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スマホ撮影で魅力的な商品写真を作る低コストテクニック

はじめに
中小企業や個人事業でネットショップを運営していると、商品の写真をどのように用意すれば良いか悩むことは少なくありません。プロのカメラマンに依頼するのが理想的でも、実際には予算や時間の都合上、スマートフォンで撮る必要があるケースも多いでしょう。とはいえ、スマホ撮影でもポイントさえ押さえれば充分魅力的な商品写真を作ることができます。本記事では、低コストで手軽にできるスマホ撮影のテクニックを解説しながら、実際の事例を交えてわかりやすくまとめていきます。
スマホ撮影の基本ポイント
スマートフォンで商品を撮る際に、まず押さえておきたい基本的なポイントを紹介します。撮影のプロセスを大きく分けると「撮影環境の準備」「アングル・構図の設定」「ライト・明るさの調整」「撮影時の安定性の確保」「撮影後の編集」の5つに整理できます。
- 撮影環境の準備
周囲の状況に左右されないよう、なるべく明るく乱雑でない場所を確保します。少しの工夫で商品が引き立つ環境を作れます。 - アングル・構図の設定
商品が引き立つ角度や大きさ、置き方に注意しながら、商品本来の魅力を正しく伝える工夫をします。 - ライト・明るさの調整
影の入り方や照明の方向を工夫することで、色味や質感が際立った写真を撮ることが可能です。 - 撮影時の安定性の確保
スマホ三脚や簡易スタンド、タイマー撮影などを活用してブレを防ぎます。 - 撮影後の編集
後から色味や明るさを調整し、より見やすく、購入意欲を高める仕上がりに整えます。
こうした基本を踏まえつつ、以下のセクションでは具体的な撮影方法やノウハウ、低コストで導入できる工夫などを詳しく解説していきます。
機材・撮影セットの工夫で差をつける
自宅や店舗の一角で撮影する際、簡易的なセットや道具を工夫することで、手軽にクオリティを上げられます。高価なプロ用機材をそろえる必要はなく、100円ショップやネット通販で手に入るアイテムを活用できます。
簡易スタジオセットの例
必要なもの | 代替アイテム | ポイント |
---|---|---|
白背景のボード | 大きめの白画用紙、白い紙袋を広げたものなど | シワや折り目の少ない平らな素材が望ましい |
クリップライト | デスクライトやLEDライト | 色温度がある程度安定したライトを選ぶ |
反射板 | 白い厚紙、アルミホイルを貼ったボール紙 | 光を当てて影を和らげるのが目的 |
三脚やスタンド | 厚めの本を積み上げる・DIYの自作台 | スマホが安定すればOK |
ちょっとした工夫で撮影環境が整い、商品をしっかり引き立たせることができます。特に、背景を真っ白にすることで被写体をわかりやすく見せる手段は効果的です。ただし、白背景以外にも商品コンセプトに合わせた紙や布を用意して雰囲気を変えるのも良い方法です。
スマホでできる簡単ライティングテクニック
ライティングとは、光の当て方を工夫して商品を魅力的に見せる撮影技術のことです。プロの現場では大型照明やソフトボックスを使うことが多いですが、低コストかつスマホ撮影でも代替可能な方法があります。
- 自然光の活用
日中の窓際など、自然光が入る場所を活用します。ただし直射日光が強い場合、影が濃く出過ぎることがあります。レースカーテンなどで光を拡散させてから撮影すると、ソフトなライティングが得られます。 - 簡易照明セットを組む
クリップライトやデスクライトを2つ準備し、片方は正面からもう片方は斜め後ろまたは横から当てると、立体感が出て商品の形状がわかりやすくなります。 - 反射板を使って影を調整
片側だけに光を当てると影が濃くなりがちです。白い紙やアルミホイルを使った反射板で、影側にも光を回してやると、商品全体が明るく見えます。 - 色温度の統一
家庭用照明は色温度がバラバラな場合が多いため、撮影時にはできるだけ同じ種類の照明を使うか、自然光のみで統一すると、色が混ざらず綺麗に仕上がります。
下記の表では、よくあるライティングのパターンをまとめました。
ライティングパターン | 光源の配置 | 特徴 |
---|---|---|
自然光のみ | 窓からの光 | 柔らかく自然な印象だが、天候・時間帯に左右される |
