はじめに
中小企業のWeb担当者や経営者であれば、一度は「検索順位を上げたい」「自社サイトのアクセス数を増やしたい」と考えたことがあるのではないでしょうか。しかし、SEO専門会社へ依頼するにはそれなりの予算が必要で、難しい専門用語の壁にぶつかることもしばしば。そこで本記事では、「すぐできる セルフSEO」を知りたい人に向けて、基本的な手順から日常で取り組める施策までをわかりやすく解説していきます。
本稿は、以下のような方に特におすすめです。
- 専門会社に依頼する予算がなく、まずは自力でできる範囲から手をつけたい
- 難しい用語は苦手なので、わかりやすい解説や具体的な事例が欲しい
- トップページや各ページのタイトル・見出しなど、効果が出やすいところだけでも今すぐ改善したい
さまざまなSEOテクニックが存在しますが、難しいものや高コストなものばかりではありません。ちょっとした工夫と基本を押さえるだけでも、検索エンジンからの評価が向上し、アクセスアップにつながる可能性は十分にあります。まずはセルフSEOを始めるメリットや注意点を押さえつつ、具体的な施策について確認していきましょう。
セルフSEOを始めるメリットと注意点
セルフSEOを自力で始める前に、そのメリットと注意点を理解することが大切です。下記の表は、セルフSEOを実践する上での主なメリットと注意点をまとめたものです。
項目 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
コスト面 | 外部に依頼しないため費用が抑えられる | 作業時間や学習コストがかかる |
スピード | 好きなタイミングで施策を実行できる | 正しい知識や手順を知らないと効果が出にくい |
ノウハウ | 自社にノウハウが蓄積する | 継続的な勉強と改善が必要 |
柔軟性 | 自社サイトの方向性に合わせてカスタマイズしやすい | 間違った方向に行くと逆効果になり、順位が下がる可能性がある |
コミュニケーション | 自社内で施策を完結できる | 客観的な視点が欠けがちになり、最適な方法を見落とすことがある |
メリット1:コストの削減
専門会社に依頼すると、相応の費用が発生します。しかしセルフSEOであれば、外注費用を抑えられるため、十分な予算がない場合でも取り組みやすいでしょう。
メリット2:スピーディな実践
自分たちで作業を行うため、スケジュールの自由度が高く「思い立ったらすぐ」施策に取りかかれます。
注意点1:正しい知識と継続が重要
SEOは単発で終わるものではなく、検索エンジンのアルゴリズム変化や競合サイトの動向に合わせて調整が必要です。誤ったやり方で進めると、順位が下がってしまうリスクもあります。
注意点2:客観的視点の欠如
自社のWebサイトに慣れすぎると、ユーザー目線や第三者の視点を忘れがちです。デザインやコンテンツが社内事情に偏り、検索エンジンよりも利用者の立場を軽視してしまうケースがあります。
「すぐできる」セルフSEOの基本施策
ここからは、特に初心者でも取り組みやすい「すぐできるセルフSEOの基本施策」について紹介します。大きく分けると、以下の3つのカテゴリーに分けて考えると理解しやすいです。
- サイト内部(On-Page)対策
- タイトル・見出しの最適化
- キーワード選定
- コンテンツの質・更新頻度
- 内部リンクの改善
- サイト構造の見直し
- サイト外部(Off-Page)対策
- 外部サイトからのリンク獲得
- SNSなどでの情報発信
- ネット上の口コミ・評価
- 効果検証・アクセス解析
- サイトへの流入経路やキーワードの分析
- 直帰率や滞在時間など、ユーザー行動の把握
これらをバランスよく実践することで、検索エンジンからの評価が高まり、結果として自然検索の順位上昇を狙うことができます。
タイトル・見出しの改善方法
まず着手しやすく、効果も見えやすいのがページタイトルと見出し(特にH1、H2など)の最適化です。閲覧者だけでなく検索エンジンにとっても、タイトルと見出しは「このページが何を扱うコンテンツなのか」を判断する重要な指標となります。
ポイント1:ページ内容を端的に表すキーワードを盛り込む
