キーワード選定の重要性
検索広告を出稿する際、どのキーワードで広告を表示させるかは成果に大きな影響を与えます。キーワード選定が曖昧なまま始めてしまうと、コストばかりかかってしまい肝心の売上や問い合わせに結びつかないケースも多く見られます。特に中小企業では、広告予算が限られていることもあるため、何となくの直感でキーワードを決めるのではなく、狙いを明確にした選び方が重要となります。
実際、検索広告の魅力は「ユーザーが何かを知りたい・買いたいと思って検索しているタイミングでメッセージを届けられる」点にあります。しかし、そのユーザーが入力する検索キーワードが適切でなければ、いくら広告を出しても見込み顧客の目には留まりません。逆に、キーワード選定を的確に行うことで限られた予算でも効果が出やすくなり、広告の運用効率が高まります。
ここでは、キーワード選定の重要性を確認しつつ、初心者でも把握しやすいように具体例や表を用いて解説していきます。まずはキーワードの種類を理解しながら、どのように自社の商品やサービスに合うキーワードを見つけていけばいいのかを考えてみましょう。
キーワードの種類と特徴
キーワードにはさまざまな形式がありますが、検索広告を出す際には次のような分類が参考になります。それぞれの特徴を正しく理解することが、効果的なキーワード選定の第一歩です。
ビッグキーワードとロングテールキーワード
- ビッグキーワード
文字どおり検索ボリュームが大きいキーワードです。「〇〇 通販」「△△ 比較」など、多くの人が使う言葉が該当します。
メリット:一度当たると大きな流入が期待できる
デメリット:競合が多く入札価格が高騰しやすい、幅広いユーザーが含まれ目的が曖昧になりやすい - ロングテールキーワード
検索ボリュームは小さいものの、具体的なニーズを示す複合キーワードを指します。たとえば「〇〇 口コミ 評判 使い方」のように、細かい条件が加わったものです。
メリット:競合が少なく広告費を抑えられる、意図が明確なためコンバージョンしやすい
デメリット:単体の流入量は少ないため、複数キーワードを効率よく扱う必要がある
キーワードのマッチタイプ
検索広告プラットフォームにはキーワードのマッチタイプ設定があります。これは広告をどの程度厳密に表示するかを設定する仕組みです。以下に代表的なマッチタイプをまとめました。
マッチタイプ | 例 | 表示される検索例 | 特徴 |
---|---|---|---|
完全一致 | 「青い帽子」 | 青い帽子 | 指定キーワードと完全に一致した検索にのみ表示 |
フレーズ一致 | 「”青い帽子”」 | おしゃれな青い帽子 青い帽子 レディース | キーワードの前後に単語が付く場合も対応可能 |
部分一致(広い) | 「+青い +帽子」 | 青色 帽子 帽子 青い 魅力 | キーワードを含む類似検索もカバーできる |
- 完全一致はキーワードを厳密にコントロールしたい場合に向いています。
- フレーズ一致は指定キーワードが連続して含まれる場合の検索全般を対象にできるため、ある程度厳密かつ広範囲にカバーしたいときに最適です。
- 部分一致は想定外の検索パターンも拾う可能性があるため、流入数を増やしたいときに役立ちます。ただし予期しないクリックが増えてコストがかさむこともあるため、運用しながら随時調整が必要です。
商標キーワードと汎用キーワード
- 商標キーワード
自社の商品名やサービス名、ブランド名などをキーワードにする手法です。広告費は抑えやすい一方、すでに知っているユーザーにしか訴求できないという側面もあります。 - 汎用キーワード
商品やサービスそのものを直接表さないが、関連性の高い一般的な単語をキーワードとする手法です。幅広いユーザーにリーチできる反面、意図が曖昧になる可能性があるため、広告文やランディングページの最適化が重要になります。
競合分析と効果的なターゲット選定
同業種の他社がどのようなキーワードを使っているかを調べることは、とても参考になります。競合が使っているキーワードをそのままコピーするだけでは差別化しづらいかもしれませんが、人気のあるキーワードを見つけたり、自社にはない視点を得たりする上で役立ちます。また、競合があまり注目していないニッチなキーワードを選ぶことで、少ない予算でも成果を上げられる可能性があります。
効果的なターゲット選定には、以下の要素を検討することが大切です。
- 顧客層のニーズや悩み
自社の商品・サービスを必要としている人はどんな課題を抱えているのか。想定される問いや悩みに直結するキーワードを洗い出しましょう。 - 検索意図の読み取り
たとえば「〇〇 使い方」は、具体的な利用方法を探しているユーザーが検索しそうなキーワードです。一方、「〇〇 購入」「〇〇 価格」は今すぐ買いたいユーザーかもしれません。どの段階のユーザーを狙うかによってキーワードの選び方は変わります。 - 地域や時間帯の特性
地域名を入れたキーワードや、利用する時間帯に焦点を当てたキーワードなど、より具体的に絞り込むことで予算の無駄を減らすことができます。
これらを踏まえた上で、次の表を参考に競合分析を行いながら自社に合ったキーワードを検討しましょう。
分析ポイント | 内容 | 活用方法 |
---|---|---|
競合の広告文 | どのような訴求やコピーを使っているか | キーワードに合わせた魅力的な文言を考案 |
広告出稿タイミング | 季節性・セールなどのキャンペーン時期に集中しているか | 狙い目の時期を見極め、出稿スケジュールを最適化 |
