファイルを編集し、レスポンシブ対応を行う
- 読み込みが遅い
- 地図表示に必要なスクリプトやデータ量が多いため、ページの表示スピードが低下することがある
- 画像や他のスクリプトとの兼ね合いを見直す
- 必要なページにのみ地図を設置する(トップページなど、不要な箇所には埋め込まない)
- セキュリティエラーが表示される
- 埋め込み元がHTTPS化されていない場合、自社サイトがHTTPSでも混在コンテンツの警告が出ることがある
- Googleマップは通常HTTPS対応なので問題ないが、念のためURLの先頭が
https://
であるかチェックする
一度こうしたエラーに直面すると、「やっぱり難しい…」と投げ出してしまいそうになる方も多いはず。しかし、原因のほとんどは「コードのコピーが不完全」や「サイズ指定が不適切」といった単純なものです。問題が発生したら、まずは上記のような基本チェックを行いましょう。
まとめ
ホームページに店舗やオフィスの地図を掲載しておくと、来店時の道案内だけでなく、企業や店舗の信頼感を高めるのに大いに役立ちます。初心者の方は「コードなんて触れない」と尻込みしがちですが、実際にはコピー&ペーストが中心であるため、大きなハードルにはなりません。貼り付け後のサイズ調整やレイアウトの微調整は多少の慣れが必要ですが、一度やり方を覚えてしまえば、以降はスムーズに対応できるでしょう。
さらに応用して、ルート案内リンクやストリートビューなどを組み合わせれば、店舗周辺の状況やアクセス方法を詳しく伝えられ、顧客満足度向上につながります。中小企業のホームページであっても、ユーザーが「ここなら行ってみよう」という気持ちになるように工夫を凝らしてみてください。
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