タイトルの文字数は日本語であれば全角30文字前後を目安に、ユーザーが検索しそうなキーワードを自然に含めるようにしましょう。単に詰め込みすぎると読みにくくなったり、ペナルティを受けたりする可能性もありますので注意が必要です。
ポイント2:タイトルと見出しの整合性
タイトルで示したテーマとH1、H2以下の見出しが一致していないと、検索エンジンにもユーザーにも「内容に一貫性がない」と判断されてしまいます。例えば「セルフSEOの方法」というタイトルなら、本文や見出しもそのテーマに沿って解説を展開しましょう。
ポイント3:ユーザーが求める情報を具体的に提示
タイトルに「〇〇の方法3選」「初心者向けの手順」などの具体的な要素を含めると、ユーザーが求める情報を瞬時にイメージしやすくなります。クリック率にも影響するため、できるだけわかりやすい表現を意識しましょう。
キーワード選定のポイント
SEOといえば「キーワード選定」は欠かせません。具体的には、どのようなキーワードで検索されたいかを決め、そのキーワードを中心にコンテンツを作りこむことが基本です。
キーワードの種類 | 特徴 | 例 |
---|---|---|
ビッグキーワード | 検索ボリュームが大きいが競合も強い | 「SEO」「ダイエット」など |
ミドルキーワード | ビッグほどではないが、そこそこボリュームがある | 「セルフSEO」「簡単ダイエット」など |
ロングテール | 検索数は少ないが、ニーズが具体的 | 「初心者 向け セルフSEO 手順」など |
初心者は、あまりに競合の激しいビッグキーワードを狙うよりも、ミドルキーワードやロングテールキーワードを攻める方が成果が出やすいといえます。自社の商品・サービスに関係のある単語を組み合わせて、どんな検索キーワードならアクセスが期待できるかを考えながらコンテンツを作りましょう。
コンテンツの質と更新頻度
いくらキーワードを意識していても、実際の中身が乏しければ検索エンジンもユーザーも「価値が低い」とみなしてしまいます。大切なのは、以下のポイントを意識した質の高いコンテンツ制作と継続的な更新です。
- ユーザーにとって有益な情報を提供する
- ニーズや課題を解決する具体的なアドバイスを盛り込む
- 最新情報や事例を反映し、内容を定期的にアップデートする
- 読みやすい文章構成
- 見出しや段落を区切って読み進めやすくする
- 箇条書きや表を活用する
- 継続的な更新・追加
- 新しいキーワードを意識した記事を増やす
- 既存コンテンツをリライトして情報精度を高める
中小企業の多くは、サイトを一度作った後「放置」してしまいがちです。しかし、検索エンジンは定期的に更新されているサイトを高く評価する傾向があります。小さな更新でもいいので、週に1回、月に数回など、自社に合ったペースで継続的に手を入れることを心がけましょう。
内部リンクとサイト構造の最適化
サイト内部の構造を整えることも、すぐに実行できて効果的なセルフSEO施策の一つです。
内部リンクの最適化
関連する記事同士を内部リンクで結びつけることで、ユーザーが他のページにもスムーズに移動しやすくなります。これは「回遊率アップ」に直結し、サイト全体の滞在時間向上や直帰率低減にもつながりやすいです。
- 不要なリンクを乱立させず、関連性の高い記事だけを結ぶ
- リンクテキスト(アンカーテキスト)は内容がわかるように具体的に
- ページ下部に「関連記事」の一覧を設ける
サイト構造の見直し
「トップページ → カテゴリページ → 記事ページ」のように、ユーザーが迷わずに目的の情報にたどり着ける階層設計になっているかを確認しましょう。煩雑なメニュー構成や深すぎる階層は、検索エンジンもユーザーも嫌います。
- 階層はなるべく浅めに設計する
- パンくずリストを設定し、現在地をわかりやすく示す
- トップページからのリンクで主要なコンテンツにアクセスできるようにする
簡単に取り組める外部対策
外部対策(Off-Page SEO)とは、他のサイトやSNSで自社サイトへリンクを張ってもらう施策を指します。良質な外部リンクは、検索エンジンからの評価向上に寄与しやすいといわれています。特に以下のような活動は、予算をかけずとも取り組みやすいでしょう。
- SNSを活用した情報発信
