Blog お役立ちブログ
小売店がBtoBサイトを成功させる完全ガイド

――個人向けECから法人取引へステップアップするための実践バイブル
はじめに – “仕入れ担当者の検索行動” が変わった今こそチャンス
「うちの商品を業務用にまとめ買いしたいのに、問い合わせ先が見つからない――」。
そんな声を耳にしたことはありませんか? 近年、企業の購買担当者は電話やFAXよりも、まずネット検索で候補を探し、サイト上で資料を比較・検討する流れへ急速にシフトしています。消費者向け(BtoC)の EC を運営している小売店が、 法人向けの BtoB サイトを追加するだけで新規の大口案件と定期取引の導線を同時に開拓できる時代 になりました。
本ガイドでは、既存の BtoC サイトを持つ小売店が「失敗しない BtoB サイト」を立ち上げ、運用・改善まで自走できるよう、
- BtoB と BtoC の根本的な違い
- 導線設計・機能要件・運用体制
- SEO とコンテンツ戦略
を、具体的なエピソードとチェックリスト形式でやさしく解説します。
BtoB と BtoC、どこがそんなに違うの?
購買プロセス
- BtoC …利用者=決裁者。気分や口コミで即決しやすい。
- BtoB …利用者と決裁者が別。担当者→上司→経理と “社内稟議” が挟まる。
決済・物流
- BtoC …クレカ・代金引換・後払い。1 件ごとの発送。
- BtoB …請求書払い・リース契約・月締め請求。パレット単位など大量出荷も。
ワンポイント
法人購買は「コスト削減」と「業務効率化」の言語で語られることが多く、
ビジュアル訴求 や 感情的コピー が刺さる BtoC とは訴求軸がまったく異なる。
小売店が BtoB サイトを追加する三つのメリット
- 新たな顧客層と継続収益
- 例:地方スーパー A 店は業務用洗剤のページを公開した翌月、県内 30 施設のクリーニング業者から一括発注を獲得。
- 在庫回転率の改善
- 賞味期限やシーズン変動の大きい商品も、法人ルートなら“箱買い”で一気にハケる。
- 仕入れボリューム増による原価低減
- BtoB 需要で月間出荷数量が 1.5 倍→メーカーとの交渉力アップで仕入れ原価 7%ダウン。
デメリットと注意点 ― ここを押さえないと赤字に転落
- 見積り・受注業務が複雑化
- 担当者ごとに価格や納期が変動しやすく、手作業のままではミスが多発。
- 新規ドメイン SEO のハンデ (独立サイトの場合)
- 検索上位まで 3〜6 か月は覚悟。既存ドメイン内のサブディレクトリ方式なら評価を引き継げる。
- 価格公開の線引き
- 卸値をサイトにベタ書きすると既存取引先との調整が必要になるケースも。
成功事例で学ぶ “リアルな現場”
エピソード 1:日用品チェーン「スマイル商店」
- 課題 …店舗在庫が潤沢でも、BtoC サイトでは 1 回の購入数が平均 3~4 点。
- 施策 …「法人まとめ買い」ランディングページ(LP)を追加し、最小ロット 100 個からの価格表を PDF で公開。
- 結果 …公開 2 週間でオフィス清掃会社 5 社から合計 1,200 個の注文。以後、毎月定期購入に発展。
エピソード 2:家具専門店「ウッドクラフト B」
- 課題 …オーダー家具はサイズ・素材変更が多く、BtoC の「カート決済」フローでは対応できない。
- 施策 …3D 図面アップロード+自動見積り機能を導入。担当者が MSG(見積りステータス管理)画面で即時回答。
- 結果 …見積り回答時間が平均 3 日→当日中に短縮。失注率 25%改善。
導線設計:問い合わせから発注まで五つのステップ
- 情報収集 – 導入効果・費用感・事例をざっくり把握
- 詳細比較 – ダウンロード資料/価格シミュレーターで社内共有
- 見積り依頼 – 必要項目は 会社名・担当者・数量・希望納期 まで絞り、フォーム離脱を防止
- 社内稟議 – 承認が長引く前提でリマインドメールを自動送信
- 発注・納品 – 電子契約&請求書 PDF 発行でペーパーレス対応
豆知識:フォーム改善でコンバージョン率が 1.8 倍
見積りフォームの項目数を 18 → 9 に削減したところ、送信完了率が 23% → 41%に上昇した例も。
BtoC サイト内に統合? それとも独立? 判断フロー
チェック項目 | 統合(サブディレクトリ)に向く | 独立ドメインに向く |
---|---|---|
商材の重複度 | BtoC と 70%以上重複 | 法人専用品が多数 |
運用リソース | 既存チームで兼務可 | 専任チームを配置 |
ブランド戦略 | “同一ブランドで信頼強化” | “高単価・専門性アピール” |
SEO 立ち上げスピード | 早い(既存評価を継承) | 時間はかかるが差別化大 |
迷ったら段階的統合
まずは既存サイトに「法人向けページ」を追加し、問い合わせ数が増えた段階で独立サイトを検討するとリスクが低い。
必須機能とシステム選定
見積り機能
- 数量 × 単価 × 割引率 を自動計算
- CSV ダウンロードで社内基幹システムと連携
法人決済
- 掛売(月末締め翌月末払い)を基本に、クレジット・リース契約を補完
- 支払期限リマインドメールを自動化して延滞率を抑制
大量注文・ロット割引
- “1 ケース(24 個)以上で 10%OFF” など、価格ルールを商品マスタで設定
- 法人会員ログイン時のみ卸値を表示し、BtoC 価格と切り分け
在庫・納期の可視化
- WMS(倉庫管理システム)と API 連携し、リアルタイム在庫をフロントに表示
- 納期ガントチャートを PDF 出力し、社内稟議資料に転用してもらう
運用体制づくり ― “担当だれ?” をなくす
- 小規模なら「営業+CS 兼任」
- 見積り回答までは営業、受注後フォローは CS が引き継ぐ二段構え。
- 月商 500 万円を超えたら専任化
- 問い合わせ対応 SLA(24 時間以内回答)を掲げ、顧客満足度を KPI 管理。
SEO・コンテンツ戦略―検索で選ばれる法人窓口へ
キーワード選定
- 例:「業務用 洗剤 まとめ買い」「オフィス 家具 一括 見積り」
- “用途+課題+行動” の 3 語キーワードを狙うと成約率が高い。
法人向け LP の書き方
E‑A‑T(専門性・権威性・信頼性)強化策
- 代表者や監修者の 実名+写真+経歴 を About ページに掲載
- プレスリリース で新サービスを告知し、外部被リンクを獲得
よくある質問(FAQ)
Q. 1 個からでも注文できますか?
A. 基本はケース単位ですが、サンプル配送を無料でご提供しています。
Q. 社内システムへの請求書連携は可能ですか?
A. PDF/CSV に加え、Web-API での自動連携オプションがあります。
Q. 海外法人への直送は対応していますか?
A. EMS または国際宅配便での出荷実績がございます。詳細はお問い合わせください。
まとめ ― BtoB サイトは“サイト公開後の運用”が勝負
BtoB サイトは立ち上げて終わりではありません。見積り回答スピードや FAQ の充実度など “運用フェーズ” の改善が顧客満足度を大きく左右します。まずは 既存 BtoC サイトに法人窓口を追加する小さな一歩 から始め、問い合わせログを分析しながら機能と体制をアップデートしていきましょう。