正面+サイドライト | 正面+斜め横 | 商品の凹凸がわかりやすく、立体感が出る |
上部ライト+反射板 | 上や斜め上+反射板 | 影を調整しやすく、商品の形や輪郭をくっきりと見せる |
ライティングを意識するだけで、同じスマホでも写真の質が格段にアップします。予算が限られている場合でも、日常的に使うデスクライトを上手に活用できるので、ぜひ試してみてください。
構図とアングルの決め方
次に、商品をどう見せるかの構図やアングルについて解説します。構図やアングルの違いは、商品写真の印象を大きく左右します。
- 基本の正面撮影
単純に商品を正面から撮影する構図は、わかりやすく情報を伝えやすいメリットがあります。パッケージ商品や、正面デザインがポイントになる雑貨・食品などに有効です。 - 斜め45度からの撮影
商品の奥行きや立体感を出したいときに向いています。反射や光の入り具合もコントロールしやすく、最もバランスの良いアングルともいえます。 - 俯瞰(上から)撮影
写真全体のレイアウトや周囲の小物を含めて紹介したい場合に最適です。上から見たときの配置が整っていると、おしゃれで雑誌のような雰囲気を演出できます。 - 詳細クローズアップ
商品の特徴的な部分や質感、素材感を強調したい場合は、思い切って寄って撮影してみましょう。ディテールをしっかり写すことで、購入者に魅力を伝えやすくなります。
以下は代表的なアングル例と、それぞれが向いている商品の一例です。
アングルの種類 | 向いている商品 | 特徴 |
---|---|---|
正面撮影 | パッケージ、看板商品 | 商品そのものの情報を強調 |
斜め45度撮影 | 立体物、雑貨 | 形状や質感をわかりやすく見せる |
俯瞰撮影 | テーブルウェア、アパレル小物 | 全体的なレイアウトをおしゃれに演出 |
クローズアップ | 細かいパーツが特徴のアイテム | ディテールの魅力を直接訴求 |
構図やアングルに迷ったら、まずは斜め45度撮影と俯瞰撮影を組み合わせるパターンがオススメです。商品の特徴を幅広く捉えられ、撮影バリエーションも豊富になります。
背景・小物・スタイリングの基本
商品を引き立てる背景や小物の選び方次第で、写真の印象は大きく変わります。特にネットショップのように画像でしか商品を確認できない場合、背景や小物は商品の雰囲気・世界観を補足する大切な要素となります。
- 背景選び
- シンプルな白背景
商品そのものを強調したいときにおすすめ。ネットショップ用の基本スタイルとしてもよく用いられます。 - 質感のある背景
ウッドテーブルや布、紙などのテクスチャを利用すると、ナチュラル・アンティーク・高級感など、商品に合わせた世界観を演出できます。
- シンプルな白背景
- 小物の活用
商品と一緒に置く小物を工夫することで、使用シーンやサイズ感を想像しやすくなります。ただし小物を入れすぎると商品が埋もれてしまうので、あくまで主役は商品であることを意識しましょう。 - 色のコントラストを意識
商品のカラーと背景・小物の色を対比させることで、主役が際立ちます。たとえば、淡い色の商品には濃い色の背景を使うとメリハリがつきます。
背景や小物を使ったスタイリングに慣れると、ブランドイメージを写真で表現する幅が大きく広がります。試行錯誤しながら、自社商品に合ったスタイリングを見つけてみましょう。
スマホでの写真編集のコツ
スマホアプリを使うと、色味や明るさ、コントラストの調整が簡単にできます。撮影時にはやや暗めに写った写真でも、編集で十分カバーできます。ただし、やり過ぎると実物と大きく印象が変わってしまう恐れもあるため、自然な補正を心がけましょう。
- 明るさ・コントラスト
少し明るさを上げて、コントラストを調整するだけで見栄えが大きく変わります。暗い部分が多い写真は補正後の違いが特に顕著です。 - 色温度(ホワイトバランス)の補正
室内照明の影響でオレンジがかっていたり、逆に青みが強くなっていたりする写真はホワイトバランスを調整すると、実物に近い色に整えられます。 - トリミングと歪み補正
商品が思ったより小さく写っていたり、縦横のラインが傾いている場合は、トリミングや歪み補正機能で直せば、より見やすく仕上がります。 - フィルターの適度な活用