- 企業アカウントを作り、記事の更新情報や新サービスを告知
- ユーザーからの質問に丁寧に対応し、コミュニケーションを活性化
- 自社の活動に関わるコミュニティやフォーラムに参加
- 専門のコミュニティサイトで役立つ情報を提供する
- 自社サイトの記事を参照にする場合は自然な文脈で紹介する
- 取引先や提携先と協力し合う
- 合同でセミナーやイベントを開催し、レポートをお互いのサイトで公開
- お互いのサイトから関連記事としてリンクを張り合う
ただし、不自然に相互リンクだけを狙う行為や、リンク集サイトに大量登録するような昔ながらの手法は、検索エンジンの評価を下げる恐れがあるため注意が必要です。
成果測定と改善のやり方
いくら施策を実行しても、その結果を正しく測定しなければ改善の方向性がわかりません。以下は、初心者でも取り組みやすい成果測定と改善のサイクルをまとめた例です。
手順 | 作業内容 | ポイント |
---|---|---|
1 | アクセス解析ツールの導入 | 基本的なアクセス数、ページビュー、直帰率などを計測 |
2 | 主要ページとキーワードのパフォーマンスチェック | タイトルやコンテンツ、メタ情報が狙ったキーワードと合致しているかを確認 |
3 | 改善策の仮説を立て、実施 | タイトルを変更・内部リンクを追加・コンテンツを追記など |
4 | 一定期間(1〜2週間、または1ヶ月など)で成果を評価 | 変更前との比較(アクセス数、順位、滞在時間など) |
5 | 成果があれば継続、足りなければ別の施策を試す | PDCAを回しながら最適化を続ける |
- アクセス解析ツール
難しく感じるかもしれませんが、特定の指標を追うだけなら基礎だけでも十分活用できます。ページ別の閲覧数や直帰率を見れば、どのコンテンツが人気なのか、改善が必要なのかが大まかにわかるでしょう。 - A/Bテスト
余裕があれば、タイトルの表現やデザインを少し変えたページを用意して比較するのも効果的です。どんな表現がユーザーに響くのか、数値的に把握できるため、より確度の高い改善が期待できます。
ここまでのまとめ表
ここまで解説してきた内容を簡単に整理すると、以下のようになります。
施策カテゴリ | 主な具体策 | すぐにできる度(目安) |
---|---|---|
タイトル・見出し改善 | キーワード含む、32〜35文字前後でわかりやすく | ★★★ |
キーワード選定 | ミドルやロングテールを中心に設定 | ★★ |
コンテンツの質と更新頻度 | 有益な情報の提供、既存記事のリライトなど | ★★ |
内部リンク・サイト構造 | 関連ページのリンク、パンくずリスト設定、カテゴリー整理 | ★★ |
外部対策 | SNS活用、コミュニティ参加、自然な文脈でのリンク獲得 | ★★ |
アクセス解析・改善 | アクセス解析ツール導入、A/BテストでPDCAを回す | ★ |
「すぐにできる度」はあくまで目安ですが、タイトルや見出しの調整は比較的すぐに効果を実感しやすい部分です。ただし他の施策も併せて地道に続けることが、長期的な順位改善やアクセス増加につながります。
まとめ
セルフSEOに取り組む最大のメリットは、自社が直接コントロールでき、ノウハウが蓄積されやすい点にあります。一方で継続的な勉強と実践が必要であり、客観的な視点を保ちにくいなどの注意点も押さえておきましょう。
- まずはタイトルや見出しなど、重要度が高く手をつけやすい部分から改善してみる
- キーワード選定は競合の少ないミドルやロングテールを狙うと成果が出やすい
- コンテンツの内容を充実させ、継続的に更新を行うことで検索エンジンから高評価を得る
- 内部リンクやサイト構造の見直しも、ユーザーの利便性向上に効果的
- SNSやコミュニティでの情報発信やリンク獲得は、低コストで外部対策を実践する方法の一つ
- 効果測定により継続的に改善を重ねることで、よりよい成果を得られる
お金をかけずとも、自分たちの工夫次第で大きな変化をもたらすことが可能です。小さな施策でも継続することで、着実にSEO効果を高めていきましょう。
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