入札状況 | 主要キーワードの入札価格や競合数 | 予算に合ったキーワードを選ぶ際の参考に |
表示順位 | 競合の広告が検索結果の上位に多く出ていないか | 競合が少ないキーワードを探して効率を高める |
入札価格と予算配分の考え方
予算が限られる場合、人気の高いビッグキーワードをいきなり狙うより、費用対効果が見込めるロングテールキーワードを中心に据える選択肢があります。入札価格は競合の多さや需要によって変動し、ビッグキーワードは一般的にクリック単価が高くなりがちです。
以下の例を目安に予算配分を考えてみましょう。
キーワード種別 | クリック単価の傾向 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ビッグキーワード | 高め | 大量のトラフィックを見込める | 競合が多く費用が高くなりやすい |
ロングテールキーワード | 低め | 具体的なニーズを持つユーザーを取り込みやすい | 一つひとつのキーワードの検索ボリュームは少ない |
例えば、限られた予算内で少しでも確度の高いユーザーを呼び込みたい場合、ロングテールキーワードを集中的に選定し、その中から成果が高いものを優先的に強化していくのがセオリーです。ビッグキーワードに挑戦するなら、まずは十分な予算を確保したうえで短期間でデータを取りながら効果測定を行うといった段階的アプローチをおすすめします。
キーワード選定の具体的ステップ
実際のキーワード選定は、以下のステップで行うとスムーズです。ツールを使いこなす自信がない場合も、手順を理解することで迷いが減るでしょう。
- 商品・サービスの整理
まず自社が提供しているものを改めて整理し、「強み」や「他社との違い」をリストアップします。ここで出た特長やベネフィットが、ユーザーの検索キーワードを考えるヒントになります。 - 想定ユーザーの行動パターンを洗い出す
商品やサービスを知らない段階から興味を持ち、具体的な購入検討に入るまでの過程をイメージして、それぞれの段階でユーザーが検索しそうな言葉を挙げていきます。 - キーワードの優先度を決める
検索ボリューム、競合状況、クリック単価を考慮して、最優先で狙うキーワードとサブで狙うキーワードを分類します。ビッグキーワードとロングテールキーワードのバランスにも注意しましょう。 - マッチタイプを選択する
完全一致やフレーズ一致、部分一致などをどう組み合わせるかで広告表示の幅が変わります。最初は部分一致で幅広く拾い、徐々に成果の高いキーワードを完全一致やフレーズ一致に絞る手法もあります。 - 広告文とランディングページの整合性を確認
キーワードと広告文が一致していても、その先のランディングページの内容が求められる情報とズレていれば離脱されてしまいます。広告文・ランディングページの文言でもキーワードを適度に活用し、ユーザーが求める情報を見つけやすくします。 - 実際に運用してデータを確認する
広告をスタートしたら、クリック率やコンバージョン率、無駄クリックが発生していないかなどをデータから判断し、キーワードの調整を続けることが大切です。
キーワードのテストと効果検証
キーワード選定は一度決めたら終わりではありません。実際に広告を運用しながら定期的に調整していくことで、より最適な組み合わせが見つかります。初心者の方は、以下の点に注目して効果検証するとよいでしょう。
- クリック率(CTR)
広告が表示された回数(インプレッション)に対して何回クリックされたかを示す指標です。特定のキーワードでCTRが高い場合、そのキーワードはユーザーにとって魅力的な訴求となっている可能性が高いといえます。 - コンバージョン率
クリック後にどれだけ問い合わせや購入などの目的行動が行われたかを示す指標です。クリック率が高くてもコンバージョンが低い場合は、広告文やランディングページの内容、キーワードとの整合性を見直す必要があります。 - 無効キーワードの除外
部分一致を多用していると関係のない検索クエリで広告が表示され、不要なクリックを生むことがあります。定期的に検索クエリをチェックして、無効キーワードとして除外する設定を行いましょう。 - 季節やトレンドによる変動
キャンペーン時期や季節要因で検索数が増減する場合があります。定期的にキーワードの需要を把握しながら、その時期に合わせた入札戦略や広告文を用意することも重要です。
まとめ
ここまで、検索広告を出したいけどキーワード選定が分からず困っている方に向けて、具体的なステップや考え方を解説しました。限られた予算でも成果を上げるためには、ビッグキーワードだけに依存せず、ユーザーの検索意図を的確に捉えたロングテールキーワードにも目を向けることが大切です。競合が狙っていないニッチなキーワードを発見することで、費用を抑えながら成果を高めることも十分可能です。
また、選定したキーワードが本当に効果を発揮しているかどうかは運用してみなければ分かりません。定期的にデータをチェックして無効キーワードを排除したり、クリック率やコンバージョン率を分析して広告文やランディングページを最適化したりする運用プロセスが欠かせません。最初から完璧を目指すよりも、「試す → 分析する → 改善する」を繰り返しながら自社に最適なキーワードを見つけていきましょう。
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