写真アプリには数多くのフィルターが用意されています。フィルターによっては雰囲気が大きく変わるため、イメージに合ったものを選びましょう。ただし、商品の色が伝わらなくなるほど極端なフィルターは避けるのが無難です。
編集に時間をかけ過ぎると逆に生産性が下がる場合もあるので、まずは基本の明るさ・コントラスト・ホワイトバランスを簡単に整えるだけでも十分に印象は変わります。
ケース別:スマホ商品撮影の実例
ここからは、さまざまな商品を撮影する際の具体例を紹介し、どのような工夫をするかをイメージしやすくします。低コストでできるちょっとしたアイデアとともに解説します。
1. アパレル・ファッション小物
- 平置きスタイル
服やバッグなどを床やテーブルに平置きし、上から俯瞰で撮影。小物やアクセサリーを一緒に置いてトータルコーディネートを見せると、コーデの雰囲気が伝わりやすくなります。 - ハンガー吊り下げ
服のシルエットを見せたい場合、ハンガーにかけた状態で撮影。背景は壁一面などシンプルにすると良いでしょう。
2. アクセサリー・雑貨
- アップ撮影でディテールを強調
金属や宝石のきらめきがわかるよう、明るい光を当ててクローズアップ。反射が強い場合は、間接光や反射板で柔らかく光を回すように調整します。 - スタイリングで世界観を演出
花や小瓶などの小物を背景に添え、ブランドイメージに合った空間演出をする。自然光を活かした撮影が似合うことが多いです。
3. 食品・飲料
- 新鮮さやおいしさを際立たせる照明
食品撮影はテカリや水滴、湯気などの「食欲をそそるポイント」を強調すると効果的です。反射板で影を調整しながら、自然光を活かすのも良いです。 - 断面のアピール
ケーキやパンなどは断面を見せると味のイメージが湧きやすくなります。切り口がきれいに見える角度を探して撮影しましょう。
4. 日用品・雑貨
- 生活シーンの再現
机や棚の上など、実際に使うシーンを想定した配置で撮ると、「こんな場面で便利そう」というイメージが伝わりやすいです。 - サイズ感を比較
日用品はサイズ感のわかる日常的なアイテムと一緒に写すのも手です。メモ帳やスマホなど、誰もが知る大きさの物を横に置いておくとイメージしやすくなります。
低コスト撮影のアイデアと注意点
最後に、低コストで商品撮影を行ううえでのアイデアや注意点をまとめます。
アイデア1:家の中を活用する
- 窓際の自然光
朝や昼過ぎなど、日差しが安定している時間帯を狙えば、照明器具を使わなくても十分明るい写真が撮れます。 - 白い壁やドアを背景に
ほぼ無料で使えるシンプルな背景として活用可能です。シワなどがなく比較的フラットな面であれば、そのまま撮影セットにできます。
アイデア2:100円ショップや手持ちのアイテムで代用
- コピー用紙や模造紙を広げるだけでもOK
白背景として十分機能します。折り目をなくす工夫が必要ですが、気軽に取り入れられます。 - クリップライトはDIYでアレンジ
白い布や紙を間に挟むだけで、光を拡散する簡易ソフトボックスのように使えます。
アイデア3:明るさは後から編集で微調整
- 撮影時に多少暗くても問題ない
スマホの写真編集機能で明るさや色味はある程度調整できます。ただし、大きくぶれてしまった写真は修正が難しいので、撮影時はシャッターのタイミングや手ブレに注意しましょう。
注意点:自然な色味を大切に
- 過度な加工やフィルターは、商品本来の色味や質感を損なう恐れがあります。購入者に誤解を与えないためにも、自然に仕上げることが肝心です。
- スマホカメラによっては、ホワイトバランスや露出が自動補正され過ぎて実物と異なる色になることも。撮影前に設定を確認するなど、小まめにチェックしましょう。
まとめ
スマホで撮影した商品写真でも、ちょっとしたライティングと構図のコツ、そして低コストでそろえられる背景や小物を工夫するだけで、見違えるようにクオリティを高めることができます。自然光や安価な照明を組み合わせることで、プロレベルには及ばなくとも、商品を魅力的に伝える写真を用意できるのは大きなメリットです。中小企業や個人事業でネットショップを運営している場合でも、限られた予算で十分に対応できる方法が多く存在します。ぜひ本記事を参考に、自社商品が持つ特有の魅力をスマホカメラで最大限に引き出し、ネットショップの売上やブランドイメージ向上につなげてみてください。